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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第三章 帝国編
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第119話

第四回戦開幕です!

果たしてどんな結果になるんでしょうか?

ドドトドドドドドドドドンッと、開始早々そんな音が鳴り響く。




───音の出処はもちろん浦町だ。




両手の銃から、360度、全方向に向けて大量の量の銃弾を放出───いや、違うな。



目を凝らしてよく見てみると、それは"魔力の銃弾"であった。



───この世界に来てから作ったのだろうが......、流石は天才様だな。あれも僕のアイテムボックスに埋没してる魔導銃程じゃないにしても、かなりの国宝級アイテムなのだろう。




そんなことを考えている間も銃弾の雨は降り止まない。



避けようと転がる奴もいたが、浦町はそれを先読みして銃を放つ。



───まるで未来が読めているかのように。





『おおおっと!? これは凄い凄いっ!! この選手は.........ウラマチ選手だっ! まさかあれは魔導銃かっ!?』


『俺も執行者が持ってた国宝級の魔導銃を見せてもらったことがあるから分かるが......あれはかなりのものだぞ?』


『なんと!? エルグリッド様からのお墨付きだァァァっっ!!』




その司会に会場中がどっと沸き立つ。






───だが、そんな攻撃の嵐は次の瞬間、ピタリと止んだ。




流石に天才といえど魔力量まで化物クラス、というわけでは無かったようだ。ある程度余裕は残しているだろうが、ものの数分で魔力が無くなってしまったらしい。





「あとよろしく」




軽く二百人は減らしたであろう浦町は、そんなセリフと共に、すぐ後ろで待機していた人物と入れ替わる。



そして、その後から交代して現れたのは、





「ええ、任されました。本戦へと出場するには貴女と組むのがベストですからね」




───御厨だった。



おそらく奴は『もしかしたら本人も隠れて参加してるかも』というエルグリッドの言葉を吟味し、そうに違いないと確信したのだろう。


まぁ、実際にはその通りだし、そうでなければ御厨がこんな大会にやる気を出すとも思えない。




「それでは行きますよっ!『ウッドバインド』!」



瞬間、御厨の目の前の地面から大量の木のつるが生み出され、それは一斉に相手の選手を飲み込んでゆく、


「な、なんじゃこりゃぁっ!?」


「これは木魔法だっ! つるを切って抜け出すぞ!!」





───そんな会話が聞こえてきたが、





「同情はしますよ、『ファイアボール』!」




御厨が見逃すわけもなく、次の瞬間には彼らは木のつるに点火された炎に包まれていた。




───本当に、同情しかできねぇよ。




あまりの残酷な仕打ちにドン引きする僕だった。






☆☆☆






それとほぼ同時刻、ステージ内の別の場所。




「そろそろ倉持ちゃんとは決着つけたかったんだにゃぁ......」


「奇遇だね、私も"斥候"として少しだけキャラ設定の被ってる猫ちゃんとはそろそろ決着付けてもいいかなって思ってたんだよ」



そこでは、猫と忍者───猫又と倉持が相対していた。



どうやら彼女達は立ち位置のちょっとした被りがお気に召さないようだ。僕もどちらかで言うと斥候タイプなのだが、それは黙っておこう。



「それじゃあ......」


「始めるかにゃぁ?」




そう言って彼女達はお互いにニッコリと笑うと、そのまま駆け出した。






────そして、





「名前まで被ってるのに立ち位置まで被ってたまるかっ!!」


「こちとら語尾しか特徴ないのにゃっ!! 負けてたまるかにゃっ!!!」






お互いの右ストレートが相手の頬を捉えた。







───斥候なのに素手という、仁義なき戦いが、ここに始まろうとしていた。






☆☆☆






場所は変わり、ステージ中央付近。




大勢の男達が一人の女の子(・・・)を囲んで困惑の表情を浮かべていた。


男達の視線の先には、杖を抱きしめ、ぷるぷると震えている小動物のような少女が.........





