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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第三章 帝国編
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第115話

何だか内容が濃くなっちゃいました。

たぶん。

浦町「了でいいと何度言えば分かるんだ?」......人の心を読まないでもらえます?



コホン、浦町曰く


『別にバラしたりはしないさ。私は唯一の友人に会いたかっただけだし。そもそもこんな簡単な問題も分からないような奴に、君に会う資格はないさ』


との事だった。


───途中、『天使』『悪魔』『無能の炭』とかそういう単語ばっかりで、とても常人には理解出来ない内容だったが。



そんな浦町は、と言うとほっぺたを膨らませてそっぽを向いていた。


.........何故だ?




「私は君には下の名前で呼んでほしい」




.........そう言えばコイツはあれか、恭香と同類だったか。



「恭香って言うのは君のお菓子だったか? ちなみに私の場合は悪魔の知らせによって思考を読んでいる」


ちなみに、


お菓子=スイート=恋人

悪魔の知らせ=非人道的=脳内電波を調べた


という事に他ならない。



───これからはわかりやすくルビでも振っておこうかか。


ちなみにコイツは僕の心を読むためだけの機械とか開発して、更にそれを小型化して身体に埋蔵とかしてるからな.........恐らくこの考えも読まれているんだろう。




そんなことを考えていると、闘技場から聴こえてくる歓声がピタリ、と止んだ。



「ん? 第二陣が発表でもされたのか?」


「私も同意見だ」


僕とコイツの意見が同じなら、それは恐らく真実なのだろう。




その予想は当たったらしく、闘技場の外壁に新しい名簿が映し出される。




───そこには、






「僕のパーティからは、白夜と.........いや、白夜だけかな?」


「こっちは鮫島と、的場、小島.....かな?」



的場は......確か僕のことを嫌ってる鳳凰院のオトモア◯ルーで、小島はあのでっかいヤクザみたいな奴か。




『それでは開始は一時間後です! それまでに出場者はステージ内に集まってください!』と、そんな放送が聴こえてくる。




あと一時間か.........帰っても暇だろうし......、どうするか。





───そんなことを考えている時だった。






「君はもう少し、私と一緒に居ろ」



「........へっ?」




少し語尾の強い、その言葉に思わず目が点になる。



───こいつはこんな言い方......しなかったはずだが、





そう思って僕は顔を浦町へと向けるが.........、







「......はぁ、分かったよ」







ふと、僕は向こうでは、死んだことになっていることを思い出す。



浦町にとっては僕が唯一の友達だということを思い出す。




『君は私の命よりも大切な存在だ。死ぬことは許さない』




そんな言葉を、思い出す。






僕はそんな記憶を辿りなから、浦町から目を逸らす。





───彼女の目尻に光るものが見えたのは、それは気のせいだったのだろうし、鼻声だったのも気のせいだろう。





「.........悪かったな」


「......うん」





そうして僕は、久しぶりに友人と会話のない時間を過ごしたのだった。




───なんだかんだで、僕はこの時間が嫌いじゃない。






☆☆☆






「クフフッ、一時間ぶりですね、皆様方」



僕はそう言って再び観客席へと舞い戻った。


そこには先に帰らせた浦町や、久瀬等を筆頭にした勇者達、それに加えて白夜以外の僕のパーティが勢揃いしていた。



───何故だかその全員が僕に向かってジト目を送ってくる。何故だ?



(私に皆への説明を任せて逃げた責任とその間にまた浮気したことについては後でじっくり話し合わせてもらうからね?)




.........逃げよっかな?




そんなことを思ったが、時既に遅し。




「おい手品師......、さっきまで銀とお茶してたって本当か? しかも闘技場の外で、しかも浦町と......さ?」




............何故だ?




(浦町さんが帰ってきた瞬間暴露してたよ。私に心配をかけた罰だ、とか言ってたし.........楽しそうだったね?『なんだかんだで、僕はこの時間が嫌いじゃない』とかカッコよかったよ? まぁ相手が私だったなら、だけど)



なるほどなるほど。



「.........く、クフフッ、確かに我輩は先程までギン殿浦町殿とブレイクタイムを楽しんでいたところでしてね。クフフッ、彼を最初に見つけたのは浦町さんでしたねぇ?」



こうなったら黙らせるしかあるまい。



「「「「ぐぅっ......」」」」



ぐうの音も出ないとは、正にこのこと。


───ぐう、って言ってるけど、気にしない気にしない。




(あれ? 私に対する謝罪は?)



