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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第三章 帝国編
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第110話

王都グリムに到着です!

一応1ヶ月ほど経過していますが、ギンや従魔のレベルはほとんど上がっていないと思ってください。

ここはグランズ帝国、王都グリム。


───時刻は昼過ぎ。




そこに数台の白い馬車と、黒塗りの大きな馬車が入ってきた。



白塗りの馬車は、水色の魔法陣の描かれた旗───エルメス王国の国旗が側面に添えられており、黒塗りの馬車は、その側面に銀色の十字架と魔法陣が描かれている。





───だが、それよりも驚愕すべきことがあった。






なんと、白い馬車を引いていたのはゴーレム馬なのだ。



ゴーレム馬とは、一流の職人が何人も集って初めて製作可能な、とても一般人では手が出せないほどの高級品なのだ。


───ちなみにアーマー君とその侍女さんが使っているのはそのゴーレム馬らしい。道理で進むのがとんでもなく早いわけだ。







だが、それよりも注目を集めている存在がいた。






僕は今、黒い方の馬車に乗って御者をしているのだが.........






「うわぁ......めっちゃ見られてるじゃん」




道行く人全員がこの馬車───正確にはこの竜車を引く、一体の魔物を見つめていた。




その瞳には、好奇、懐疑、不安、驚愕、様々な感情が見て取れた。






その名を知らぬ者はいないとすら言われた───その魔物は、バハムート、伽月である。



決して、馬車を引かせていいような魔物ではないのだから。




「......あれって......バハムートか?」


「いやいや、それは無いって! 流石にバハムートがあんなに小さいわけが......」


「......私、あの黒竜を鑑定してみたんだけど.........本当にバハムートらしいわよ?」


「「「「なんだとっ!?」」」」


「そ、それ以外は何も見えなかったけれどね......」




───そんな会話が聞こえてくる。




ついでにこんな会話も。





「って言うかあの横のってペガサスじゃないのか?」


「うわぁっ!? ほ、本当じゃない! しかもそれに乗ってるのってエルメス王国の第二王女様よっ!?」


「ええっ!? あれって王女様なのかっ!?」





さらにさらに、





「........あの白髪の兄ちゃん、よくあんな馬車の御者が出来るな......俺なら絶対やりたくねぇぜ」


「えーっと.........、ひ、ひぃっ!?」


「な、何があった!?」


「あ、ああ.........わ、私は何も見てないわ。何も。ええ、何も見ていませんとも.........」


「な、何を見たってんだ!?」





ただ単純にステータスを、






名前 褒

種族 め

Lv. ら

HP れ

MP た

STR こ

VIT と

DEX じ

INT ゃ

MND な

AGI い

LUK な



ユニーク

人のステータスを



アクティブ

覗き見するとは、



パッシブ

いい度胸だな?



称号

誰かに話した途端に死滅する、という呪いをかけましましたので。お気をつけください。







としただけの話である。



───人のステータスを覗いたら脅迫文が書かれていただなんて、ちょっとしたホラーだな。



「ちょっとどころじゃないと思うけどね」



隣の恭香からそんな意見が飛んで来る。



「まぁ、確かに暫くは悪夢に出そうな内容だと思うけど、だからといって他人のステータスを覗き見するのは褒められたことじゃないと思うし」



僕も初期の頃は遠慮なく鑑定しまくっていたが、オリビアの正体に気づいてしまってからというもの、僕は無闇矢鱈に人間に鑑定を使わなくなったのだ。


だからエルビンやルーシィ、ネイルにレイシアのステータスだって僕は知らない。何ならベラミやブリジットちゃん、これは懸命な判断だったろうが、エルザのだって知らない。



───と言うか最後のを相手に鑑定なんてしたら、



『うふふっ、もしかしなくても鑑定しようとしました? そんな子には閻魔に代わってお仕置きですよ♡』



とか言って、とんでもないことをしでかすのではないだろうか?





