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106回目のさよなら未遂  作者: 英汰一
【1】月見ず
2/7

暁鐘2

私、阿嘉金 暁(あかがね あきら)は高校に入って二度目のある病を現在進行形で患っている。いわゆる五月病である。誰しも一度はなったことがある病気だろう。


しかし学校社会では一般的に五月病で休むことは許されていないようで、そういった理由での病欠は一人もいない。

もしかしたら居るのかもしれないが、腹痛やら頭痛やら発熱等での言葉でカモフラージュしているのだろう。

そんな器用なこと私には出来ない。


では、病は気からというのだから根性をだせば発熱は可能だろうか。

…いや、そんな根性を使うくらいなら学校に来た方が早いだろう。

そこまでして休みたいとも思わないので今日も私は出席日数を確保しに来ていた。



「ーーーー…あーきーらー」



不意に肩を叩かれて振り向くと、誰かの指が右頬に刺さった。ぷにっと。



「…なに」



見ずとも分かる、この声とこの指。こんなことするのは多分このクラスに一人しかいない。



「だって何かぼうっとしてるから」


「可愛い理由だな気持ち悪い」


「可愛いのか気持ち悪いのかハッキリしろよ」



苦笑いを浮かべる彼の名前は桔下 夕也(きおろし ゆうや)

小学校からの腐れ縁で高校まで続いている、認めたくはないけれど幼馴染という関係だ。

明るい色の髪と人懐っこい笑顔が特徴の、誰彼構わずじゃれ付いてくるような子犬みたいな奴である。

こう説明すると好印象を抱かれがちだが、よく考えてもらいたい。

身長170センチを余裕で超えてるような男がそこらにいる女子高生より可愛らしい仕草をするという現状を。

なんかこう…もっと、他にないのだろうか。



「ん、何だよ…って、ててていててて!」



彼の無駄な愛嬌が癪にさわったので、奴の頬に人差し指をグリグリと押し付けてやった。



「急に何だよ!痛いよ!」


「なんかイラっとした」


「理不尽!」


「私より女子力高い夕也にイラっとした」


「そこ詳しい説明いらなかったわ」



いつでも何処でも楽しそうな彼を横目に私はいそいそと帰りの支度をする。

今日の授業は全て終わり、残るはショートホームルームだけなので片付けてしまっても問題ないだろう。



「あ、そうだ。今日俺部活ねえの」


「へえ、そうなの」


「うん。だから一緒に帰れる」



にこー、と笑う夕也。それとは反対に私は溜息が出た。






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