第14話「勝利の代償」
戦いが終わった。
深淵の裂け目は、永久に封じられた。
「勝った......」
「俺たちは、勝ったんだ......」
だが、歓喜は長くは続かなかった。
「報告......」
「被害状況です......」
「聞かせてくれ」
「連合軍の死者、約五千名」
「負傷者、一万二千名以上」
「......」
「五千人、か......」
「彼らは、英雄です」
「世界を救うために、命を捧げた」
「ああ......」
「彼らの犠牲は、無駄にしない」
ルークは、戦死者の名簿を受け取った。
「......」
一人一人の名前を、見ていく。
「この人たちには、家族がいる」
「待っている人が、いる」
「俺は、この名前を忘れない」
「絶対に」
「ルーク様......」
「リオン、お前も無事でよかった」
「俺は、大丈夫です」
「でも、仲間が......」
「分かっている」
「だから、俺たちは前に進まないと」
「彼らの分も、生きる」
「それが、俺たちの役目だ」
「はい......」
カイは、医務室で休んでいた。
「カイ、大丈夫か」
「はい......体は、回復しています」
「無理をするな」
「お前は、大きな仕事をした」
「ゆっくり休め」
「ルーク......」
「何だ」
「僕は、正しいことをしましたか」
「裂け目を封じることは、正しかったですか」
「なぜ、そう聞く」
「多くの人が、死にました」
「僕のせいで......」
「お前のせいじゃない」
「お前は、世界を救った」
「彼らは、それを守るために戦った」
「でも......」
「カイ」
「お前が、罪悪感を感じるのは分かる」
「俺も、同じだ」
「だが、お前は間違っていない」
「お前がいなければ、もっと多くの人が死んでいた」
「......」
「今は、休め」
「後のことは、俺たちに任せろ」
「はい......」
サラは、外交の調整に追われていた。
「ザルドアとの関係は、どうなりますか」
「難しいですね」
「将軍の反乱は、王の命令ではなかった」
「だが、関係悪化は避けられない」
「やれることを、やりましょう」
「まずは、状況の説明から」
「分かりました」
ヴィクトル王が、到着した。
「ギルバート、よくやった」
「ありがとうございます」
「深淵の脅威を、永久に封じた」
「これは、歴史に残る偉業だ」
「俺だけの力じゃありません」
「カイ、サラ、そして連合軍の全員が」
「力を合わせた結果です」
「その通りだ」
「だから、全員を称えたい」
「戦勝の祝賀会を、開く」
「参加してくれ」
「祝賀会......」
「戦死者の葬儀の後で、お願いできますか」
「......」
「もちろんだ」
「まずは、戦死者を弔おう」
戦死者の葬儀が、行われた。
五千人の魂を、見送った。
「......」
ルークは、墓碑の前に立っていた。
「すまない......」
「お前たちを、守れなかった......」
「だが、お前たちの死は無駄にしない」
「俺は、この平和を守る」
「必ず」
サラが、隣に立った。
「ルーク......」
「大丈夫だ」
「泣いても、いいのよ」
「......」
ルークの目から、涙がこぼれた。
「くそっ......」
「こんなはずじゃ、なかった......」
「俺は、全員を救いたかった」
「でも、できなかった......」
「あなたは、十分やった」
「世界を、救った」
「それでも......」
「失われた命は、戻らない」
「ええ」
「だから、私たちは生きなければならない」
「彼らの分も」
「......ああ」
「その通りだ」
数日後。
祝賀会が、開かれた。
「本日は、連合軍の勝利を祝う」
「そして、戦死者の魂を弔う」
「乾杯!」
「「「乾杯!」」」
「ルーク様、おめでとうございます」
「リオン......ありがとう」
「俺たちは、やりましたね」
「ああ。やった」
「でも、これからが大変ですね」
「復興、外交、やることは山積みだ」
「まあ、今夜くらいは」
「楽しんでもいいだろう」
「そうですね」
「今夜は、祝いましょう」
勝利の代償は、大きかった。
だが、彼らは──前に進むことを選んだ。
次回予告
戦いが終わり、新たな時代が始まる。
だが、まだ解決すべき問題は多い。
そして、次なる戦いの予兆が──
第15話「次なる戦い」
「平和は、まだ遠い」
「だが、俺たちは諦めない」
新たな旅立ち──




