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第二章一話 始まりの林檎

「・・・むぅ」

これは祥子ちゃんの寝言である。あ、でも実際は気絶した後の状態だから、本当に寝ているのかと聞かれれば、返答に困ってしまう。

私が目覚めたのは、病院の病室をここまでかというくらい豪華にした感じの部屋だった。どうやらナンシーさんが保護してくれたようだ。私たちの鞄も部屋のすみに置かれている。この部屋にいるのは私と祥子ちゃんだけ。愛ちゃんとまいちゃんは別の部屋にいるのかな?

部屋の中にある机の上には、果物と果物ナイフの入ったバスケットと手紙が置いてあった。手紙には

「果物は自由に食べていてくれてかまいません。あとこの部屋からは私が迎えに来るまで絶対に出ないで下さい。

ナンシー・エイリー」

と書いてあった。私は特にお腹が空いているわけでもないので、自分の荷物に入っている文庫本でも読もうかと思った時だった。

いきなりドアが開いてナンシーさんが入ってきた。

「大丈夫?いきなり気絶しちゃうから驚いたんだよ?」

とナンシーさん。私は今日のことでまずお礼を言うことにした。

「あ、あの・・・」

「あ、果物食べてなかったの?ダメだよ、ちゃんと食べないと大きくならないよ」

と金髪少女は下から目線で話しかけてくる。

「じゃあ、ちょっと待っててね。」

と言うとナンシーさんはバスケットからりんごを取り出すと、備え付けの果物ナイフで皮をむきだした。私は今度こそお礼を言おうと思ったが真剣にやっているところを邪魔するのも悪いと思い、ベッドの上で座って待つことにした。

しばらくして

「そういえば、まだその子は起きてないの?」

とナンシーさんが、祥子ちゃんを見ながら問い掛けてくる。

「はい」

「ならその子を起こしてもらってもいい?もうすぐりんごを食べる準備ができるから」

と言いながらナンシーさんは棚から紙皿を取りだそうとしている。

私は祥子ちゃんを起こす作業に入った。まず祥子ちゃんのことを揺さぶって起こそうとする。しかし祥子ちゃんは目覚めない。これはいつものことで寝起きの悪い祥子ちゃんには私流の起こし方がある。それは

「とりゃぁ~。」

と言って私は祥子ちゃんの脇腹に本気の六割ほどの力で蹴りをいれた。

「うぅ・・・、おはよう」

とハチミツ無しの青汁を飲んだ時のような顔で祥子ちゃんのお目覚めの時がやって来た。

「起きたね。りんごの準備は終わっているから早く食べよ!」

とナンシーさんが手招きしてくる。私は祥子ちゃんと一緒に席に着いたが、祥子ちゃんは緊張しているのか青汁顔から緊張ありありの顔になっている。

「それでは食べながら自己紹介でもしようか」

とナンシーさんが話を切り出した。

「私の名前はもう知っていると思うけど大丈夫かな?君たちは天津南中学校の生徒だよね?」

一瞬ビクッとしたが今の私の服装は制服。それだったら普通にわかるか。

「はい。私は2年C組の西野木友美と」

「同じく高橋祥子です。」

と二人で自己紹介をした。そして私は相手が話し出すのを制して、

「先程は助けていただき、本当にありがとうございました。」

とさっき言えなかったことを伝えた。

「いえいえ。どうせ仕事なわけだし」

この人なんか面倒くさがりな人かも。

すると祥子ちゃんがもっともな質問をナンシーさんにしていた。

「ここって一体何処なんですか?」

それは私も気になっていた。こんな立派な病室を持った病院が近所にあっただろうか?

「ここは・・・」

そしてナンシーさんから意外な答えが返ってきた。


「ここは魔術管理局第三空間支部病院棟だよ。」

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