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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第三章 帝国編
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第124話

エルグリッド死す!?

果たしてエルグリッド爆死祭は開催されるのか!?

『エルグリッド様。貴方は私の心の中で生き続けます』


『あ、アルフレッドさん!? って言うか何がどうなったんだァっ!? 果たしてエルグリッド様は生きているのかっ!?』


『死んでいてもいいのですがね』


『アルフレッドさんッッ!?』




エルグリッドが爆死した直後、そんなコミカルな司会が流れ始める。


あぁ、僕の嫌いな奴が一人ほど死んでせいせいしたぜ。




「ふむ、それではエルグリッド爆死記念として海鮮丼でも食べに行きましょうか」


「あ、いいねっ! あの海鮮丼結構美味しくてまた食べたいと思ってたんだよ!」


「なぬっ!? 海鮮丼とは前に食べた生食の事か!? 妾もついて行くのじゃっ!!」


「では私もご一緒させていただきます」


「えええっ!? みんな行っちゃうのですか!? なら私も行くのですっ!」




エルグリッドよ、お前の娘にはきちんと爆死記念の海鮮丼を食べさせてくるから、安心して眠りに......







「つけるかボケェぇぇぇぇッッッ!!!!」




......ついてくれませんかね?




爆発の煙の中から現れたのは埃だらけになってはいるが無傷のエルグリッド。


流石に無傷だったのには驚いたのか、花田たちや久瀬たちもアゴが外れる勢いで驚いている。



───って言うか何気に僕の心の声を読んでなかったか? あの愚王。






そんな考えを無視するかのように、エルグリッドは語り出した。




「確かにテメェら滅茶苦茶強かったぜ? 一人ひとりはまだまだ未熟だが、連携と作戦、更にはそれを実行できる能力が備わっている。将来は間違いなく俺以上になるだろうな......」




だが、とエルグリッドは前置きし、




「お前らは最後の最後で、重大なミスを犯した」




僕は"ミス"ではなく"想定外"だったのではないかと思うけどな。


その、彼らが見逃していた想定外、というのは......、








「『勇者召喚』は元々エルメス王国が元祖(・・・・・・・・・)だ。その王族が召喚魔法を使えねぇとでも思ったか?」





それと同時に爆発の煙が晴れ、そこからは......、





「召喚『オリハルコンの壁』だ。希少金属だから王宮にある内のほんの一部しか呼べなかったが、それでもあの程度の魔法を止めるくらい簡単なことだぜ?」



そこからはエルグリッドの言葉通り、薄く引き伸ばされたオリハルコンの壁がエルグリッドを守るかのようにして半球体型に広がっていた。




エルグリッドはその壁を返還すると、花田達を見やって、こう言った。







「もう少し修行してから出直してこい、異世界人」






同時に、今日一番の歓声があがった。






☆☆☆






結局、第五回戦は勇者パーティの体力&魔力切れという結果で幕を閉じた。



『ふふっ、やはり化物じみた強さをしてますね、エルグリッド様は。殺しても死なないとは正にこのこと』


『は、ははは.........私は本気で国王様がお亡くなりになったのかとヒヤヒヤしましたよ......』


『いえ、エルグリッド様には奥の手(・・・)がありますので、死ぬということはまずないんですよ』


『そ。そうなんですか.........、コホン。それではあらためまして! 第五回戦、激闘の末に勝利を手に入れたのは、輝夜選手、アイギス選手、アルバ・ロード選手、ベルナ選手、そして最後にエルグリッド様です!!』




