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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第三章 帝国編
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第120話

第四回戦終了! もちろん、無事に、ではないですが。

新武器が登場です!

『試合終了ーーッッ! .........はいいんですが、エルグリッド様.........これどうしましょう?』


『あーー........、よし、獣王殿に確認を取ってくる』



司会さんとエルグリッドの、困惑気味の声が流れてくる。




だが、それもそうだろう。




───僕らの目の前には、まぁ、筆舌に尽くしがたいような、そんな現状が広がっていた。



それでも一言で言い表すなら、混迷状態、無秩序、そんな言葉が当てはまるだろうが、恐らくはそれも適当ではない。




僕には今の現状を───なにか、うまく伝えるすべが見つからなかった。






だから、せめて語り手として、見たままの事を伝えようと思う。







出場者たちの屍(生存中)を瞬間接着剤でガッチガチに固めて、超巨大なドミノ倒しを製作中の、天才ペア。




結局は斥候としてではなく近接戦闘で戦ったが、お互いのカウンターが見事に顎にクリーンヒットし、共倒れをした、忍者と猫。




汚れてしまった大人達の心に容赦なくトドメをさして回る、天使のような美少女(見た目だけ)。




全員をぶちのめして、仁王立ちをしながら満足げに鼻をフンスッと鳴らす小鳥遊に、それを光の消えた眼で(空)笑いを浮かべた顔をしながら見つめるアーマー君。






───そして、およそ千人の惨殺死体(生存中)。








『と、とにかくっ! 勝者は、アーマー・ペンドラゴン選手、ウラマチ選手、ミクリヤ選手、モモノ選手、タカナシ選手だぁぁぁっっ!!!』







ただひとつだけ、僕にも明らかな、確かな事実がある。









───最凶最悪の五人が集まっちまった。






この先の本戦が心配になる僕だった。






☆☆☆






あの後、獣王の部下達により、直ちに彼ら(敗者)は回収された───のはいいのだが、うち半数以上が『回復魔法では回復不可能』という状況(主に接着剤の為)だったため、致し方なく血を提供した。


───どうやら件の接着剤は熱に弱いらしく、僕が提供した血を少し熱して使ったら簡単に治ったようである。



.........本当に恐ろしい物を作ったものだ。




ん? あぁ、因みにアーマー君には血は与えていないぞ?


まぁ、もしも彼が僕と当たるまで勝ち抜いてきた暁には全力で勝負できるように文字通り(・・・・)完治させてやる予定だがな。



───第一回戦で当たらないことを祈るばかりである。








それで、今現在、僕が何をしているか、と言うと。







「よし、ネイル。僕はこの依頼を受けるよ」


「畏まりました.........、はい、受注完了です、それでは行きましょうか」



冒険者ギルドにて、ギルド職員(ネイル)とそんな、奇妙な会話をしていた。

まぁ、専属にとっては当たり前の会話なのだろうが。






それで、皆は疑問に思っていることだろう。





『あれ? お前って大金持ってなかったか?』と。


『なんで今更ギルドで仕事してるんだ?』と。


『折角のニートになるチャンスをみすみす逃すのか?』と。



そんな疑問を持っている事だろう。





く、クックック、クハハハハハッ!



笑止ッ! あまり僕を笑わせるせてくれるなよ。







────あぁ、イライラし過ぎて吐きそうだ。





なぜ僕がここまでイライラしているか、何故わざわざギンとして高ランクの依頼に出向かなければならないのか、というのは簡単に説明がつく。




その理由は単純明快。


後ろを振り向けば分かる、というものだ。





僕はその怒りに染まった瞳を背後へと向け、金欠にも関わらずに長机に一杯の料理を───いや、未だに運ばれてくるようだ。



───それを『食べて当然』とばかりの表情を浮かべて喰らい尽くしているあの馬鹿(従魔)ども。


大して働きもせず、食っちゃ寝て食っちゃ寝てを繰り返しその間にスマ○ラを挟める、と言ったような怠惰に塗れた生活を送っている馬鹿共だ。





もうお分かりいただけただろうか?