......後で誠心誠意土下座するしかあるまい。




「って言うか酷いよ浦町さん! 僕たちに教えてくれたってよかったじゃん!!」


「そ、そうだぜ不思議っ子! 俺たちだってアイツと話し......」




今度は標的を浦町へと移した勇者達。






───だが、相手が悪かった。





「........これじゃ、銀も失望してるかも」





一言で暴徒は静まり返った。








閑話休題。







「それにしても皆様方、戦闘服は一風変わってカッコ良いですなぁ.........」




黒をベースとした冒険者風の革鎧を身につけ、腰に刀を差した姿の久瀬。


茶色の革鎧を身につけ、腰に一振りの長剣を差した姿の穂花。


白銀の鎧に身を包み、大盾と剣を身に付けた聖騎士のような姿の鳳凰院さん。胸がとんでもないことになっている。



僕は目をステージ内へと移す。



そこには青のローブに身を包み、長杖を持った鮫島さん。


赤いローブに身を包み、小さめの杖と短剣を持った的場。


革鎧を身につけ、身の丈よりも大剣を背負った小島。



僕はこいつらの私服姿しか見てなかったから、なかなかどうして戦闘服も似合っているものだと、少し感心する。






と、そんな内に試合開始の時間を迎えたようだ。






『さぁ時間になりましたっ! いよいよ第二回戦開始ですねっ!』


『ハハッ! 今回もなかなかどうして面白そうな面々だなっ! 面白くなりそうだっ!』



僕は空間把握を広げ、もう出場者全員をもう一度調べてみると、ダントツで白夜がトップ。その一つ下に.........この人も強そうだな。少なくとも久瀬たちよりは強い男の人が一人。その下に鮫島さん、小島、的場と来て......まぁ、そんなもんか。



『今回は前大会準優勝のホリック選手が出場者しております! その他にも黒髪の時代から、サメジマ選手、マトバ選手、コジマ選手と、かなりの実力者が揃ったという事になりますね!』


『しかも今回も執行者の従魔が混じってるみたいだぞ? しかも本人がかなりの信頼を置いている最古参の従魔だ.........クハハッ、俺もアイツの戦うところはほとんど見たことねぇから楽しみだぜ!』


『おおっと!? どうやら今回も執行者の従魔が混じっているようだーっ!!』



司会二人の話にさらに興奮度を増し、会場中の熱気が数段階上昇する。確かにこれじゃ、毛布なんて必要なさそうだ。



「......なぁ、手品師、国王さんはあんなこと言ってるけど、さっきの白髪の娘ってそんなに銀から信頼されてるのか?」


「僕たちはレオンの強さは分かったけど.........まさか全員があんなに強いわけじゃないんでしょ?」



先程のレオンの強さを間近で見たとはいえ、流石にあの変態まで同じほどの強さだとは思えない、という様子の勇者達。


確かにレオンは見た目からして強くても頷けるようなオーラを放っているが、白夜に関してはそれよりも"変態"のオーラが勝ってしまっているからな。強さが測りきれないのだろう。



「まぁ、見ていれば分かると思いますぞ?」



『それではッ! 準備は宜しいですかっ!?』



僕がそういうとほぼ同時に司会さんが、声を張り上げる。







仮にも白夜は、僕が従魔の中で最も信頼を置いている奴だ。



───それは、性格や性癖を考慮した上でも、信頼出来る、と言うこと。








『それではッ! 試合開始............ッ!?』




試合開始と共に、僕らに大きな影が差す。





ふと上を見上げると、そこには体長百メートルをゆうに超える、最古代種の竜の姿が。




白金色に光り輝くその鱗。



ギラりと獲物を見据えるその、黄金色の瞳。



口元から覗く鋭い牙に、鋭い爪。



あまりにも膨大な、その魔力。







「クフフッ、白夜殿がレオン殿より弱いわけがないでしょう?」





───もちろん、勇者達からは返事はなかった。






☆☆☆






『な、な、なな、何ですかあれはぁぁぁっっ!?!?』


『例の従魔だな』


『何でそんなに落ち着いていられるんですかッ!? 結界が貼ってあると言っても限度がありますよ!? 間違いなく国の危機ですよ!?』


『仮にも執行者の従魔で、人化が可能なんだぞ? 知性のないそこらの魔物と一緒に考えること自体が烏滸がましい』



───それこそ、全てにおいて、な?