うおおぉぉぉぉっっ!!と、更に大きな歓声が上がる。


それもそうだろう、この二日間で最も見応えのある試合だったんだから。


レオン、白夜、シル=ブラッドの無双から始まり、化物共の饗宴で占めた昨日とは違い、間違いなく武闘会と呼べるような内容になったに違いない。



───僕も本戦からは気をつけることとしよう。




と、そんなことを考えていると、どうやら最後の第六回戦出場者が発表されたようだ。


まぁ、今まで出番のなかった奴らは全員参加、ってことなんだがな。




そのスクリーンの名前に目を通すも、僕の知った名前は二つしかなかった。





「ふふっ、やっと私たちの出番だねっ!」


「はいなのですっ! 頑張るのですっ!」



そう、我がパーティが誇る二大幼女である。


───少し前までは白夜も入って三大幼女だったのだが、残念ながらあいつは中学生へとクラスチェンジしてしまったため、幼女ではなくなってしまったのだ。



まぁ、まとめて"ロリっ子"と称せば問題ないのだがな。


───忘れがちになるが、オリビアも外見を抜かせば十七歳、つまりは花の女子高生なんだ。見た目さえ見なければ幼児だなんて言えないだろう。



見た目さえ見なければ。




「それでは海鮮丼を食べに行く時間もないわけですし、少しそこらの屋台で串肉でも買って食べましょうか」


「大賛成である!!」


「妾もなのじゃっ!!」



どうやらうちの三大食欲王の内二角も乗り気のようである。


ちなみに伽月はおねむのようだ。






───さて、そろそろ僕も準備(・・)に取り掛かるかね。






☆☆☆





時刻は午前十一時半。


恭香とオリビアを除いて、僕らのパーティは客席へと戻ってきていた。



「いやはや、それにしても素晴らしい健闘ぶりでしたね、花田殿、堂島殿、古里殿、町田殿?」


「う、うす......」


「あ、ああ、ありがとうございますっ!!」


「...あれ? 紗由里ちゃん?」


「あわわわわわっ!? な、何でもないですっ!」




............あれっ?



え、まさか堂島さん、シル=ブラッドに惚れちゃった?




「そのまさか、のようだな」


「う、うん......そうみたいだね」



どうやら浦町や恭香も同意見のようだ。




────うん、知らなかったことにしよう。



そもそもシル=ブラッドなんて人物は存在しない、とか分かったら泣いちゃいそうだし.........これまた騙しきらなきゃいけない理由が出来てしまったようである。



「紗由里......、友人の恋愛は応援するけど、あの人だけはやめた方がいいわよ? 確実に苦労するハメになるわ」


「ひ、酷いよ美月ちゃん! ぶ、ブラッドさんはいい人なんだもん! ......カッコイイし」


「.........手遅れね」



そんな会話が聞こえてきたが、まぁ、気のせいだってことにしておこう。


───この世界には気のせいで済ませなければいけないこともあるのだ。





そんなことを考えていると、珍しく花田が話しかけてきた。




「ブラッドさん、もし......もしアンタなら、あの場面で何が正解だったと思う...ますか?」



ぶっきらぼうだが、敬意を払おうとしているその態度は、なかなかどうして嫌いじゃない。


───せっかくだし、僕からも多少は道標(ヒント)を与えてもいいのかもしれないな。



「ふむ、それはあの場面では花田殿がとった行動について、ということで宜しいですかな?」


「うす......」



ならば、将来に期待して少しばかり手助けをしてやろう。




「花田殿、貴方はユニークスキルを発動した後、どうしていましたか?」


「? そ、それは......相手の注意を引くために.........あっ!」



そう、彼はスキルを発動した後、味方の戦略が崩れない様にとその場を動かずに相手を待ち構えていたのだ。



確かにそれは正しい選択だったのだろうが、最適ではない。



「途中まではそれは、最適に近い答えだったのかも知れません。ですが、町田殿が魔法を撃った後にエルグリッド殿が壁を貼ると予測できていたのなら、あなたの取る行動は変わってきたのではないですか?」



あの時の花田はユニークスキルの影響で無敵状態だったのだ。


ならば突撃して背後から強襲をかけるとか、簡易的な魔法を放って相手の意識を逸らす、とか色々と出来ることはあった。



「まぁ、それで勝負がどうなっていたかまではさすがの我輩でも分かりかねますがね。我輩からは以上です」


「う、うす! ありがとうございますっ!」



───なんだかんだ言っても彼は勇者パーティの中ではかなりの有望格。それこそ御厨や小鳥遊......下手すれば久瀬にも迫れる程の才能を持っている。



「クフフ、将来が楽しみですね」


「ふっ、確かにな」



僕は隣の浦町と、そう言葉を交わすのだった。





───さて、この中から僕を超える奴は現れるのかな?






