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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第一章 始まりの物語
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第10話

「くっ、こ、こんな言葉責め如きっ! こんなもので妾は屈したりせぬぞ!」


『あれぇ? 人殺しのクソの分際で何言ってるんですかぁ? 頭でも沸きましたか? あぁ、ごめんなさい、元々でしたねぇ』


「くっ、なんと言う言葉責めっ! はぁはぁ...、だがしかし! そんな言葉責め、まだまた温いわっ! 妾を倒したければもっと悪辣な言葉で責めるのじゃっ! ほらどうした! 早うせんか!」


『まだ自分の立場が分かっていないようですね。あなた如き虫けらのような存在に、私に命令する権利あるわけないじゃないですか。あぁ、これじゃ虫けらに失礼ですね。例えるなら、そうですねぇ、道端に捨てられている犬の糞でしょうか? ん? あれ? 何で犬の糞如きが息をして言葉を話してるんですか? 汚いので息するの止めてくれません?』


「くっ! くふぅー!! な、なんという言葉責めじゃ! はぁはぁ、そ、そんな事言われてしまったら、妾、興奮してしまうじゃろうが!」


「......」



悪辣な言葉を投げかける、珍しくノリノリの恭香さん。

そしてその言葉を受け、はぁはぁ言いながら興奮している変態幼女。

そしてそれを死んだ魚のような目で見つめる僕。



その様子。まさにカオス。



僕は自分自身にもう1度聞いてみた。



何故こうなった? と。




☆☆☆



時は遡ることすこし。


僕が謎の人物(神物)により助けて貰った直後の話だ。



「お前、まさか、傷が......」



その白銀の竜は傷を負っていたのだ、

それもかなりの重傷を。


尻尾は根元から削り取られており、その傷跡は翼の片翼にも見られた。体の中で唯一ウロコに覆われていない腹部は数十にもわたる切り傷と、大きな火傷の痕。そして一番ひどいのが首の中程にある大きな切り傷だ。もはやその首は文字通り、皮一枚で繋がっている、と言われても過言では無い程の有様だ。


普通、人間ならばとっくに死んでいてもおかしくない程の傷を負いながらもその眼は未だこちらを見据えていた。


先程から襲いかかってこないのは、僕を倒した時の一撃で、完全に力が尽きてしまったせいだろう。


それにしても....よく生きてんなぁ...。



あ、いいこと思いついた。


「なぁ、お前のせいで死にかけたんですけど? どう責任とってくれるんですか? あぁん?」



相手が死にかけで動けないことをいいことに、いきなり殺されかけた仕返しをしてみた。



『マスター......』


恭香が何か言いたそうにしていたが、そんなの無視だ。

その目が残念な人を見る目だったのも.....うん、無視だ、無視。



───恭香に目なんてないけどな?




それはともかく。



ん?何だかドラゴンのこちらを見る目が潤んできたような...。


それに何だか息も......。まぁいいや。


ひとまずさっきの神様っぽい人から貰った加護でも確認してみるかねぇ。



「『ステータス』!」



名前 ギン=クラッシュベル (19)

種族 吸血鬼族(真祖)

Lv. 25

HP 235

MP 5860

STR 350

VIT 120

DEX 350

INT 1160

MND 600

AGI 280

LUK 124


ユニーク

真祖

マップ

影魔法Lv.2

アイテムボックスLv.1

影の王Lv.2

経験値3倍

吸血

眷属化


アクティブ

創造Lv.1

水魔法Lv.1

風魔法Lv.1

付与魔法Lv.1

鑑定Lv.2

威圧Lv.1

テイムLv.1


パッシブ

小剣術Lv.2

危険察知Lv.2

全属性耐性Lv.1

混乱耐性Lv.2

痛覚耐性Lv.1


称号 迷い人 創造神の加護 死神の加護




おっとぉ?

何だか凄いことになったなぁ。


あんまり良く覚えてないけど、MPが+5000、INT、MNDがそれぞれ+500かな。


それに死神の加護って......。


あの人死神だったの!?


失礼だったかな......、まぁいいや。


それで、加護の内容は......っと。



死神の加護

死神の加護を受けた証。

魔力超強化、回復力超強化。

テイムのスキルを会得。



おお、吸血鬼と相性抜群じゃないか!


あ、そう言えば自分がこの世界に連れてきたとか言ってたな。

だから吸血鬼になったのだろうか...? まぁ、いいや。



テイムについても見てみようか。



テイム

野生の動物や魔物を従魔としてテイム出来る。

レベルに応じてテイム出来る可能性が上がるが、相手に応じて可能性が上下する場合がある。

相手の承認がある場合は確実にテイム出来る。

また、このスキルの持ち主は、従魔のスキルを1つ共有でき、逆に従魔も持ち主のスキルを1つ共有できる。

Lv.1 テイムの確率 5% (通常時)

テイムに失敗すると、その相手には2度とテイムを使えなくなる。




......なんじゃこれ?


テイムの説明はまだいいとして、


5%って低すぎだろ!


