No.27 授業
入学式が終わると、広場の一角に張り出されている表を見ておくように、と言われた。行ってみれば、入試の成績が張り出されている。
成績一位は...2人いた。僕とイレーナだ。
二人共が筆記満点かつ保有魔力量が白の中であった為、同率一位である。
その成績表は20人ごとに区切られている。成績順位でクラスが決まるらしい。僕とイレーナを含めた特待生の5人は全員1組(つまりは最上位のクラス)である。アンリは筆記・魔力量共に最上位であったし、リーフェは筆記がイレーナほど振るわなかったものの魔力量ではアンリと同等の力があった。ガルムは魔力量こそ少ないが、筆記ではほぼ満点だ。
表に書かれてあった教室に移動する。入試の時の半分の席が用意されていた。どこに座るかは自由らしいので窓際の席に座ると、隣はイレーナが座り、前にはガルムが、僕の後ろにはアンリが、イレーナの後ろにはリーフェが座った。
すると、誰かが入ってくる。20代の人間族の女性。ミズーリ・エヴァーズマン先生だ。
「全員、席に着いて。
......諸君、試験合格と栄えある1組への編入おめでとう。私は君達の担任を任されたミズーリ・エヴァーズマンです。宜しく」
彼女は教卓の後ろに立って僕らを見回しながら最初の挨拶をした。
「さて、早速ですが先ずは自己紹介を踏まえて模擬戦闘でもしましょうか。全員、格技場に行きましょう」
そう言う彼女の口元には微かな笑があった。
学園内、学舎の後方に位置する場所に半径15m程の円形窪地がある。これが格技場だ。床は全て強化材で出来ており、ありとあらゆる衝撃に耐えうるものを使用している。傾斜の部分は石造りの階段状になっており、格技場を囲むように座ることが出来る。そこへ1組の面々が現在座っていた。みな、少なからず緊張しているような様子である。
「...さて、今から模擬戦闘を行います。
ルールは簡単、相手を戦闘不能にするか降伏させた方の勝ち。回復魔法で治癒できる範囲の攻撃にする事。魔法以外も使って良い事。
この3つです。トーナメント形式で行います。なにか質問は?...アンリさん」
「魔法以外の事とは何でしょう?」
「はい、『何でも』です。例えば柔術などでも構いません。剣などを使いたい場合はそこに木刀を置いてますから自由に持って行って使いなさい」
ミズーリ先生が指さす方には使い込まれた痕跡がある木刀や棍棒が置いてある。成程、極力実戦に近づけている訳だ。魔道士も、実際の戦闘で丸腰の訳が無い。必ず護身用の短刀やら弓やらを持っているものだ。
「...では、1番アルバート・シュティーア。13番メトス・サンドマン。前へ」
初っ端から僕が呼ばれた。相手は初めて見る顔だ。顔立ちは整っており、かなりイケメンの部類に入る。背は175cmほどで13歳にしてはかなり背が高い。
「よろしく頼むよ、アルバート君」
「ああ、宜しく」
軽く挨拶をし、握手して武器を取りに行く。僕は木製の短刀を、彼は長剣を取った。
「では、二人共中へ入って向かい合いなさい。号令を掛けたら開始です」
僕は右手で短刀を逆手持ちして姿勢を低く構える。左手は魔法を放ちやすくするために自由にしている。
対してメトスは木刀を腰に据えたまま、ほぼ直立不動だ。
「...では、始めッ!!」
開始の合図が上から聞こえた、と同時にメトスは詠唱を開始する。火属性の中級魔法だ。完了には5秒はかかるハズ。僕は構わず一気に突進する。2秒も数えないうちにメトスの目の前だ。彼は一瞬戸惑って詠唱を中断した。慌てて剣を抜く。
バックステップでも踏みながら後ろに下がりつつ詠唱を続ければ良いものを、あろう事か剣を抜いて魔道士である事をやめるか。
僕はすかさず下級火魔法のフレアを目前に放つ。指向性のある魔法では無いから目の前で一瞬燃えるだけだが、目眩しには丁度いい。
メトスは狙い通りそちらを意識する。僕はその一瞬をついて左斜め下に姿勢を更に低く前進。メトスが僕に気付いた時には彼の目と鼻の先にいる。
彼は慌てて剣を振ろうとするが、僕は外側から彼の右手を右腕で上から抱え込み、左手で肘を関節の逆方向に抑える。
メトスは理解もできないまま地面に組み伏せられた。うつ伏せになっている彼の背中には僕の短刀が突きつけられている。
「そこまで!」
僕の勝ちだ。
1秒が勝負の行方を決める対人戦というモノの中で、中級魔法以上の詠唱の長い魔法を使うのは愚策としか言いようがない。時には、中級魔法よりも下級魔法の方が有効な手立てであったりするのだ。
観客席が「おお」とざわめく。それこそ、イレーナ以外全員だ。彼女は「当然」と言わんばかりのすまし顔であった。
「次、2番イレーナ・ルセイド。10番ジル・マリノス...」
さて、次はイレーナの番だ。
20,000PV 並びに 7,000ユニーク
さらには 評価ポイント150 突破です!
皆様、本当にありがとうございます!




