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No.48 再び

今回から試験的に書き方を変えてみます

 倒れたアンリとリーフェは気絶してしまい、リーフェの兄であるシャルゴが2人の様子を見ておくと言って医務室に向かっていった。


 さて、順番がまた回ってきて僕とイレーナの番だ。前回は引き分けてしまったが、今回は勝ちたい...いや勝つ。


「アル、容赦は要りませんよ?」

「勿論だ」

 僕とイレーナは短く会話して闘技場に入る。

 司会者の声がけたたましく鳴り響いた。

『さぁ、またも登場アルバート・シュティーアァ!

 相対するは彼と同じく謎の多い少女、イレーナ・ルセイドォォ!!

 彼女についての情報は、アルバート選手の婚約者である事と保有魔力が彼と同じく「白」である事のみ!

 両者共に規格外の能力!彼らは一体何者なのか!?そして勝利の女神はどちらにキスをするのか!


 では、両者向かい合って...』


 司会者の合図と共に姿勢を低くする。


『始めッ!!!』


「シィィィッ!!」

 戦いの火蓋が切られ、最初に飛び出したのはイレーナだった。強化魔法(グラント)を足に使用し、僕に向かって前のめりに攻め込んで来る。

 僕もグラントを使い、それを右方向へ下がりながら魔法で迎撃した。

 だが、イレーナはそれをものともせずに首をクイッと傾けて回避し速度を緩めなかった。その速度はまさに獲物に迫る狼のようである。

 ある程度距離が近づくとイレーナは左右にステップを刻み始めた。右へ、左へ、左へ、右へと不規則な動きをされ、攻撃の狙いも定められない。

 状況は、前回のマギ=カタの戦い方とは真逆の、フィールド上を縦横無尽に動き回りながらの戦いとなっていた。

 僕が放つ無数の魔法を左右の変則的なステップで華麗に(かわ)し、反撃の魔法を撃ち返してくる。

 (チィッ...!フラッシュ!!)

 僕が不意打ちでリーフェの十八番である『閃光(フラッシュ)』を放つ。光っている間は自分も目をつぶっていなければ被害を受けるが、これでイレーナも堪らず立ち止まる...かと思われた。

「なッ!!?」

 なんと、イレーナは対応してきた。『闇の茨』をその腕に巻き、目を腕で覆いながら突進してくる。

 僕は実戦でこの魔法を使ったことは無い。使ってこなかったからこそ完璧な不意打ちになると思っていた、が。

(読まれた...ッ!?)

 魔眼で魔法の発動は読めても魔法の種類は分からない。閃光を発動する直前の眼を瞑る動作でバレて対応されたか、それとも勘か。どちらにせよ今、こちらは不意を突かれた形になる。

「シィッ!!」

 イレーナが浅く息を吐きながら掴みかかってくる。

「ぐッ!」

 投げられそうになり左手の裏拳で払い除けるが、今度は逆の手で魔法を放たれた。

「ッ──!!」

 風の刃が僕の肩を浅く斬りつけ、血が飛んだ。僕もお返しにと右手で炎を放つ。イレーナの白い肌が焼けた。

 しかし僕達は距離を置くことなく、そのまま接近戦が続く。

 イレーナが払われた手の方向に一回転し、体制を整える。僕は間髪入れずに両手で魔法を放った。しかし、右の氷柱と左の石弾を半身で躱されてしまう。

 イレーナが半身の状態のまま体制を低く構え突進してくる。タックルだ。

 両手を突き出したまま戻せなかった僕は胴体に肩を入れられ背を丸める。

 イレーナがゼロ距離で魔法を放とうとしているのが分かった。体制からして足元を狙われている。避けようにも、左手で服を捕まえられて難しい。

 避ける術は────無いかに思われた。

「らァァッ!!」

 しかし、僕がとった行動は、常識の範疇を超えるモノ。

 前世の実践的な格闘術を身体に覚え込ませていたイレーナにはさぞ予想外だっただろう。

 僕は、グラントで強化された脚力に任せて『上に』跳んだ。

「なッ!?」

 イレーナは肩が入っている状態で上を向くことは出来ず。足元に魔法が炸裂する。

 対して僕はその頭上を弧を描いて跳躍し、すれ違いざまの背中に広範囲攻撃の『刺さる雨』を放った。

「がぁッ──!!」

 イレーナはそれをまともに食らい、地面に倒れた。


『ッ──そこまでぇ!!勝者はアルバァァアト、シュティィィアッ!!』

 司会者の実況が、会場を湧かせた。


 僕はすぐ様倒れたイレーナに駆け寄り回復魔法を施す。殺傷能力を抑えて戦っていたものの、痣にでもなったりしたら申し訳がない。

 少し遅れて、医療係が到着した。しかしもう、治癒は終わっている。僕はイレーナの肩を取り、歩くのを手伝った。

「やっぱり...貴方には敵いません、ね」

「そんな事ないさ、次は負けるかも知れない」

 今回は勝ったものの、辛勝、ぎりぎり勝てたといった感じだ。これで自惚れるほど子供な訳ではない。

「....ええ、次は勝ちます」


 残すはいよいよガルムのみ。

 観客席に戻り彼の横に座り、彼の方をみた。

 ガルムは、緊張しているようであったが、その目にはしっかりと勇気の火を宿していた。

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