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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第三章 帝国編
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第121話

恋愛要素MAXっす!

「んで? なんで起きてんだ?」




珍しく私服姿の白夜を見て少し驚きつつも、僕は白夜にそんなことを聞いた。


白夜は千歳を超えてはいるが、その精神年齢は未だに十歳と少し。そんな子供がこんな時間まで起きていられるはずもない。


───まぁ、僕らと出会う前のサバイバル時代ならば、話は別だったのだろうが。




そんなことを考えていると、




「ふふっ、白夜はギンに話があるらしくてね。わざわざ今までギンのこと待ってたんだよ?」


「......話?」



白夜が僕に話......だって?


なんだろう『主様っ! 妾を肉奴隷にした癖に手を出さんとはどういう了見じゃ!?』とか『さぁ! 夜中の全裸散歩に連れてゆくのじゃっ! ほれ!首輪もよういしてあるのじゃぞ!?』とか『最近妾に対する扱いが雑じゃないのじゃっ!』とか、そういうのだろうか?


最初のやつに関しては真っ赤な嘘だし、二つ目のやつは論外。最後のやつは、単に僕はコイツのことをなかなかどうして好ましく思っているからだ。


───まぁ、少なくとも輝夜やゼウスよりは好感度が上だろうな。恥ずかしくて言えないけど。



(チキンっていうか、ギンはそもそも自分から告白するタイプじゃないもんね)



.........よくご存知で。


僕はこれでも恋愛相談やその告白の失敗に幾度となく立ち会ってきたからな。告白して失敗した時のあの何とも言えない虚しさと悲しさ、それと絶望感、虚無感を傍から見ているだけであれだけ胸が苦しくなるのだから.........、まぁ、僕から告白するなんて、これまでもこれからも、生涯で一度もないだろう。


