第5部「国境戦争篇:同盟と裏切り」第1話「連合軍の結成」
王国での停戦が成立してから、一週間が経った。
各勢力の代表が、王都に集まっていた。
「本日、連合軍を正式に結成する」
ヴィクトル王が、宣言した。
「深淵王アザルを倒すため」
「我々は、力を合わせる」
集まっていたのは──
大陸連合の代表。
王国の反教会派。
教会の改革派。
そして、ルークたち。
「連合軍の総司令官には」
「ルーク・ギルバートを任命する」
「......」
「俺が、総司令官......」
「異論は、あるか」
「......」
「彼の実力は、認めている」
「異論は、ない」
「よし。決まりだ」
「ギルバート、前に出ろ」
ルークが、前に出た。
「ルーク・ギルバート」
「連合軍総司令官として、深淵王討伐の指揮を任せる」
「拝命します」
「俺は、必ず深淵王を倒します」
「頼むぞ」
「この戦いに、世界の命運がかかっている」
「分かっています」
会議が終わった後。
ルークは、仲間たちと作戦を練っていた。
「連合軍の編成は、どうなっている」
「大陸連合から、三万」
「王国から、二万」
「合計、五万の兵力です」
「五万か......」
「深淵魔の数は」
「正確には分かりませんが」
「各地の報告を総合すると、十万以上と推定されます」
「十万......」
「数では、負けている」
「だが、俺たちにはカイがいる」
「彼の力があれば、数の差は覆せる」
「カイ、準備はできているか」
「はい」
「僕は、いつでも戦えます」
「よし」
「まず、深淵魔の本拠地を特定する」
「そこを叩く」
「本拠地?」
「深淵の裂け目だ」
「深淵魔は、そこから湧き出ている」
「裂け目を塞げば、深淵魔の増援は止まる」
「その上で、深淵王を倒す」
「なるほど」
「理論的には、正しいわね」
「問題は、裂け目の場所だ」
「どこにあるか、分かるか」
「調査隊を出しています」
「数日中には、情報が集まるはずです」
「よし。待とう」
数日後。
調査隊から、報告が入った。
「裂け目の場所が、特定できました」
「どこだ」
「王国の北西部」
「古代遺跡の跡地です」
「古代遺跡......」
「以前、聖地だった場所か」
「はい。そこに、巨大な裂け目があります」
「深淵魔は、そこから湧き出ています」
「規模は」
「かなり大きいです」
「深淵王アザルも、その近くにいる可能性が高い」
「分かった」
「そこを、目標とする」
「連合軍を、編成し直す」
「三つの部隊に分ける」
「第一部隊は、俺が指揮する」
「裂け目への直接攻撃を担当」
「第二部隊は、サラが指揮」
「側面からの援護を担当」
「第三部隊は、予備として待機」
「必要に応じて、投入する」
「カイは、俺と一緒に行動する」
「深淵王との戦闘では、お前が主力だ」
「分かりました」
「僕は、深淵王を倒します」
「頼むぞ」
連合軍の編成が、完了した。
「明日、出発する」
「全軍、準備を整えろ」
「「「はい!」」」
その夜。
ルークは、一人で空を見ていた。
「ルーク」
サラが、近づいてきた。
「眠れないの」
「ああ。明日からの戦いを、考えていた」
「不安?」
「......少しな」
「五万の命を、俺が預かる」
「重い責任だな」
「でも、あなたならできる」
「そう思うか」
「思うわ」
「あなたは、今まで何度も困難を乗り越えてきた」
「今回も、きっと大丈夫」
「私は、あなたを信じている」
「......ありがとう」
「お前がいてくれて、心強い」
「私も、同じよ」
「あなたがいるから、戦える」
「サラ......」
「明日から、大変になる」
「だが、俺たちなら大丈夫だ」
「ええ」
「一緒に、乗り越えましょう」
翌朝。
連合軍が、出発した。
「全軍、前進!」
五万の兵士が、北西へ向かって進軍する。
「壮観だな......」
「これだけの兵力が、一つになるとは」
「深淵王を倒すためだ」
「みんな、覚悟を決めている」
「ルーク様」
リオンが、馬を寄せてきた。
「俺たちも、頑張ります」
「ああ。頼むぞ」
「お前たちは、俺の精鋭部隊だ」
「「「はい!」」」
進軍は、順調に進んだ。
「敵の抵抗は、少ないな」
「深淵魔は、本拠地に集中しているのかもしれない」
「だとすれば、決戦は激しいものになる」
「覚悟しておけ」
数日後。
古代遺跡が、見えてきた。
「あれが......」
「深淵の裂け目......」
巨大な裂け目が、空間を切り裂いていた。
そこから、無数の深淵魔が湧き出ている。
「予想以上だ......」
「深淵魔の数、三万以上......」
「だが、やるしかない」
「全軍、戦闘態勢!」
「「「おおおお!!」」」
連合軍と深淵魔。
その戦いが、今──始まろうとしていた。
次回予告
連合軍と深淵魔の戦いが、ついに始まる。
カイは、前線で戦う。
だが、予想外の事態が──
第2話「初陣」
「深淵魔が、多すぎる......」
「でも、俺たちは負けない」
決戦の幕開け──




