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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第三章 帝国編
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第117話

第四回戦出場メンバーとは!?

とうとうアイツとの再開です!

「クフフッ、なんとか本戦へは出場出来ましたぞ」


「何とかじゃねぇよっ!? 圧倒的じゃねぇかッ!?」


「何なのよ貴方っ!? すっごい強いじゃない!?」


「は、はは。心配して損しちゃったよ......」




場所は観戦席。



僕は皆に勝利を伝えに来たはいいが、待っていたのは壮絶なツッコミだった。




───だが、どうやら僕の勝利に肯定的な人物も居るらしい。




「何を言っている。我が想い人(・・・)が勝つのは当たり前だろう」




そう、我らが浦町ちゃんである。




───ただ、言い方に問題があった。



「.........浦町さんって言ったかな? 今なんて言ったかもう一度教えてくれないかな?」


「ふむ? 聞き取れなかったか。私の想い人、と言ったのだ。銀の今の(・・)お菓子(彼女)



ピキッと、音がした。



「へ、へぇー、浦町さんはギンの事が好きなんだと思ってたけどねぇ?」


「ふむ、ではこうしようか。銀はお前らにやろう。だからこの仮面は私が永久に(・・・)貰い受ける。私は銀には一切手出ししないが、その代わりお前らが私の(・・)シルに手を触れることや奪うことは許さん。それで良いだろう?」



.........この娘ってこんなに積極的でしたっけ?



確かに浦町からの好意には気付いていた───と言うか何度も告白されたことはある。『どうだ? 私に子を孕ませてみないか?』とか『ふっ、惚れ直したぞ。私と結婚しろ』とか。


まぁ、本気かどうか分からなかったから全部断ったんだがな。少なくとも好意だったのは確かだろう。



ふと浦町の後ろを見れば、よく分からずに首をかしげたり、顔を火照らせたりしている勇者諸君───どうやら鮫島さんと御厨は惜しいところまで来てそうだな。後で釘を指しておこうか。




───だけどまぁ、こっちの方が重要そうだな?




「クフフッ、浦町殿。流石に冗...」


「シル=ブラッド。私の言うことを聞かないならば銀の居場所をこの場でバラすぞ?」


「......く、クフフッ、了殿(・・)、冗談が過ぎますぞ?」


「ふっ、それでよい」




.........また面倒なことになったな。



───まぁ、だからといって僕が何も仕返しをしないというわけでもないんだがな?




「おお、そう言えば言い忘れておりました。ギン殿からの伝言です。『僕の居場所に気づいたら、他の奴らには内緒にしてくれ』だそうですよ? ちなみに誰かに話した瞬間全力で逃げるそうです。クフフッ、残念でしたね浦町殿(・・・)?」


「ふっ、そんな頑固な癖に妙に頭が回るところも嫌いじゃないぞ」




はぁ......、勇者たちとは大会が終わればすぐに別れるつもりだったんだがな。



そんなことを思ったが、文字通り僕の心を読んだ浦町が



(もしそんなことをすれば、自殺するからな? 私も連れてゆけ)



そう、耳打ちしてきたのだから、仕方あるまい。






───予想外に予想外の事態が重なって、どうやら浦町が僕のパーティに入りそうなフラグが立ってしまった。





今すぐにでも折ってしまいたい衝動にかられた僕だった。






☆☆☆






『それではそろそろ次の第四回戦の発表です!』



僕の試合が終ってから十数分後、浦町と恭香が笑顔で睨み合っている中、そんなこと司会さんの声が聞こえてきた。


───それと時を同じくして再び、同じような画面が映し出される。




「さてさて、次はどなたが.........」





うはぁ........、これまた濃いメンツが集まったな?



僕はその面子を見て、思わず胸焼けしそうになった。






何故なら、そこには以下の名前が書かれていたからだ。







『司令塔』御厨 友樹



『剣道少女』小鳥遊 優香



『猫女』猫又 紗



『鳳凰院のイジリ役』倉持 愛華



『完全無欠』浦町 了



『the男の娘』桃野 和彦








────そして、









『哀れなる少年』アーマー・ペンドラゴン








あぁ、もう。見てるだけで胸焼けしてくる。


どんだけこの第四回戦に力を込めてるんだ、この大会の主催者は。とんでもない混沌(カオス)になるぞ?


───もしここで輝夜なんかが加わってたら大変なことになってたかもな。




『それでは今より暫しのお昼休憩となります! 現在が午前十二時の少し前なので、第四回戦は午後二時から開始したいと思います!』



体内時計を確認してみると、どうやら現時刻としては十一時五十二分であった。


昼飯に、さらにそれを消化する時間も考えると、たしかに午後二時くらいが丁度いいのだろう。




「それじゃ、我輩たちも昼飯に行............く前に、クフフッ、どうやら用事が出来たようですね?」


「......用事? 何かあったの?」



浦町と百合百合睨み合っていた恭香が怪訝な顔で聞いてくる。




───今現在進行形で二人の眉間に更にシワが増えたが......何故だ?




