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転生したらエルフだったので無双する  作者: 随喜夕日
第01章 誕生と出会い
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No.08 変化の兆し

 突然だが、僕がこれ迄授業や生活で学んできた事を交えながら、この世界、【ザカート】における世界事情を説明しようと思う。


 先ず、時間の概念についてだ。

 (こよみ)(いにしえ)の勇者、マークが考えたとされるマーク(れき)を基本として使われている。

 マーク暦における一年は12ヶ月、372日と前世よりもすこし多い。

 そして一ヶ月は31日で、一週は6日それが5回と+1日で一月になる。

 曜日は()(ふう)()(すい)(こう)(あん)と属性魔法のモノが使われている。

 1日の時間は前世と同じ、24時間のものだ。これらの殆どが勇者マークが考えたとされているが、あまりにも前世と似ているのでマークは僕らと同じ元地球人であったのではないかと思う。


 続いて、この辺りの地理について紹介する。

 僕らがいる国は【マーリア】と呼ばれる国で。大陸「シーラ」という場所に存在する。

 この大陸、「シーラ」には三つの大国が存在する。

 一つ目は西の大国「魔法国家フーリア」

 二つ目は北の大国「武装国家シュネーリア」

 三つ目が僕らのいる東の大国「中立国家マーリア」

 そしてこの三つを囲むように幾つかの小国が点在する。


 因みに、僕の住む町、モアルドはマーリアの中で最も西に位置し、しかも他の大国二つと隣接するような場所なので国内の人々からは「極西のモアルド」と呼ばれている。


 僕やイレーナはエルフであるが、そもそもエルフとは正式には長耳族という種族である。

 少し説明しよう。

 長耳族(エルフ)は不老長寿で寿命は千年に及ぶ。

 その間、決して老いることはなく容姿は若きを保つ。

 エルフは様々な点で人間よりも優れている。

 肉体は強靭で、魔眼と呼ばれる能力で魔力を感じとる事が出来る。

 しかし長寿の為、種族人数は極端に少ないのだ。


 このエルフの特徴の中で注目すべき点といえばやはり千年の寿命だろう。

 参考までにこの世界に存在する人族の寿命を紹介する。


 まず人間族、この世界には科学的な医療品は殆ど無いが、それを補える要素の『魔法』がある。よって平均寿命は80年程ある。

 次に獣人族、彼らは人間と()()と呼ばれる知性を持つ獣の間に産まれた種族であり、聖獣の寿命を受け継いでいるため少し長く200年程生きられる。

 他には魔族と呼ばれる種族、しかし一括(ひとくく)りに魔族と言ってもそのなかにも数多くの種族がある為、寿命はまちまちだ。種類の多い悪魔族はばらけて200年~500年程度。

 魔族の中での上位種である吸血鬼(ヴァンパイア)族はエルフと同じく千年生きるといわれている。


 この事から分かる通り、エルフとは他と比べてもかなりの長寿である例外だと言える。

 千年を越える寿命の種族なんて手で数えられる位しかいない。

 神様の気まぐれというのは恐ろしいものだ。


     ◇◆◇◆◇


 時間というのはあっと言う間に過ぎるもので、気付けばもうすぐ12歳だ。

 勉強についてはもう最早教えられることは無くなった。国語は7歳で、地理は9歳で免許皆伝を頂いた。

 魔法については中級魔法と呼ばれる部類のモノまでは使いこなせるようになっている。

 その中級魔法はどんなものかと言うと、初級魔法が火を(とも)したりコップ一杯分のに水を顕現(けんげん)したり風を起こしたり土で食器を作ったりするなら中級魔法は、1m程の炎の火球を飛ばしたり対象を氷漬けにしたり風の刃で木を寸断したり一瞬にして土で壁を作ったりなど出来る。

 普通そういう高等魔法になると長ったらしい詠唱が必要になってくるのだが、僕とイレーナにはそれをせずとも中級魔法が使えた。アイナさんが言うにはセンスがある人には時々出来る人もいるのだとか。


 修了した教科が増えてくると、どうしても時間が空いてくる。何もせずに日向で昼寝というのも良いが、それも何なので、レーナの父親のハンクさんに頼んで剣術を教えてもらっていた。父さんも時々教えてくれる。

 前にも言ったが、僕らは前世でナイフを使った近接格闘術や小太刀術を学んだことはあるが長剣の類いは扱ったことがない。だから、何時も腰に長剣を差しているので教わろうと思ったのだ。実際、それは有意義なものだった。


 さて、そんな日々を送っていた僕らにある日来訪者が訪れた。

 それは、僕たちが庭でハンクさんと木刀を用いた組手をしていた時の事だ。

 ふっと、玄関の方から「御免下さい」と声が聞こえた。

 組手を中断し、そちらの方に行ってみると見た目50歳ほどの壮年の男性がいた。かなり良いガタイの人間だ。服も平民より良いものを来ている

 声をかけてみる。


「こんにちは、母のシャルルか父のオンスにご用ですか?」

「ああ、オンスに用事があってね。君は...」

「息子のアルバートです」

 時々こういう人が訪ねてくる事があるが、そういうのは大抵父さんの事を「殿」なんかを付けて呼ぶ。この人はどうも関係の深い人らしい。或いは余程礼儀がないかだが。


「おお、君がアルバート君か。ん?向こうに居るのはハンクじゃあないか。悪いが少年、庭にお邪魔しても良いかな?」

 どうやらハンクさんとも面識があるらしく、しかも礼儀を弁えた人である。

「ええ、構いません」

 そう伝えると、彼は「ありがとう」と一言いってハンクさんの方に向かって歩いてゆく。

「ハンク!久しぶりだな!お前もここに来ていたのか?」

 その声に気付いたハンクさんが彼の方を振り返り、驚いたような声をあげる。

「おお、ウォーデンじゃないか!久方ぶりだな!

 実はこっちに越してきているんだ」

 二人は握手を交わす。

「そうか、なら隣の家がお前の家かな?」

「ああ、そうだ」

「ははは、優雅そうで何よりだ...ん?その()は?」

 ウォーデンと呼ばれた人が、今度はレーナの方を見る。

「ああ、前に手紙で言った娘のイレーナだ」

「なんと!アイナに似て美人じゃないか!ははは」

 二人の会話を気にせず、イレーナは長剣の(かた)を続けていた。


「それで、今日はどんな用事で来たんだ?お前は王都に住んでいるんじゃなかったか?」

 王都、か。ここモアルドはこのマーリア国の極西に位置し、国の中心に位置する王都【ハリスク】と呼ばれる(みやこ)まで馬車で1ヶ月はかかる。よっぽどの用事がない限りこんな辺境までは来ないという事だ。

「ああ、王都からここまでやって来たのさ。オンスとシャルルに用事があってね。二人はこの屋敷にいるか?」

「シャルルは居るが、オンスは町に出ているな。呼んでこようか?」

「ああ、頼む」


 この、ウォーデンという人の訪れが、僕の日常を変化させるのだった。

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