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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第三章 帝国編
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第112話

獣王武闘会開幕です!


『さぁ! とうとうこの日がやってまいりましたっ! グランズ帝国第53回獣王武闘会! いよいよ今日、開幕ですっ!!』



うおぉぉぉぉぉっっ!!!



と、空中に映る司会者の映像を見て、その内容に心を燃やした人々が一斉に雄叫びをあげる。


それが街の至るところで、ほぼ同時に起きるのだ。



───それは、まるでこの国という大きな獣が雄叫びをあげているかのようでもあった。



それが、獣王武闘会の恒例行事でもある......らしい。

まぁ、流石は獣人の国、と言ったところであろうか。


静かな場所も好きだが、まぁ、こういうのもなかなかどうして、嫌いじゃない。





今日は、あれから二日後。


つまりは大会当日の、朝七時である。





「それじゃ、そろそろ行くか」


「ふふっ、そうだねっ!」


「主様よ? 妾と当たるまでやられるんのは許さんぞ?」



はっ、誰に言ってんだよ?



「今回は僕の初めての、マトモな(・・・)異世界行事だ」



僕は、白い仮面と赤いシルクハットを着用する。






我輩(・・)は優勝以外、眼中にはありませんぞ」





───優勝賞品は知らないですけどね。







☆☆☆






午前八時。



僕ら出場者一同───およそ六千人は闘技場の中に集められていた。


その中にはもちろん、アーマー君や久瀬、穂花たちの姿もあった───何だかアーマー君......変わったか?


闘技場のステージの周囲をぐるりと囲むように設置されている座席は、もう既にほぼ満席と言ってもいい状態で、正直、空間把握でも暁穂を探すのが難しいほどだ。



少し周囲を見渡すと、もう既に威嚇行為をしている奴、自信満々に自分をアピールしている奴、気配に溶け込んでいる奴、目をギラギラと光らせて強者を探しているような奴、etc..、色々な奴らがいるようだ。


ちなみに勇者達は数人を除いて誰かを探すかのように周囲の座席を見渡しており、アーマー君は.........凄いな。僕でも滅多に見せない集中力。それこそ入った時と同じくらいなんじゃないか?



───今見た感じだと、もう洗脳は解けかけてる、って感じかな?


「ふふっ、そうだね。今日は執行者と戦いに来たみたいだよ?」


「ほう、道理であの真剣さですか。これは油断してたら足元をすくわれかねませんね」



窮鼠猫を噛む、とも言うしな。






そんなことを考えていると、ステージの一角に設置された高台に、数人の人物が現れた。



一人は戦闘服に身を包んだエルグリット───出場する気満々である。


もう一人は同じく戦闘服───この場合は騎士鎧を身につけた、アルフレッド。彼は護衛だろう。


そしてもう一人は、一時間ほど前に見た司会のお姉さん。



そして最後に.........






「───ッッ!? く、クフフっ.........全然騙せてないじゃないですか.........」



その、あまりの殺気に身体中から冷や汗が流れる。


───今度は、その殺気には好奇心が見え隠れしていたが、それでも僕は、それに覚えがあった。




筋骨隆々、と表現していいのかどうか迷うような、その体躯。二メートルは遥かに超えており、もしかしたら三メートル程はあるかもしれない。

それこそ藍月と並べば、藍月が子供のロバに見える程の、圧倒的な存在感。


その腕からは硬質な皮膚に覆われた腕と鋭い爪。


更に首から頬にかけても同じような硬質な皮膚で覆われている。





───僕は、その姿にも見覚えがあった。





それも、日本で(・・・)の事だ。







「ぐははははは! よくぞ我が武闘会に参加したッ!」





その赤髪の大男が、話し出す。




───その金色の瞳は、しっかりと僕を捉えていた。








「く、クフフッ.........獣王、ライオンの獣人族かと思ってたんですがね............」







そう、あの姿は間違いなく、











「獣王レックス.........。種族は、獣人族、神獣種の変異種、恐竜ティラノサウルス(・・・・・・・・・・)だね」







そう、あれは間違いなく、恐竜の獣人だった。







☆☆☆





そのあまりの存在感に気圧されかけた僕だったが、



「何言ってんのさ? バハムートと戦ったんでしょ?」



の一言で恐怖心が消滅した。


何を馬鹿なことをしていたんだ僕は。確かにあの獣王から感じられる強さはエルザと同等かそれ以上だが、それでもゼウスやロキ、エウラスにバハムートと比べたら.........ねぇ?



というわけで、未だにちょくちょく殺気は飛んでくるが、僕は微動だにしなくなった。






それで、今現在。


丁度高台───と言うかステージみたいなものか? そこで司会の女の人がこの大会のルールや進行について、マイクのような魔導具で話しているところだった。




『この大会は予選二日間、本戦四日間でお送りします! まず予選では、およそ六千人の参加者を千人ずつに分け、それぞれでバトルロワイヤルを行ってもらいます! 本戦へと参加できるのはそれぞれ五名ずつ、計三十人が本戦へ出場する権利を手に入れることが出来るのです!』



うぉぉぉぉぉぉっっ!!!



と、司会さんが言い終わるとともに大きな歓声が上がる。

それだけ皆が、今回の大会を待ち望んできた、という事だろう。



───これでこそ僕tueeeeeeのしがいがあるってもんだ。





『それでは予選、トーナメント表の発表です! あちらをご覧ください!』


司会さんは丁度席のない闘技場の一部の壁を指さしてそう言った。



ブィィィィィン、と音を立てて、その壁にとある映像が映し出される。




───それは、本日一回目の千人バトルロワイヤルの出場メンバーの、一覧であった。




『流石に六千人全員の名前を映し出すことは出来ませんので、自分が二日間のいつ、誰と戦うのかは全くの不明です! 不正行為や賄賂などを防ぐためでもありますのでご了承下さい』



司会さんはそう言うが、今度は返事は無かった。


まぁ、みんな壁に穴があくようにその出場メンバー一覧を見ているのだから仕方ないことでもあるが。




「おおっ! 俺は一番目だぜっ!」


「あぁっ! 僕もだよっ!」


「私もですわっ!」



どうやら黒髪の時代のリーダー格たちはみんな揃って一番目だったようだ。



どれどれ、僕のパーティからは.........




