奇妙な出会い
ガールズ・ライフ
第一章 奇妙な出会い
「かずちゃん、あそぼう。」
「いいよ、みやびちゃん何して遊びたい。」
「これ。・・・あ、ボール!!」
「みやびちゃん危ない!!」
ボン!ガシャン!!
「いったぁ・・いやぁー!かずちゃん、かずちゃ!!!」・・・・・・・・・・
「お客さん!お客さん!」
「え!あれ・・」
「もう最終出ちゃいましたよ。僕ももう帰りますので、ここにいられると困るんですけど、大丈夫ですか?ちゃんと帰られますか。」
「あ、はい。大丈夫です。すいません、ありがとうございます。」
私は改札口まで送ってくれた駅員さんに頭を下げて駅を後にした。「またあの夢。あぁこれからどうしようかなぁ。」とりあえず私は近くのホテルに泊まることに決めた。しかし、どこもかしこも満室で泊まることができなかった。途方にくれて夜の町を歩いていると、一つのホテルが目に飛び込んできた。最後の望みをかけて私はそのホテルに入った。
「あの一泊したいのですけれど・・」
「申し訳ありません、本日は満室でございます。」
「あ、そうですか。」
やっぱりそうだよね。はぁどうしよう。
「あの!・・もし良かったら私の部屋に一緒に泊まられませんか。えっと、その、きっとこの時間じゃもうどこのホテルも満室だと思いますし、野宿されるのは危ないかと思いますから。」
ホテルを出ようとした私に突然一人の少女が声をかけてきた。知り合いかと思って少し考えてみたが、見たことのない子だった。
「えっと、どちら様ですか」
「あ!すいません初対面です。お困りのようでしたので、もしよろしければの話ですけど。」
「本当によろしいのですか?」
「え、あ、はい。どうぞ。」
「ありがとうございます、非常識なことは重々承知のうえですが、本当にもう行く当てがないのでお言葉に甘えさせてもらいます。よろしくお願いします。」
私は彼女に案内されて彼女の部屋までやってきた。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
部屋にはベッドが二つ綺麗に並べられていて、その一つの横に少し大きめの赤いボストンバッグが置いてあるだけだった。
「あの、本当に今日は泊めていただいてありがとうございます。」
「いえ、私も一人で二人部屋は少し嫌だなぁと思っていたので、ちょうどよかったです。あ、そう言えばたぶん私より年上の方ですよね。敬語じゃなくていいですよ。」
「え、でも・・」
「年上の方に敬語で話されるとなんか落ち着かないんですよ。」
「そっかぁ、じゃぁ私も敬語やめるから、あなたも敬語やめてタメ口で話そうよ。その方が話しやすいよ。」
「そうだね、うん。分かった。」
そう言って初めて見せた彼女の笑顔はとても無邪気で可愛かった。
「あの名前聞いてもいいかなぁ。」
「うん。私はしょうこ。飛翔の翔に子供の子で翔子だよ。」
「そっかぁ翔子ちゃん。いい名前だね。私はみやび。優雅の雅の字一文字で雅だよ。改めてよろしくね、翔子ちゃん。」
「うん。雅さんはどうしてこんなに急に泊まらなければいけなくなったの。」
「ああ、恥ずかしい話なんだけど、仕事に疲れちゃって乗り換えの途中の駅で寝ちゃってね、気付いたらもう電車がなかったの。ばかだよねー。」
「そうなんだぁ、災難だったね。」
「本当にそうだよ。毎日頑張って仕事している私にこんなこと。ひどいよねー神様は、はは。」
「そうだね。」
その時笑っている私とは反対に彼女の顔が少し曇った気がした。気にはなったが、気のせいだろうと思って私はそのことに関して特に何も聞かなかった。
「あなたは学生さんだよね?どうしてこんなところに一人で泊まっているの?」
「・・・・」
「ごめん言いたくないなら言わなくていいよ。プライベートなこと聞いてごめん。あ!もうこんな時間だ。そろそろ寝よっか。」
「うん。おやすみ。」
「おやすみ。」