No.18 素質有る者に力を授けん
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( f ‘∀‘ )fヤッタゼ!
皆さん毎度ご愛読有難うございます!
準備にはそれなりの時間が必要になった。バドミール司教が力を授ける為の衣装(力を授けることを賦与と言うらしい)に着替えなければならないのだとか。その間は教会のシスターから教会の歴史などを聞いたりして時間を潰していた。
「お待たせして申し訳ない。用意が出来ましたよ」
そう言って現れたバドミール司教はそれ迄の白い祭服とは打って変わって黄金に身を包んでいた。
「では早速賦与の儀式を始めましょう。こちらへ」
教会の一番奥に案内される。キリスト教で言うなら結婚式の誓いをたてる場所だ。そこにはザカート教が掲げる唯一神の女神像が正面に飾られていた。左右には神の使徒とされる聖なる鳥と聖なる狼が鎮座している。バドミールが案内したのはその中心で、丁度良く天窓からそこに陽が差し込んでいた。
「では、アルバート君。そこに跪いて下さい。あとは私が君と神様を繋ぐから、目を閉じていて欲しい。
始めるよ...」
言われた通りに眼を閉じるとバドミール司教が僕の頭に手を乗せた。そして、彼が始めると宣言した瞬間。
いつの間にか、僕は青い草原の上に立っていた。
前世で死に、気がつけばいた場所だ。また、戻ってきたのか。
「はい、ようこそ居らっしゃいましたね」
ええ、お久し振りです。女神様。
「今まで、貴方の事を見守っていました。貴方はやはり、強い人間です」
そうでしょうか。僕は自分がまだまだ未熟に見えてなりません。
「謙虚なのはいい事です。自分に自惚れないですしね。
しかし、土竜との戦いは実に面白かったですよ。今まで、魔法と科学を組み合わせて使った者はいませんでしたから。あの酸素との化合を利用した水素爆発は凄かったです」
お褒め頂き、光栄です。
「やはり貴方は面白い。しかも、生まれて早くから鍛錬も怠らず続け、そしてなにより愛する人を護らんとする強い心。
文句無しに、力を授けるに値する人物です。
貴方には、かつての勇者『マーク』と同じ力を授けましょう。力に溺れること無く生きなさい。さすれば、どれ程の苦境であれ乗り切ることが出来るでしょう。
頑張って下さいね...」
気が付けば、僕は元の世界へ戻っていた。否、意識が元の世界に戻ったのだ。僕は未だに跪いている。頭に乗せられた手を、そっと持ち上げて、立ち上がる。
「有難うございます。司教様。女神様に会うことが出来ました」
そう言うと、バドミール司教は笑みを浮かべた。見れば額に汗がにじみ出ている。息も少し荒い。
「そう、ですか。それは良かった。成功したのは20年ぶりですよ。若い御方なのに、相当な鍛錬をなさってきたのでしょう。それは貴方の努力の賜物だ。
少し、力をお見せして頂いても良いかな?」
もちろん、と言おうとして、僕は困った。力の使い方が分からないのだ。しかも勇者マークの力といえば2つある。
絵本に出てくるほど有名な勇者マークは2つの特別な力を持っていた。
一つはありとあらゆるモノを何もかも取り込み、異次元に収納する『亜空間倉庫』
もう一つは東西南北、彼方此方を一瞬にして行き来することが出来る『瞬間移動』
一体どちらの能力を与えられたのか、そしてどうやってそ力を発動させられるのか。検討もつかなかった。
「すみません。どうやって使えば良いのでしょう」
「ああ、これはいけない。私としたことがつい、嬉しくて説明を忘れていた」
こほん、と咳払いして佇まいを直す。
「では、女神様から頂いた能力を、使いたいと念じながら魔力を放出して見てください。きっと使えるはずだよ」
能力の事を考えながら魔力を放出しろと言われても、まずどちらの能力なのかが分からない。取り敢えず、あれば強力な能力である『瞬間移動』イメージしてみることにする。
イレーナの隣に瞬間移動を、と念じて魔力を放出。しかし何も起きない。想像力が甘かったのかと具体的に場所をイメージしても、魔力が足りなかったのかと多めに放出しても何も起きない。
では、『亜空間倉庫』の方が僕の力なのかと思い、ポケットから小銭を取り出して強く「収納」と念じて魔力を放出。
すると、掌に乗っていた小銭が一瞬にして消えた。次に「取り出し」と念じて魔力を放出。小銭が掌に突然現れた。バドミール司教は「おお...これはまさか...!」などと驚いている。
「僕は、かの勇者『マーク』の力が一つ、『亜空間倉庫』を授かりました」
「やはり...素晴らしい能力を頂きましたね」
そう言ったバドミール司教は、今度はイレーナの方を向いた。
「では次にイレーナさんに賦与の儀式を行いましょう。どうぞこちらへ」
イレーナは、僕がしたのと同じ事をそっくりそのままやった。跪いたイレーナに司教が手を乗せる。途端に司教の顔色が悪くなり、汗が滲み出す。しかし10秒もしないうちにイレーナが目を開けた。
「有難うございます。私も力を授かる事が出来ました」
司教が驚いた顔をする。
「本当かね...!?よもや2人ともが賦与に成功するとは...これは類を見ない事態ですね......
力を見せていただいても?」
イレーナは腕を前に出して、魔力を放出した。かなりの魔力が掌に集結し、やがてある武器を型どった形になる。
掌より2回りほど大きな、L字型の武器、折れた付け根の部分には輪っかがあり、その中にはノの字型の金具。
拳銃だ。
しかも前世で彼女が愛用していたものだ。
「それは?」
バドミール司教とウォーデンが首を傾げる。当然 、彼らは知らない武器である。
「一度使ったことがある武器を顕現させられる力のようです...このように」
彼女は一度拳銃を消失させ、今度は掌に短刀を顕現させた。それを見た2人は納得したようだ。
見たところ魔力の消費が激しい力のようだが、まさか前世の武器まで使えるとは...恐ろしい力だな。
「なるほど、護身の力としては十分なモノですね...しかし、どうか2人とも。悪事にだけは使わないで下さい。女神様が悲しまれる」
もちろん。と僕達は応えた。




