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転生したらエルフだったので無双する  作者: 随喜夕日
第04章 王族近衛騎士
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No.68 成長

 新人近衛騎士の教官達は週に一度定期会議を行っており、騎士団長であるピトムニクに現状を報告する。

 今は第2回目の会議の最中だ。集まった教官4名とピトムニクが机を囲み、教官達は順番に自分の受け持った新人達の様子を報告してゆく。

 教官達はそれぞれ担当する騎士の種類が違い、一人は剣士、一人は槍士、一人は魔術士、そして最後がそれらとは例外のイリヤである。

 なぜイリヤが例外になるのかと言うと、彼女の下で訓練をしているアルバートたち特待生組は近衛騎士という粒ぞろいの中でも更に選りすぐりの才能を持った者達である。

 アルバート・イレーナの二人は言うまでもなく前代未聞、かつての勇者と肩を並べる魔力量、前世の記憶を用いて磨いた魔術のセンス、そして鍛え抜かれた身体と戦闘術。何をとっても申し分ない存在である。

 アンリ・リーフェは上記二人の影に隠れがちかもしれないが二人とも有力貴族の令嬢でありながらその才能は近年稀にみる逸材と言っていい。

 そしてガルムは、何といっても王族だ。王の血を引く者でありながら平民として、騎士として生活している。その実力に関しても学園入学当初とは見違えて前線を張れる実力を身に着けている。

 彼ら五人は特殊で特別で優秀だ。だからこそ更に力を磨けばもっと上に行ける。そのために起用されたのがイリヤである。スパルタで有名でありしばらくは教官をしていなかったが今回この五人を訓練するにあたって適任であるとピトムニクが指名した。


 順番が回ってきてイリヤが資料に書いた事を報告する。

「アルバート三上士及びイレーナ三上士は団長の言う通りで非の打ち所がない。強いてあげるならイレーナ三上士は長剣の扱いが他に比べて若干甘い事くらいさね。

 リーフェ三上士は体力と魔術共に問題ない、武術は今後の訓練で十分になるだろうね。

 ガルム三上士は魔力量がちょっと少ないが体力はあるし武術も出来てる。魔術は攻撃より回復の方が得意らしいね。

 最後にアンリ三上士は魔術と武術共に問題なし。体力がちょっとなかったけど、もう問題ないさね」

 イリヤが報告を終わり席に着くと、ピトムニクは「そうか、ご苦労」と言って手元の資料に何か書き足してゆく。


 そこへ一人の教官が手を挙げて言った。

「イリヤ一上殿、貴女の訓練はいささか苛酷過ぎはしませんか。特にアンリ三上士に対しての対応が見るに堪えない。もっと──」

 彼は、イリヤのスパルタな訓練を見かねて進言しようとしたが、そこまで言ってイリヤに遮られる。

「ニューオリンズ二上士。アタシはアタシの信念の元に部下を鍛えている。もしアイツらが諦めるならどうせそこまでの器、たいして強くはなれんさね」

 彼は──ニューオリンズ・エルテスは、イリヤの考えは手厳しすぎると思ったが上官の、それも指折りの実力者であるイリヤにはそれ以上何も言えなかった。

 その後会議は粛々と終わり、騎士達は退席して部屋にイリヤとピトムニクだけが残った。

「で、彼らを受け持ってみてどうだった?イリヤ」

「ああ、アンタの言う通り全くもって規格外さね。去年の奴らが赤ん坊に見える」

 イリヤの不躾(ぶしつけ)で失礼な発言も聞かれていなければ問題ない、信頼できる相手になら言って構わない。そういう考えのイリヤは騎士団の中でも特に信頼のおけるピトムニクと二人きりでいる時はかなり率直だった。

「......アタシより強い奴を見るのは久々だよ。この辺りじゃ『王の盾』とアンタ位しか知らない...そうか、あれが盾の息子か......」

 『王の盾』とはアルバートの父、オンスの事だ。アルバートの前ではそんな風体を見せなかったが彼は今でも国内で最高峰の実力と功績を持つ生ける伝説、一騎当千(ワンマンアーミー)の騎士だ。

 単騎の実力で言えばオンスとピトムニクが頂点で次点がイリヤ。戦術・戦略が加わればまた変わるかもしれないが個々の戦力で言えばこのスリートップは誰もが認める実力者だ。

 そんな序列に突然ダークホースが現れた。

 それも1人だけではない、2人...下手をすれば5人になりうる。

「まさに『黄金の豊作』、金が畑ですくすく育ってるって訳さね。

 まだ育つ。どんどん成長する!ますます強くなる!」


 ある人間はきっとそれを恐ろしいと思うだろう。圧倒的な力の前には畏怖の心が生まれる。

 またある人間はそれを邪魔だと思うだろう。自らの野望の前に立ちはだかるには厄介が過ぎるから。


 しかし、純粋に喜ぶ人間も当然居る。


 イリヤがそうだ。彼女は彼らを知っている。短い間ではあるが話してふれあって彼らの人とナリを理解している。だからこそ彼らがきっと将来この国を担い、護り、強くするに違いないと確信している。

 ピトムニクも同じだ。彼もそう感じたからこそ喜んで推薦状も書いた。

 それだけではない。王であるユークや学園長のウォーデンも少なからずそう感じた。


 彼らに出会い、接し、話した者は皆彼らに期待を寄せる。黄金に輝く彼らの素質に、眩く光る彼らの人格に。


 だからこそイリヤはいき込んでいた。

 きっと彼らを強くしてみせる。もっと、もっとと。

 そして、その結果として彼らがこの国に勝利をもたらすのはまだ先の話である。

 なにせ、まだ戦など始まってすらいないのだから。


 しかし確実にそれは迫っていた。

 ピトムニクは思案する。西の諸国間で起きている小競り合いのことを。北の大地に巣食う帝国の動きを。

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