うん、やっぱり鑑定は時と場合を考える必要があるな。







そんなことを思った時のことだった。






「───っ.......、ふ、ふぅ......」





僕は、この時気づいていた───気づいてしまった。







(な、なぁ......? もしかしなくてもこの国って、噂のEXランクの奴.........住んでるのか?)



つい先日教えて貰った、EXランク、時の歯車。





なぜそんなことを聞いたか、と問われれば答えは明白だ。





だって、僕を見ている視線のうち、一つに.........、











────実力ならエルザ以上であろう、文字通りの化物からの殺気(プレゼント)が込められていたことに。






☆☆☆





例の視線の正体については、



「あ、獣王さんじゃない?」



とかなんとか言ってたので、きっとそうなのだろう、という結論に至った。


あの殺気はあの後すぐに止んだので、十中八九僕の実力を一目見て察した獣王が面白がって殺気を飛ばしたのだろう。



───あそこで少しでも反応してたら絶対面倒なことになってたな。


恭香も「今の無反応具合なら、多分だけど獣王さんも『ん? 気のせいだったか?』ってなってるよ?」との御意見だったので、多分大丈夫だろう。



でないと僕tueeeee出来ないから困る。









それで、今、僕達は何をしているか、と言うと。






「はーい! 出場者はこちらへ一列で並んでくださーい! 最後尾はこちらですっ!」




目の前には地球でのコロッセオを髣髴とさせる、闘技場。


その前に、屈強な男や、鋭そうな目つきの女たちがずらりと並んでいる。





そう、武闘会───正式にはグランズ帝国第53回獣王武闘会の参加申し込みの列に並んでいるのだ。



ちなみに今日は、武闘会二日前なのだが、受付自体は武闘会の四日前から二日前───つまり今日を最終日として三日間しか行われないのだ。


まぁ、そうでもしないととてもじゃないが人数を把握しきれないのだろう。




────まぁ、アーマー君やら黒髪の時代の奴らは初日に登録済らしいから、安心して並んでいられる。



「その格好で何言ってるのさ」



そう、僕の後ろに並ぶ恭香がツッコミを入れてくる。




僕のパーティからこの列に並んでいるのは、僕、何故か恭香、白夜、輝夜、レオンに加えて騎士組の三人だ。


───ちなみにこの武闘会は『知性のあるものならば誰でも参加可能』との事だったので従魔も出場可能なのだ。




暁穂は「手加減できる自信がありませんので」



今は変身で手乗りサイズまで小さくなっている伽月と藍月は、上に同じく手加減が出来なさそうだから。



という理由で参加を辞退した。



────こっちとしては参加したメンバーの方が気になるんだがな。




「私はこの身体の使い方になれてきたから、まぁ、腕試しみたいなものかな? まぁ、流す程度だから期待しないでね?」


「妾は主様ともう一度勝負がしたいのじゃっ!」


「クハハッ! 我の姿を世界中に見せびらかす時が来たのだっ!」


「六位の商品が『世界のお肉詰め合わせ』だからである」


「腕試しなのですっ!」


「俺も魔剣の使い方に慣れたいしな」


「私も腕試しですね」




───殺人事件なんて起こすなよ?