と、そうエルグリットは口にする。


確かにその通りである。強さ、知性、性癖etc..、ありとあらゆるものが尋常ではないのだから。



だが、司会さんの言うことも確かである。


このまま地上に降りて戦いを始めれば、それこそ、司会さんの言う通り、結界なんぞ簡単に破壊されてしまうだろう。




───だか、そこら辺も白夜なら上手くやるだろう。






『十秒後にブレスを使うのじゃ。加減はするが、それでも逃げたいものは即逃げるのじゃ』




瞬間、出場者の大半が逃げ出した。




『十』




「小島君! 的場君! なんとか防ぎきるわよっ!」


「俺が盾になるッ! お前らは障壁の展開と俺の強化を頼む!」


「ううっ! こんな大会出るんじゃなかったッ!!」



逃げる者、対応しようとする者、唖然としていて避難が遅れている者者、様々な対応が見られた。




その間もカウントダウンは進んでゆく。





『残り、五秒なのじゃ』




同時に白夜が息を吸い込む。





「小島君! 準備できたわっ!」


「こっちも障壁完了だぞっ!」


「よし二人共っ! 俺の後ろに隠れてろッ!!」





残り、三





逃げ出した人々の避難が完全に終了したようだ。






残り、二





ステージに残るは、白夜を含めた数名のみ。






残り、一






────そして、










『試合終了、じゃな?』



『.........へっ?』



司会さんの素っ頓狂な声があがる。



『よく見るのじゃ司会。今現在このステージに残っておるのは妾、黒髪三人、前大会準優勝者の五名じゃろ? ならば試合終了、という事にはならぬか?』



『ええっ!?』



驚いた司会さんは、急いでステージへと視線を移す。




そこには宣言通り、人化して少女に戻った白夜と勇者達三人、それと先程紹介された虎の獣人───ホリックの姿のみが残されていた。







「はぁ......、面白くねぇ戦いだな、おい」






僕のそんな(ギン)の言葉は、大歓声によって打ち消された。






☆☆☆






『えー......、何だか想定よりとてつもなく早く進み、怪我人もほとんど出ていない為、本来は第三回戦までで一日目が終了する予定でしたが、場合によっては四回戦以降も行う、という事に決定しました』



うおおおぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!



司会さんとエルグリットが一回奥へと引っ込んだと思いきや、どうやらそれについて話し合っていたらしい。



本来は三回戦三回戦で計二日の予選を予定していたらしいが、二回戦が終わっても未だに午前十時半。流石に考え直さなくてはならなかったのだろう。


───他にも僕はもちろん、輝夜も全滅(・・)させるつもりだろうだから、もしかしたら今日1日で終わるかもしれないな。運が良ければ。



「えっ、私もやろうとしてたんだけど.........」



.........果たして恭香にその実力があるのでしょうか?


本である恭香にステータスが無いのを、少しだけ呪った。





そんなことをしていると、どうやら次の出場者名簿が発表になるようだった。



『それではッ! 第三回戦の出場者名簿の発表です!!』



ブィィィィィィンと音をたてて、先ほどと同じ場所に三回戦の名簿が映し出される。




「うーんと私たちからは............、あっ」



「俺らからは居ないみたいだ............、あっ」





それに目を通した瞬間、僕らの時が止まった。





───何故ならば.....、







僕は今までの二試合を思い出す。



アルフレッドとエクスカリバーの登場とレオンの成長だけしか中身の無かった一回戦。


白夜の不戦勝で終わった二回戦。




───実に、実に面白くなかった。





だがしかし! どうやら次は面白くなりそうだ!(特に僕が)







「クフフッ! ようやく我輩の出番のようですなぁっ!!」







───記されていたのは、シル=ブラッドの名前であった。






さぁ、僕TUEEEEの開始である。






☆☆☆






試合開始、十五分前。




「お、お願いだから手加減してあげなよ?」


「流石に大衆の前で流血沙汰はまずいのじゃ」


「クハハハハハハッ! シル殿ならば全員一秒もかからずに皆殺しにできそうだからなッ!」


「串肉買いに行くからお小遣いを貰いたいのである」


「あっ! 俺にもお小遣いくれよっ! レオン坊のお守り代ってことでさっ!」


「シル様頑張ってなのです! そ、それと私にもお小遣いを......」


「試合中に一瞬だけスカート捲るのでお見逃しなく」


「あっ、私にもお小遣いいただけたら.........」


「グルぅぅぅ?」「ヒヒィィン!」




───誰一人として僕を心配してくれる奴がいなかった。


特に伽月と藍月に至っては僕のとこすら見ていない。......そんなに僕って嫌われてんのかな?



なんだか泣けてきた。




「何だかよくわかんねぇけど、まぁ、本戦目指して頑張れよ」


「従魔さんたち程じゃないでしょうけど、まぁ、ブラッドさんも私たちよりは強いのでしょう? 期待して観戦させてもらうわ」


「僕たちは応援してるからねっ!」


「頑張ってね。私の二人目の友人」



───本当にいい人たちである。うちのパーティのメンバーとは大違いだぜ。




「はぁ、この様子ではギン殿もそろそろ、パーティ乗り換えの時期かも知れませんねぇ?」




スマホ乗り換えみたいな要領で言ってみたが、





「「「「「「えっ........」」」」」」




絶望したような瞳を向けてくる集団がいたので止めておいた。


───そんな顔するならもう少し僕の対応良くしてくれてもいいと思うんですがね?






閑話休題。






「それでは、我輩も微力ながら頑張らせて貰いましょうかね」




日本で憧れていた僕tueeeeeeに、やっと辿り着いた。



仲間達からの盛大過ぎる(・・・・・)応援、更には友人達からのささやかな応援。



まぁ、応援されちゃ、頑張らなきゃなんないでしょ。




───それに何より。





「そろそろ我輩()、二つ名が欲しくなった時分である」

残念ながら次回は浦町の閑話です。

ちなみに浦町というキャラはは個人的に気に入ってます。

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