僕が金欠の理由───それは。





『こんな非常食食べてられないのじゃっ! 主様! お小遣いを寄越すのじゃっ! 街まで飛んで美味しい料理を食べてくるのじゃっ!』


『ふむ、なら自分も』


『ぐるぅぅぅぅっ!』




白夜、レオン、伽月の、馬車旅を続けていた頃の言葉が頭にフラッシュバックされる。






「僕が金欠の理由───わざわざ正体がバレる危険性を冒してまで『執行者』として働いている理由は.........」










───コイツらの食費が馬鹿にならないからだ。





☆☆☆





お分かりいただけるだろうが、それがどんな相手であれど、自分が一生懸命働いている傍から金を使い果たし、挙句の果てには『お小遣い』等とほざかれると、流石にある程度心の広い僕でも頭にくるものがある。



───一体、僕が何度、ブチギレかけたことか。


アーマー君の時はまだしも、今の僕がブチギレて理性を無くしてしまえば、国や大陸が滅びかねないからなんとか理性が抑えてくれているのだが、僕もそろそろ限界になってきた。






「というわけで、お前らに恨みはないが八つ当たりをさせてもらうぞ? 悪く思うな」





僕の目の前には、隷属の状態異常がステータスに描かれた、およそ数千体の魔物の群れ。




───そして、それを統率する、今は懐かしきナイトメア・ロード。




「ひ、ひぃぃぃっ!? な、ナイトメア・ロード!?!? レベルが低いとはいえSSランク最上位じゃないですかっ!?」


「クハハッ! 何だか昔の我を見ている気分だなっ!」


「ふふふっ、大したことありませんでしたね」


「た、大したこと無いってどういうことですかっ!?」




僕の後ろで騒いでいる三名をちらりと振り返り、再び視線を奴らへと移す。





───今回の依頼内容としては、こうだった。





緊急依頼 推奨ランクSSS。

依頼内容 グランズ帝国北部で、突如大量発生した魔物の群れの調査、或いはそれの解決。

依頼報酬 理由解明で1,000,000G、更に倒した魔物の数やそのランクに応じて追加報酬を与える。

依頼者 グランズ帝国 獣王レックス






「......まぁ、いい仕事には裏がある、ってことか」



もしかしたらフェンリル並の化け物でも出てくるかと思いきや、種族進化したてのナイトメア・ロードが出てくるとは、全くの予想外で、想定外だった。




「まぁ、だからといって勝てないわけじゃないんだがな」




僕は一緒についてきていたネイルを、同じく一緒に来ていた輝夜と暁穂に任せ、相手へと歩き出した。


因みに恭香と藍月、眷属達は、馬鹿どものお守りである。





「『換装』」





僕は換装の指輪の効果により、アイテムボックスより、ブラッドナイフを呼び出す。






────いや、正確には、()ブラッドナイフ、だった物か。






僕の右手に収まっているのは、一本の、黒い棒状の物体。


長さとしては二十センチ程度だろうか? 所々に切れ目や割れ目、穴が空いており、その隙間からは赤い光が漏れている。どちらかと言うと『魔法的』ではなく『科学的』な、何かだ。