───まぁ、簡単に言えばトラウマのようなものだ。味わったことはないがな。


はぁ.......、本当に僕ってキチンだよなぁ......。




そんなことを考えて、苦笑いを浮かべていると、




「う、うむ.........、少しばかり重要な話なのじゃ。二人きりで話したいのじゃが良いだろうか?」



何だかそわそわしている白夜が、上目遣いで僕らに向かってそう話しかけてきた。





───ぶっちゃけ、今のは反則だと思います。





鼻血が出るのを根性で抑えながら、僕は首を縦に振るのだった。






☆☆☆






そうして僕ら二人が訪れたのは、馬車内に作られている食堂だった。



───僕ら二人しかいない食堂に、ガツガツとでも言うような、そんな音が響く。





「ぬぉぉぉぉっ!! 主様は料理も上手いのじゃな!!」


「そりゃどうも」



───旅の最中でけっこう練習したからな。



僕の目の前には、先程僕が作った夜食のサンドイッチをとても美味しそうに食べている白夜の姿があった。


どんだけ食うんだよ、太るぞ? とも思ったが、なんだかんだ言っても僕はコイツが飯を美味しそうに食べている姿が嫌いじゃない。


それに、白夜も一応はドラゴン。

滅多なことがない限りは太ったりはしないだろう。




そんなことを考えていると、どうやら白夜は五人前(・・・)の夜食を完食してしまったらしい。


───まだ数分しか経ってないがな。



「うむ! ごちそうさまなのじゃっ!」


「はいはい、お粗末様でした」



僕はそう言うと食器を持って立ち上がり、それに続いて白夜も残りの食器を持って僕についてくる。


隣接された台所へと食器を置き、お湯に浸しておく。




───汚れも少ないことだし、先に皿洗いしとくかな。







そんなことを思って、皿に手を伸ばした時だった。






突如、僕の背中に柔らかい何かが当たる感覚がし、僕の腰に手が回される。




───それが、白夜が背中に抱きついてきたのだと分かるまで、そう時間はかからなかった。




それは、いつものような突進のようなものではなく、柔らかく、そして少し怯えたような。それでいて覚悟が感じられるような、そんな抱擁だった。


───まぁ、この身長差で抱擁と呼べるのかどうかは分からないが。




そんなことを思うと同時に、今回、白夜が僕にしたかった話の内容が、なんとなくだが分かってしまった。





「主様......」




背中に顔を押し付けたままの、くぐもった声が聞こえる。


背中に、彼女の吐息と、その体温が伝わってくる。



───その声は震えていて、今にも泣き出しそうな様子でもあった。





「......なんだい?」




怖がらせないように、出来るだけ優しく声をかけることしか、今の僕にはできそうになかった。



ぎゅっと、僕の腰にまわされた手の力が強まる。




───まるで、僕を離さないとばかりに。









「わ、妾と....っ、つ、付き合ってくださいっ!」







それは、緊張で震えたくぐもった声で、とてもじゃないがカッコいいものではなかった。



だけど、その言葉は僕の心の芯まで響くようで、


───ひしひしと、その気持ちが伝わってくるようだった。







「.........こちらこそよろしくな、白夜」




僕は、ただそう言って、白夜の手に僕の手を添えるのだった。




───こういう時にかっこよく対処できる大人になりたいものである。






白夜の手の温もりを感じながら、そんなことを思った。






☆☆☆






あの後、気まずさを紛らわすかのように皿を洗った僕は、今現在、顔を真っ赤に染めた白夜と向かい合って座っていた。


───恐らくは僕の顔も真っ赤なのだろうが、そこは気にしないでおこう。



そんなこんなで、今の食堂を沈黙が占めていた。



.........めっちゃ気まずい。


この場合どうすればいいのだろうか? 恭香の時は相手が本だったからあまり緊張はしなかったが、今回の相手は美少女中学生だ。オールラウンダーの僕にとってバリッバリのストライクゾーンである。


それこそ、緊張するなという方がおかしいだろう。





そんな中、沈黙を破ったのは白夜だった。





「そ、それでなのじゃがな.....主さ.........ギン様? いや、主ギン様.........マスギン......? いや、ならばギンマスの方が美味そうなのじゃ.........じゅる」




その言葉を聞いた瞬間、何故だか僕の中から緊張が消え失せた。



一体僕は何に緊張していたんだ。相手はあの白夜だぞ? 緊張する要素がどこにある?




───いや、皆無だろう。




「はぁ、緊張して損したわ」


「なぁっ!? 酷いのじゃっ!! 妾はこれでもかなり頑張って......」


「はいはい、偉いでちゅねー」


「むぅぅぅぅっ!! 主様は酷いのじゃっ!」


「はっはっはー、なんの事だかさっぱりだね」


「ぬがぁぁぁぁぁっっ!!!」




やっぱり、僕と白夜はこうでなくちゃな。



その関係が恋人になろうとも、夫婦になろうとも、たとえ敵になったとしても、この距離感は変わらないだろう。



楽しくて、嬉しくて、それでいて心地いい。


近過ぎず遠すぎず。


真面目でもなく不真面目でもない。


少し気の抜けた、そんな距離感。




恭香とは違った───そんな距離感が僕には最高に心地よく感じられる。






「それじゃ、改めてよろしくな、彼女さん(白夜)



「う、うむ! 末永くよろしくなのじゃっ!」







まぁ、そんなこんなで。




───僕は白夜と恋仲になった。






☆☆☆






「なんかアレだよね。私の時よりも描写に力が入ってたよね。なんだかんだ言ってもギンが一番好きなのって白夜なんじゃないの?」



翌朝、僕を起こしに来た恭香が、ちょっぴり拗ねた様子でそんなことを言ってきた。


うーん......、嫉妬かな?



「.........まぁ、そうなんだけどさっ」



頬を膨らませてぷいっと顔を背ける恭香。


あざといけど可愛いんだよなぁ.........。





ふと気づけば、僕は恭香を抱きしめて頭を撫でていた。



───完全に無意識だったのは気のせいだろう。




「なぁっ!? ち、ちょっとギン!? いきなり何してるのさっ!?」



珍しく焦った様子の恭香。

しかし、口元がだらしなくにやけている。



「大丈夫、僕が一番好きなのは恭香だからさ」



───特に、いつもクールな癖に本当は初心な所とか、な?



耳元でそう囁いてさらに抱き寄せると、ボンッと音が鳴って恭香の頭から湯気があがる。


そうそう、そういうところです。







そんなこんなで、朝から甘ったるい雰囲気になりながらも、僕は恭香を抱きしめるのだった。





この数分後、白夜たちが乱入してきて修羅場になるのだが、この時の僕には知る由もない事だった。

やはり白夜も可愛いですね。

次回! 第五回戦開始なるか!?

しばらくは恋愛要素......あるかな?

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
― 新着の感想 ―
[良い点] 立派なラブコメしてるセリフなのに2人とも幼女なのがいいです
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