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106回目のさよなら未遂  作者: 英汰一
【1】月見ず
3/7

暁鐘3

「あんたさぁ、他に友達居るっしょ。男子の友達も多いじゃん」


「んー、まぁそうだな」


「何で毎度毎度私と帰ろうとするの」


「だって家の方向同じじゃん」


「いや、同じだけど…そういう理由でってのもおかしい気がするのは私だけだろうか」


「私だけだな」


「…普通そこはもっと別の、仲いい友達と帰るもんじゃないの?」


「それじゃあ暁が一人で帰ることになんじゃん」


「あんたが部活の時はいつも一人だよ…」


「うわっ一人?さっみしー」


「うるさいな。そういう事じゃなくて」



夕也は部活で帰る時間が異なる日以外必ずといってもいいほど私と一緒に帰ると言う。何度か理由を聞くものの帰る方向が同じだからと一点張りだ。

夕也なら他にも一緒に帰ったりできる友達なら多い筈なのに。


恐らく交友関係が狭い方である私を気にかけてくれているのだろう。だが、それはいらぬ心配だ。

むしろそれがまた別の問題を引き起こしているので控えて頂きたいくらいだ。



「あんたがそんなんだから、この間付き合ってるのって聞かれたわ」



部活がない日は必ず一緒に帰る。最近の高校生が考えることだ。

それだけで何度と冷やかされたことか…さすがにうんざりする。

一緒にいるだけでそんなにもお前等は色恋沙汰にしたいのか、と喚き散らしたい。



「訂正すりゃあいいじゃん」


「したわ!光の速さでしたわ!それにあんたんとこの部活の人からも冷やかされたし!!」


「あれは俺がちゃんと言ったろ、幼馴染って」


「信じてなかったろ分かれ察しろ」


「んなことねぇって。俺、信用される男だから」



どや顔で胸を張る夕也。一体その自信はどこから湧き上がってくるのだろうか。

突っ込みをいれるのも虚しくなる。


そこで担任が来てホームルームが始まった。

明日も平常日課なので特に何もないらしく、すぐお開きになった。

起立、と日直が面倒くさそうに号令をかけて「さようなら」と疎らな挨拶が教室内に響く。


また恋人だの何だのからかわれるのも不快なので、夕也に捕まる前に教室を出ようと試みたがそれも虚しく、間髪入れずに夕也が目前に現れて(いつの間に支度を済ませていたのだろう)引きずられるように教室を出た。

背後から冷やかしの声が聞こえた気がして内心中指を立てる。



「…ほんと、あんたは好事家」





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