その上、恐ろしく軽くてそれでいて存在感がしっかりとある。



───鍛冶神と神祖の吸血鬼がこれを作ったと恭香は言っていたが、その二人の内どちらかは間違いなく迷い人で、それもかなり頭のネジがぶっ飛んだ人物だったのだろう。






でないと、こんな、神器クラスの武器(科学兵器)なんて、作れるわけがない。







「さてさて、お披露目会と行こうか『ブラッディウェポン』」






この新しい武器の名は、『ブラッディウェポン』


───正確には"新しい"ではなく、"ブラッドナイフが、僕の成長に伴って進化した"ということなのだが。





「さぁ、僕の血を吸え」





瞬間、僕は身体からすうっと何かが抜ける感覚を覚え、それと同時にガチャカシャとブラッドウェポンが変形、更にはその上端部から刀身が現れる。


黒い刀身に赤い筋の入った不気味なブラッドナイフの原型とは異なり、赤いガラスのような透明度の高い刀身に、峰のところが黒くなった、美しい片刃の短刀。





『ブラッディウェポン』




それは、吸血鬼にしか扱えない、伝説の武器。


使用者の血と魔力を吸い上げることで、その形と性能を変化、強化するが、



───使用者の力量によって、その強化限界は上下する。




正に、持ち主と一緒に成長する───生きた武器だ。






「さぁ、今日も頼むぜ?」



ブラッディウェポン───恭香よりも付き合いの長いこの短刀は、まるで返事をするかのように赤く鈍く光り輝く。




それに少し驚いたと同時に、少し満足をした僕は、にやりと口の端をつり上げ、凄惨な笑顔を貼り付けた。







「さぁ、執行開始だ」






────こうして僕の、執行という名の八つ当たりは決行されるのだった。





せめて、痛みを感じる暇もなく逝かせてやるさ。






☆☆☆






僕の頭の中に、最近は全く聞かなくなっていたインフォメーションが流れる。




ぴろりん! レベルが上がりました!




「.........やっぱりこの程度じゃ、せいぜいが一つ上がる程度かな」




三十分後、そこには首をはねられ、死に絶えた魔物達の死体で埋め尽くされていた。


───その上、明らかに出血量が少なすぎる。



それは、傍から見ても異常な光景だったし、僕からしても、ちょっと鳥肌が立つようなものだった。




「それにしても、僕って成長したんだなぁ......」



初期の『真祖とかかなりチートじゃん!』とか言いながらもワクワクそわそわしていた頃の自分が懐かしいぜ。



───今では考えられないような、遠い過去である。



そんなことを考えながらも死体に『灰塵滅却』を使用して弔ってやっていると、案の定、後ろに控えていた三人がこちらへと歩いてきた。



「クハハッ! 初めて会った頃などは当時の我よりもはるかに弱かったからな。それこそ、そこでくたばっている同胞(骸骨)以下であろう?」


「そうなんですか? 輝夜さん、後でその話聞かせてもらってもよろしいでしょうか?」


「あ、あの、私も聞いてみたいです! ギルドに報告できる内容が少な過ぎて提出用のレポートが作成できなくて......」


「クハハハハハッ! いいだろういいだろう、そのうち第二回女子会を開く予定だからその時にでも話してやろう!」


「「じょ、女子会!?」」



テクテクとこちらへと歩いてきた三人の話し声が聞こえる。


個人的には女子会が行われていた事実よりも『女子会』と聞いた時の二人の驚き用の方が気になるのだが。




───やっぱりコイツらもボッチだったのだろうか?




そんなことを考えていると、どうやら時刻が午後八時を回ってしまったらしい。


───恭香に馬鹿共の説得と夕食の管理をお願いしているから大丈夫だとは思うが、それでもそろそろ帰るべきだろう。




「よし、そろそろ帰るぞー」





僕は後ろの三人に向かってそう、呼びかける。




────果たして今日の食費はいくらになったのだろうか、とそんなことを考えながら。






☆☆☆






時刻としては、ちょうど日付が変わった頃。


馬車(宿)まで戻ってきた僕は、僕の部屋ではなく今や女子部屋───それも幼女専用ともなりつつある恭香の部屋へと行くことにした。



まぁ、目的は無いが、強いていうならば『今日の浪費金額を知るため』強いて言わないならば『なんとなく』である。


───まぁ、どっちにしろ皆が寝ているようであれば、僕は大人しく自室まで戻るのだが。




僕は"恭香"とプレートのついた部屋の前まで来ると、ノックし「誰か起きてるか?」と、声をかける。


───無遠慮に部屋の中を確認するのはデリカシーに欠けるだろうとの判断である。



「まぁ、正解だよ。おかえりギン」



すると、声を潜めた恭香が扉を開けてくれた。


彼女は僕の居場所が分かる上に寝る必要が無いのだから起きていてもまだ分かるのだが.........、







「.........何故起きてる?」





僕は、部屋の中を見て一番最初に発した言葉がそれだった。




一つしかないベットで寝ている、寝間着姿のオリビア。


散乱した三種類の軍服に、寝間着姿の恭香。





───そして、









「ふむ、おかえりなのじゃっ」





そこには、何だかんだで憎めない、白いワンピースを着た白夜が起きていたのだから。

次回! 果たして白夜が銀を待っていた理由とは!?

恋愛成分多めかも知れません

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