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No.19 王都での日常

 さて、賦与の儀式の後学園に戻ったのだが、ウォーデンが「入学試験までの1週間は自由にしていてくれ」と言ったので文字通り自由に過ごした。


 早朝、陽が顔を見せる頃に起きて朝食を作り、ゆっくり食べる。その後は屋敷の前で剣術の練習をして汗をかき、シャワーを浴びてスッキリしたら資料室で魔法についての本(所謂(いわゆる)『魔導書』というもの)を読んで魔法について勉強し、また外に出て実験してみる。

 もちろん、大体はイレーナと一緒にやっている。


 昼になれば学園から出て王都を散策した。さすがマーリア国一の大都市と言うだけあってかなり広く、人通りも多ければ店も多い。気になる店を見つけたら中に入って商品を眺めたり、食事処ならそこで昼食を済ませたりもした。


 その中でも、特にイレーナのお気に入りであったのが菓子屋『リーザ』であった。因みにリーザと言うのはリーザルノという菓子の名前から取ったらしい。それだけあってこの店のリーザルノは格別に美味しかった。

 リーザルノと言うのは簡単に言えばパイだ。名前が違うだけで別段違った所はない。

 少々高価ではあるが、土竜の件で持ち金はかなりあるし、イレーナが林檎のリーザルノを幸せそうに食べるので許容範囲だろう。それに、この世界では甘味は貴重なのだ。


 一通り散策したら学園の近所にある店で野菜やパンなどの食料買って寮(もといエルゲイ荘)に戻る。食料は保管室に入れておいて掃除をする。自分達の部屋から厨房、まだ空室の3部屋も全部掃除する。空室の3部屋は使わないから毎日掃除してもあまり変わらないが、掃除をすれば気持ちよく過ごせるのだ。


 陽が落ちてくると、夕飯の準備を始める。料理当番は毎日交互にしている。

 前世の頃から、僕とイレーナは料理が好きだったので、任務のない休みの日は本などを読みながら新しい料理を試していたし、イレーナ(前世ではカチューシャと呼んでいたが)の作るロシアの郷土料理も好きだった。

 今はこの世界特有の料理も作れるようになってレパートリーは二人とも多彩だ。が、前世の料理については何分(なにぶん)材料が少ないので作れない料理も多いのが悔しいところだ。

 食事を終えたら風呂に入る。風呂は井戸水を汲み上げてきて薪を燃やして温めるのだが、一々面倒なので水魔法で水を出現させてから火魔法で一気に温めている。それなりに魔力を使うが気にする程でもない。

 風呂を沸かしている間はもう1人が夕食のあと片付けをする。先に風呂に入るのは風呂当番だ。別に2人で入ってもいいが、それは成人して結婚したらでいいだろう。少なくとも、他に人が住む(予定)のシェアハウスですることではない。


 エルゲイ荘には全ての部屋に光る魔石が設置されているので夜でもそれなりに明るい...とは言えやはり暗いところもあるので廊下の移動の際はランタンなども併用している。


 あとは寝るだけだ。もちろんイレーナとベッドは別で。僕は二段ベッドの上、イレーナは下だ。


 毎日そんな感じで4日間過ごしてきたのだが5日目の朝に馬車がやって来た。

 エルゲイさんが居たので事情を聞けば、特待生として来る予定の人の私物を部屋に運び出しているのだとか。彼曰く、この王都に住んでいる貴族の令嬢らしい。しかも只の貴族ではない、上級貴族だ。それが2人も。2人とも幼い頃から魔法の才が抜きん出ていたらしく、王族近衛騎士団への入隊も夢ではないのだとか。


 王族近衛騎士団と言うのは、所謂エリートの事だ。求められるのは魔術や剣術の才(どちらかでも良い)と知力と品行方正さ。この条件を満たすものは多くはなく、これに入団できる者は年に2、3人がやっとなのだ。


 もう1人は、ウォーデンが南の方に出張していた時に見つけた農民の息子で、ウォーデンが「磨けば光るものがある」と判断して連れてくることになったらしい。彼の到着はまだらしい。


 そんな話をしている内に、馬車からどんどんと荷物が運び込まれてくる。その代わりに、部屋に元々あったクローゼットやベッド、机が取り払われていた。部屋の中は覗いていないが、運び込まれていった十豪華絢爛とも言える家具の数々を見れば見違えるようになったであろう事が伺える。


 昼になると、ウォーデンがやって来た。僕達は昼食を食べていたのだが、慌ててそれらを厨房に持って行ってから招き入れた。

「実は、明日は一般の入学試験があるのだがな....」

 そこまで言ったウォーデンがなにかに気付いたように鼻をすんすんする。

「...何の香りかね?いい匂いがするが」

「食事中でしたので、急いで厨房に片付けました」

 ウォーデンがそれを聞いた途端ニヤリと笑う。

「おお、そうだったか。これは間が悪いところに来てしまったな。

 それにしても良い香りだ。少し見せて貰ってもいいかね?」

「ええ、勿論です」

 見せて、とは言っているが。どう考えても貰う気だろうな。あからさま過ぎる。

 イレーナが厨房に案内して鍋から一杯よそった。

「よろしければ一杯いかがですか?」

「おお!良いのかね!では、(いただ)こうかな...これは野菜スープかね?」

「ええ、シチーと言う野菜スープです。どうぞ中央室へ、パンを持ってきます」

 僕達も中央室(リビング)へ食べかけだった昼食を持って行く。イレーナがパンの入ったバスケットを持ってきた。

「実は新しく書類仕事が追加されてな、昼食をとる時間も無かったのだ。全く、毎年この時期は忙しくてかなわん...

 おほん...では、揃ったようだし。頂きます」

 そう言ってウォーデンはシチーを飲み、パンをかじる。

「うん、美味い。まだ若いというのに料理もできるのだな」

「ええ、料理は趣味として好きですので」


 そうやって、3人で昼食をとっていたのだが、ウォーデンが本題を言い出さなかったので聞いてみた。

「そういえば、今日は何の御用でこちらに?」

「ん?ああ、そうだ!忘れておった。

 ...明日は一般生徒の入学試験日なのだが、君達は私が直接見ただけで、実際に数値に出した訳じゃないだろう?だからほかのお偉方が『不正でもしたんじゃないか』と五月蝿くてな、試験を受けてほしいのだ。

 それに試験では保有魔力量も測るのだがな、魔力量は魔道士として重要な点でもある。魔力が少なければ見下され、多ければ尊敬される、なんて事もある。ここは選りすぐりの人材が集まっているが君達ほどの者は類を見ない。きっと尊敬されるだろう」


 最後に言ったことに興味はないが...

 試験は受けなければいけないので再度受けることにした。

最近、花粉が酷くなってきて辛いです。

なので更新が遅れるかも知れません。(言い訳)


...嘘です許してください何でもしますから(なんでもするとは言ってない)

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