ルール知らないけど、そんな心配をする僕だった。







だが、実は今、それ以上に気になることがある。






───それは、






「まさかとは思うけど参加するのってこっち(参加者側)?」



「はっ! どっちもに決まってんだろうが!」



何故か、僕の列のひとつ前にはエルグリットが居るのだ。



コイツは「武闘会に参加しなくてはならない」と言った。

それはつまり、エルメス王国国王として、呼ばれたのだと思っていたが、どうやらそれは勘違いであったようだ。




「司会進行+参加者側だっ! ハハッ! 不定期開催のこの催しをパスするわけがねぇだろうがっ!」



───どうやらもう片方は、賓客側でもなく司会者側だったようだ。




「って言うかお前こそなんだよ、その...」




エルグリットが、僕の顔面を指さしてそう、言おうとした次の瞬間だった。








「おいおい! テメェらガキじゃねぇかッ!? ガキがこんなところに並んでんじゃねぇ! とっとと帰りなっ!」







───お約束が、現れた。






☆☆☆






僕らに絡んできたのは登録を終了し、こちらへと引き返してきた奴らの一人、大剣を背負った大柄な男だった。



───昔はこんなお約束でテンション上がってたっけなぁ......。


魂の大きさが増したせいか、自分の成長がはっきりとわかってしまう僕だった。





「あぁん? なんだ仮面野郎(・・・・)、この俺様を無視するってのかぁ!?」



仮面野郎。


まぁ、安直な名前だが、それでも今の僕を言い表すには丁度いいのかもしれない。



僕の今の服装としては、白色のワイシャツに黒いズボン、紫色のロングコートに黒くて足裏の真っ赤なピエロの靴。それに加えてニヤリと効果音のつくような口と薄目の描かれたシンプルな白いお面に赤いシルクハット。そしてブラッドメタル製のステッキ。



───それが誰であっても、仮面野郎、もしくはピエロ、道化などとあだ名を付けるような見た目である。



もはや僕を僕だと判断できる人物はいないだろう。


コイツらも僕を口調と声だけで判断しているようなものなのだから。




だから、最後にひと細工。




「おや? 我輩に何か、御用ですかな?」



「「「───ッッ!?」」」




口調と声のトーンさえ変えればあら不思議。



もうギン=クラッシュベルの姿は、そこには無かった。





「あぁん!? さっきからこの俺様が話しかけて...」


「おっと失敬、失敬。ついついただの獣が吠えているだけかと思っておりました。そのナリでも我輩に話しかけているつもりでしたか」



───ナリなんて関係ないだろう、とそんなことを思ったが。まぁ、煽るにはちょっと外れたことの方がいいだろう。




(恭香、ここって正当防衛は認められてるよな?)


(う、うん.........)



表と裏での雰囲気の違いに戸惑いがちになる恭香。


───いや、僕を知っている人物であれば皆、驚くのだろうか?




まぁ、今はそれはどうでもいいか。





「それで何用ですかな野獣殿。我輩、これでも忙しい身の上、今から大会の登録をせねばならないのですよ。本来ならば貴方のような馬鹿に構っている暇はありませんが、今は気分がよろしい。特別に話を...」



「この野郎ッ!! 黙って聞いてりゃ舐めやがってッッ!!」



どうやらこの男は、フランがパーティを組んでいたあの男よりも更に短気で、馬鹿なようだ。



ほんの少し煽っただけでこのザマ。



少しくらい、今の僕の不自然さ───不気味さに感づいてもいいと思うんだがな。








───って.........あれっ?







目の前には背中に背負った大剣を抜刀し、顔を真っ赤にしてこちらへ切りかかってくる、大男。


この後の未来が分かってしまったとばかりに目を背ける人々。


一般人の悲鳴が上がる。







───そして、











「なぁ、オッサン。公共の場でそれは、ちぃとやりすぎなんじゃねぇかな?」





目の前には、大男の大剣を()で受け流し、逆にその峰を相手の喉元に押し当てている、黒髪(・・)の青年の姿があった。






まさかここまで早く出会うことになるとはな......。








「お、お前はっ!?」




大男が初めて青ざめたような顔で驚愕を見せる。






何故ならば、











「初めましてだなオッサン、俺はBランク冒険者の『黒炎』だ」






こいつの名は、久瀬 竜馬。






────真っ当なチート主人公だからだ。

真の主人公がやっと登場!

果たしてギンは主人公の座を死守できるのか!?


次回! 勇者たち勢揃い!? 仮面の下で冷や汗をかくが......果たして!?

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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