☆☆☆





『さぁやってまいりました! 予選も終盤! 第六回戦です!! 今回の司会は私と引き続きアルフレッドさんでお送りしますっ!』


『はい、宜しくお願いします』



花田たちにアドバイスをしながら堂島さんのデートのお誘いをさり気なく断っていると、どうやらそろそろ第六回戦も開始のようだ。


背後から堂島さんの泣き声と鮫島さんと穂花の励ましが聞こえるが、気にしない気にしない。



ステージへと視線を下ろすと、こっちに手を振ってくる幼女が二人。

片やエルメス王国の第二王女様、片や実力不明のダークホース。


───恭香に関しては戦闘力があるとは思えないのだが......大丈夫なのだろうか?



(それは見てからのお楽しみ、ってやつだね)



......この距離でも読心が使えるんですね。




そんなことを思っていると、どうやらもう間もなく第六回戦が開始されるようで、新しく放送が流れてきた。





『ではもう間もなく開始時刻を迎えます! 皆様方、準備は宜しいですか!?』


その放送と同時に武器を構え、周囲を警戒し始める参加者たち。


何故か地面に片膝をついて両手を地面に当てている恭香。


それをアワアワしながら見つめるオリビア。



.........大丈夫か?




そんな僕の心配とは裏腹に、試合のゴングは鳴り響く。





『それではッ! 試合開始ですっ!』




今日、僕は知ることとなる。







───彼女(・・)の馬鹿げた戦闘力を。






☆☆☆






試合開始の合図と共に恭香たちへと群がる参加者(ロリコン)たち。


まぁ、性癖は別にしてもいかにも弱そうな二人組を目の前にして動かないのは馬鹿のすることだろう。



───まぁ、相手の実力を測れないような奴はもっと馬鹿なのだろうが。



瞬間、ドドドドドッ! と打撃音が鳴り響き、二人に群がっていた参加者たちが一斉に吹きとばされる。

それをやったのは、もちろんオリビア。天賦の才を持つ第二王女様だ。


そのあまりのギャップに唖然とする観客一同。


ただでさえその若さと容姿で目立っていたのがさらに目立つハメになる。




だが、僕にはもっと気になることがあった。




「.........まさか、ですよね?」




恭香の身体から極限まで隠蔽された膨大な魔力が溢れ出す。


その量は、今の僕の全魔力の六割以上でもあっただろうか?



───正直言って、エルザほどではないにしても、間違いなく僕と同レベルの隠蔽だった。




「うーん、やっぱり魔力制御って難しいね」





恭香の口が、そう動いたような気がした。






......どうやら僕は、いらぬ心配をしていたようだ。










鎖魔法(・・・)、『ヘルズアラクネ』!」






瞬間、恭香の足元から生み出された幾万もの鎖が、まるで蜘蛛の巣を描くかのようにステージ全域を覆い尽くす。


その鎖は覆い尽くした直後に地面へと叩きつけられ、





───そのまま、ほぼ全員(・・・・)の意識を刈り取ったのだった。






「「「「「「............」」」」」」



あまりの衝撃映像に唖然とする一同。


これには僕のパーティメンバーや司会の二人も含まれていた。





「.......あの時の暁穂殿ならば、彼女一人でも止めめられたのでは......?」



僕の声が静寂をぶち壊し、それと同時に歓声が爆発する。


ステージに立っているのは、少し不満げな恭香と、目を見開いて立ち尽くすオリビアだけだった。







とまぁ、そんなこんなで全六回戦の予選は終了した。




本戦出場者は、計二十三名。




レオン


マックス


久瀬竜馬


桜町穂花


鳳凰院真紀子


白夜


ホリック


鮫島美月


小島拓哉


的場亮二


シル=ブラッド


アーマー・ペンドラゴン


御厨友樹


小鳥遊優香


浦町了


桃野和彦


輝夜


アイギス


エルグリッド・フォン・エルメス


アルバ・ロード


ベルナ


オリビア・フォン・エルメス


そして、恭香。




以上の選手の出場が決定した。





───僕よりも恭香や白夜の方が無双してたのは気のせいだろうか?




と、そんなことを思いながら、僕はもう一つの戦い(・・・・・・・)へと思いを馳せるのだった。


恭香はめちゃんこ強いです。

※近接戦闘は幼女レベルです。


次回! ギンの言う『戦い』とは!?

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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