「ふむ、自分と......」


「俺だな? 頼むぜレオン坊」



どうやらレオンとマックスが出場のようだ。




───もしかしたらこの五人で決まっちゃうかもな?





『それでは一回戦出場者以外の人たちは地下控え室、又はそれ以外の出場者用の客席などに退場してください! 第一回戦は一時間後に開始予定です!』



それと、ルールと補足ですが、と。



『ルールは基本的に何でもありです! 敗北の条件は気絶、又は死亡。それに加えて降参と、判定員が悪質だと判断した場合です。故意的でない殺人は許されますが、意図的な殺人と見なされた場合は反則となりますのでご注意ください! そして最後に、お客様へ、客席とステージの間には宮廷魔導師百人による結界が施されているので安心してください! 以上で説明を終了させていただきます!』






まぁ、こうしてグランズ帝国での、武闘会が始まった。






───年甲斐もなくワクワクしている自分に、『あぁ、僕もまだ子供なんだなぁ』と思ってしまう僕だった。







☆☆☆





「「「あ」」」



「おや?」




一時間───と言っても十五分前には着いておきたいし、その四十分間と少しの間をどう使おうかと悩んでいると、第一回戦出場の三人組とばったり出くわした。


ほかの面々は.........どうやら出場しないらしいシスターさんの元へと向かったらしいな。





「クフフッ、二日ぶりですねぇ? どうですか? 彼はみつかりましたか?」


「くっ、こんなに居るのに見つかるわけねぇだろうがッ!」


「そ、そうだよっ! 流石に無茶だよっ!」


「そうですわっ! ヒントくらい教えてくださってもいいのではないかしらっ!?」



───どうやら真面目に(・・・・)探しているようだ。馬鹿は得をしない、って事がよく分かるね。



「おやおや、我輩なんてこの会場に入った瞬間に見つけたのですが.........貴方方にそこまで求めるのは無茶、というものでしたね。クフフッ」



ぶっちゃけ生まれた時から見つけてるのだが。



「「「くぅぅぅっ!」」」



悔しさに顔を歪める三人。



───やっぱり僕の本職、"悪魔"かも知んないわ。





シル(・・)はどちらかって言うと魔王、って感じだけどね」


「うむ、確かに魔王感たっぷりなのじゃ」


「クハハッ! 確かになっ!」


「魔王? それは食べられるのであるか?」


「レオン坊、魔王は人の名前だぞ?」


「ギ......シル様は魔王なんかじゃないのですっ! 優しくてかっこいいのですっ!」


「オリビアさん.........目を覚ましてください」



後ろから誹謗中傷の嵐が襲ってきた。



───コイツら絶対僕のこと嫌いなんだろ?




そんなことを思っていると、久瀬たちも恭香達に気づいてしまったようだ。



「あっ! アンタら、ギンの仲間じゃねぇかっ!?」


「ほ、ほんとうだっ!? .........女の子ばっかりだけど」


「こ、子供が多いですわね.........」



二人ほど論点のズレている奴がいるが、まぁいいだろう。





「クフフッ、折角なので紹介しま...」




「ギンの彼女の恭香でーす!」


「主様の忠実な肉奴隷こと白夜なのじゃー!」


「主殿のソウルメイトこと輝夜とは我の事だっ!」


「レオンである」


「あー、俺はエルメス王国の騎士、マックスだ」


「同じく、アイギスです」


「第二王女のオリビアなのですっ!」





お、おぅふ

「お、おぅふ」




期せずして心の声と久瀬の声が被ってしまった。



っていうか何言ってんのコイツら? 馬鹿? 馬鹿なんだよね?


特に最初の二人、馬鹿過ぎるでしょ、何言ってんの、ホントに。馬鹿、アホ、マジで一回死んだ方がいいんじゃないか?





───流石の僕でもあまりの事態に暴言のボキャブラリーが真っ白になってしまったようである。




「こ、コホン。今のは彼女たちからの小粋なジョーク、というものでしてね。少し度が過ぎているようでありますが、まぁ、気にしない方が宜しいですよ? クフフッ」




何とかここから挽回せねばっ、と意気込んでみたものの、






「まぁ、銀ってチキンだから、コイツらが何であれ手は出してないんだろ?」


「へ、へぇー.........彼女? 肉奴隷......? ふ、ふふふっこれは僕も全力で捜索しないといけないかな?」


「おーっほっほっほっ! .........桜町さん、今回ばかりは私も全力でサポート致しますわ」


「ごめん、皆。ちょーっと僕たち急用ができたから、時間まで別行動、って事で。んじゃねー!」


「時間までには戻りますのでっ! おーっほっほっほ!」






うち二名が話を聞きもせずにどこかへと去っていった。





その後に残ったのは、仮面の下でダラダラと冷や汗をかくシル=ブラッドと、苦笑いを浮かべる久瀬だった。







───これは本格的に正体を明かせなくなりそうだ。

獣王は恐竜の獣人族でした! 思いっきり変異種ですね。

※補足ですが、グランズ帝国で扱われている魔導具の数々は『時の歯車』のカネクラさんによって作られたものです。


次回、レオンの初無双なるか!?

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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