「ひ、ひぃっ!? こ、来ないでくださいっ!」





───訂正しよう、()は桃野和彦。



コイツはちゃんと、付いている(・・・・・)


因みに僕の数少ない数人の友人の一人でもある。




「ぼ、ぼぼ、僕なんか食べても美味しくないですよっ!?」



あまりにも見当はずれで、それでいて限りなく純粋なその発言に、胸を抑えて蹲る男達。


こんないたいけな男の娘にそんなことを言われてしまっては、男としてはかなり心にくるものがあろう。




「こ、心がッッ!!」


「.....俺っていつの間にこんなに汚れちまったんだろうか」


「......死にたくなってきた」




そんなことを次々と言いながら、胸を抑えて倒れてゆく男達。





「えええっ!? だ、大丈夫ですか!? い、今治療をっ!!」


「「「「ぐばぁっ!?」」」」


「ひえぇぇぇぇぇっ!?」





その純粋な心がそのまま汚れきった男達(大人)の心にダメージを負わせているとは知らぬまま、彼は回復魔法を使い続けるのだった。



────はぁ......、これで男なんだもんなぁ。





☆☆☆





またまた別の場所。




「ふふふッ! 貴方もなかなかやりますなッ!」


「別にっ! 貴女と競ってるわけじゃっ! な、ないんですけどねッ!!」




何故か背中合わせに敵をなぎ倒してゆく、小鳥遊とアーマー君。


どうやらAランク中位程度まで強くなったアーマー君の実力を見た小鳥遊が『勝負ですなっ!!』とか言って競い始めたようだ。流石は脳筋である。



───だがしかし、今のアーマー君に難なくついていってる小鳥遊に驚愕するばかりである。



久瀬曰く『魔法は使えないぜ? 馬鹿だから』だそうだが、純粋な近接戦闘においては間違いなくAランク上位であろう───恐らくは魔剣無しのマックスと互角くらいだろうか。



まぁ、今の(・・)アーマー君よりも上だということにもなるかな。



───でもまぁ、近接戦闘以外も含めた、純粋な勝負ならアーマー君が勝つのだろう。


流石に今の彼も『正々堂々以外は悪だ!』なんてほざかないだろう。そもそもそんな考えでは僕には勝てないのは承知の上だろうし、そうでなければ仮に(・・)、とはいえども許してなんかいない。


僕が彼を許したのは、彼の心が少しずつ汚れてきたからだ。言い方は最悪だが、まぁ、あんな綺麗な心の持ち主は桃野とオリビアだけで充分である。



そんなことを考えている間も彼ら───特に彼女の快進撃は続いていた。




「ふははっ! 楽しいっ! 楽しいですなっ、アーマー殿!」



そう叫び、次々と相手を薙ぎ払っていく小鳥遊。

今回は第一、第二回戦のように強者たちが揃わなかったのか、小鳥遊程度の実力でも一騎当千が可能のようだった。



「.........なんで僕の名前知ってるんだろう?」



アーマー君がそんなことを言った気がしたが、どうやら戦闘狂のスイッチが入った小鳥遊の耳には届かなかったらしい。






「ふははっ! 血沸き肉踊るっっ! 異世界最高ッッ!」






───全くの同意見だったことに鳥肌が立った。







☆☆☆






僕は、そこまで戦況を把握して、その上で口を開いた。




「やはり、組み合わせが悪かったようですな」



「「「「「「.........」」」」」」



返事はなかった。

つまり、それはそのまま、肯定だ、ということだろう。




眼下のステージには、交代で敵を蹴散らす天才ペア。未だに素手での殴り合いをしている斥候二人。倒れた男達に必死でヒールをかけまくっている男の娘。そして暴れている脳筋とそれをサポートする哀れな少年。




───あぁ、第四回戦に選ばれなくて、本当によかった。




それは、客席に座っている全員の共通見解であった。




「久瀬殿......、貴方も苦労しているのですな。きっとギン殿もそう思っているに違いありませんぞ」


「う、うるせぇっ! お、俺だってもっとまともな仲間が欲しかったよ!!」


「.........今ギン殿から念話が来たのですが『......お互い頑張ろうぜ?』だそうです。諦めずに頑張ってください」


「.........あぁ、分かってんよ」




何だか久瀬の事が可哀想になると同時に、勇者パーティ、何だか良さげじゃね? なんて思ってた自分に呆れ果てた。




───やっぱり、自分のパーティが一番だね!






僕は後ろを振り返らずに、そう思った。









───結局、第四回戦が終わったのは一時間後の事だった。

......やっぱり皆が皆、頭が湧いてます。

次回! 第四回戦決着です!


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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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