しかも1回きりとか...。


はぁ、これは死にスキルになるかもなぁ。




と、考えていると。


『マスター、マスター。 あのクソドラゴン、今にも死にそうなんですけど、何だか様子がおかしいですよ?』


は?


恭香に言われてドラゴンを見てみる。


するとそこには身体のあちこちから血が吹き出しているにも関わらず、こちらをその潤んだ眼で見つめ、体をもじもじさせて、恍惚な表情を浮かべているヤツがいた。



「......」


『......』




この時、僕と彼女は思った。



((何だかこいつ、やばいヤツなんじゃ......))



最初の時とはまた別な種類の恐怖を感じる僕であった。



☆☆☆



少し落ち着いて考えてみた。



「こいつどうしよう?」


『どうしましょう?』



正直な話、今はもう好奇心なんて微塵も無く、唯々、面倒くさそうな予感がしているだけなのだ。


仮にも僕を殺しかけた相手だ。

下手に助けてもまた襲われる可能性が高い。


(だけど、見捨てるのもなぁ......)



そんなことを考えておよそ数分。


「あっ!」


『? どうしました?』



『テイム』って、もしかしたら使えるんじゃないか?



僕は恭香に死神の加護のことを話して、テイムについて聞いてみた。


『はぁー、マスターは創造神様だけでなく死神様からも加護を貰ってしまったのですか......。このままだと近い内に戦闘能力が真祖って言うステージから外れちゃうと思いますよ?』


「え? そんなに加護って凄いの?」


『はぁ、マスターは加護ってものを全然分かってませんね。加護って言うのはかなり珍しいもので、今現在この世界で持っている人なんて、恐らく10人もいないんですよ? その上持っているだけで素晴らしい能力を得られるらしく、その人たちは誰一人欠けることなく大成していますしね。』


んー?そこまですごいのか?

迷い人の方が珍しいじゃんか。


『まだお分かりいただけてませんか...。マスターの知っているようにお話しますと、闘神の加護ひとつで、プロのヒキニートが100メートル5秒代を軽く出せる、と言った感じです。どれだけ凄いかお分かりですか?』



...わかりやすい説明をありがとう。


とりあえず、加護持ちは化物ってことで憶えておこう。



「あ、そう言えば、テイムについてだよ、テイム」


『あぁ、そう言えばそうでしたねぇ。実際、今のあのクソドラゴンをテイムできる可能性は高く見積もって10%くらいだと思いますよ?』


なかなか激おこな恭香さんであった。


「ん? 何で10%もあるんだ? 1%じゃ...」


『いえいえ、説明にも書いてあると思いますが、テイムというのは相手の状態にも左右されるのですよ。ましてや今のあのクソ虫は死にかけです。遺憾なことに格上とはいえども、あの状態だとある程度テイムできる可能性も上がっているでしょう、まぁ、十中八九無理だと思いますが...』


「あ、あの? 恭香さん? ちょっと、何でそんなに怒ってるんですか?」


『? マスター、何を仰っているのか全く分かりませんね。私は至っていつも通りマスターに接しているつもりですよ? ...あぁ! マスター! まさかあのクソッタレのゴミクズで腐臭を放っている虫けらドラゴンにやられた傷の後遺症が!? くっ、なんてことをッ......』



あ、まずい、これガチなやつだ。



「あぁ、ごめんごめん。気のせいだったみたい」


『そ、そうですか? ならいいんですが...』



恭香って怒ったら結構怖いんだなぁ、ロリッ子ボイスなのに...。



僕は話を逸らすためにドラゴンへテイムをかけて見ることにした。


チャンスは1回きり。


正直なところテイムできる気なんて微塵も無いから、これはほとんどテイムの練習台みたいなもんだ。

だから別に失敗しても何も痛くないのだ。



お気楽な気分でやつに向かって歩いていったのだが......



そのドラゴンの目の前に立つと、僕は思わず鳥肌が立ってしまった。



ドラゴンは先程より更に潤んだ目をこちらに向けて、何かを期待するような眼でこちらを見ている。その上息はもっと荒くなっており、顔は苦痛と言うより快楽に溺れているような恍惚の表情をさらに強めていた。人間で言うならば、そう。アヘ顔ってやつかな......。




何だか嫌な予感がする。





(い、いや、気のせいだ、気のせい!)


そうやって嫌な予感を振り切って、僕は覚悟を決めてこう唱えた。




「テイム!!」









ぴろりろりん!『白銀竜 プラチナドラゴン』のテイムに成功しました。名前を付けてください。


ぴろりん! レベルが上がりました。

ぴろりん! レベルが上がりました。

ぴろりん! レベルが......






僕はレベルアップのファンファーレの中、呆然と立ち尽くしたのであった。



おや、ドラゴンのようすが...

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
― 新着の感想 ―
[一言] ストーリーはおもしろいが、キャラがなんとなくなぁ うーん
[気になる点] なんで「白銀」なのに「プラチナ」なんでしょうか?
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