「百合百合とかやめてくれないかな? 私、この人のこと、控えめに言っても嫌いなんだよね」


「誠に遺憾だが私も同意見だ。何故こんなヒヨコ(人外の幼女)に性的興奮を覚えなければならない。私が性的に興奮を覚えるのは君にだけだ」


「.........この変態マッドサイエンティスト」


「ふん、褒め言葉として受けとっておこうか。 礼を言うぞ、今度、禁断の果実(お子様ランチ)ご馳走してやろう」


「......ほんとこの人、大っ嫌い」




どうやら二人の相性は最悪なようである。





......コホン、それで本題なんだが、







「どうやら我輩に客人(・・)が来ているようでしてな。それこそ、レオン殿よりも長い付き合いの人物故、折角なのでその人物の昼食を取ろうかと思い立った次第なのです」





僕はそうして、客席の上の方へと顔を向ける。



そこには、客席への出入口と、その前に立つ、二人の男女の姿が。






───クックックッ、久しぶりじゃないですか。









「ねぇ、アーマー・ペンドラゴン殿?」






そこに居たのは、噂のアーマー・ペンドラゴンと、その侍女さんであった。



───さてさてどうなる事やら?







☆☆☆






場所は変わり、先ほど休憩をしていた日当たりのいい喫茶店で、僕───ギン=クラッシュベルと、アーマー・ペンドラゴン。それにその侍女のマルタが一緒に座ってコーヒーを啜っていた。



───ちなみにアーマー君はミルク入りである。まだまだ子供だな。





何故こんなことになったか、と言うと、少しだけ時を遡る必要がある。





時は遡ること三十分ほど。



闘技場で僕とアーマー君が再会を果たしたところである。





「おやおや貴方は確か、この大会に出場していたアーマー・ペンドラゴン殿ではありませぬか? 面識の無い私に何か御用でも?」



アーマー君はあれでも、僕の攻撃を──その肉弾戦の癖を身をもって知っているのだ。あれだけやらかしたら、今のアーマー君が気付かないわけがない。


───ひとまずは小手調べだ。さぁ、どう出るかな?




そう、アーマー君の様子を窺っていると、



彼はすぅ、ふぅ、と、数回の深呼吸の後、こう切り出した。






「シル=ブラッドさん。貴方の正体は、ギン=クラッシュベル本人か、その師匠と見て相違ないでしょうか?」


「「「「「なぁっ!?」」」」」



勇者共の驚愕の声が上がる。


───それもそうだろう。もしかしたら我輩の正体が僕かもしれないのだ。

その事実と、それに気づかなかった自身に驚愕しているのだろう。



だけどまぁ、まだ明かしてはやらないけどな。


っていうか今の時点で明かしてしまえば、それこそ第二第三の浦町のような奴が出てきそうで怖い。特に鳳凰院さんあたりが。




だから僕は、アーマー君へとこう返すことにした。




「クフフッ、貴方はどうお思いですか、アーマー殿?」


「僕は貴方がギン=クラッシュベルその人だと思います。これでも彼の戦い方ならかなり知っていると自負しているのですが、貴方の戦い方、癖は彼と全くと言っていいほど、同じだった」



───流石、としか言いようがないな。


彼は仮にも、元Bランク冒険者。

あの戦いを無駄にするわけが無かった、という事か。




「お、おい手品師.........お前、銀なのか?」


「う、浦町さん......、今のって本当......?」


「本人に聞くべきだろう?」



勇者たちもそわそわしだしたし、そろそろ訂正しておくかな。





「クフフッ、あくまでも、ギン=クラッシュベルとシル=ブラッドは別人ですぞ? まぁ、別人だからと言って彼の居場所を知らないとは限りませぬし、貴方の事を知らないわけでもない」



あくまでも僕の中では、我輩、というのは完全な別人格───いや、言うなれば仮面のようなものか。だから嘘は言っていないし、かと言って本当のことも言っていない。


───御厨や鮫島さんなら、今の言葉に隠された真意に気づけるかもしれないし、恭香や浦町、今のアーマー君なら、今ので気付けただろう。



「アーマー殿、貴方に一つ聞きたい。あなたの目的は何だ?」



「もう一度、彼と会って話をすることだ」






瞬間、僕の身体から冗談抜きでの本気の魔力が、一瞬だけ溢れる。



常人ならば少し違和感を覚えるだけだろうが、ここにいる面々なら、その恐ろしさが分かるだろう。




現に侍女さんや勇者たちは腰を抜かし、騎士組でさえ立っているのがやっと、と言った感じだ。


少し離れた場所にいた冒険者なんて気絶している。




その上で、僕は我輩として、彼にこう、問いかけた。




「アーマー・ペンドラゴン。我輩は彼と貴方を会わせることが可能だ。だがしかし、お前のやった事をもう一度考えることだな。.........覚悟も無いようでは、彼の前に出た瞬間に殺されかねんぞ? それだけお前は、彼の怒りを買ってしまった」



我輩の口から出た真面目な声とその内容を目を見開く勇者たち。


───それこそ、僕が人殺しをするなんて信じられないのだろう。



だが、それも事実。



ここで引き返すのならば、問答無用で潰してやろう。


僕相手に『覚悟は出来ている』などと豪語出来るものならば、その覚悟に免じてギンとして、会ってやろう。





───さて、お前はどうする? アーマー・ペンドラゴン。








というのが、ここまでに至る経緯だ。








無言の空間にコーヒーを啜る音が聞こえる。




カチャ、と音がし、そちらに目を向けると、コーヒーを飲み終わったのかアーマー君がこちらを真っ直ぐに見据えていた。




───なかなかいい目になったじゃないか。







「許してくれるとは思ってないけど、最初にこれだけは言わせてほしい」





そう、前置きして、彼は。











「誠に、申し訳ありませんでした!」



「うん、いいぜ?」










そうして彼と僕は再会した。



───まぁ、コイツのことは好きじゃないけど、謝られて許してやれないほど、僕も器が小さい男じゃないと信じたい。






因みに『許す』と言って本戦で当たった時にボコらないようなギンではありませんよ?


次回! 第四回戦開幕です! たぶん。

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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