第14話「裏切られた王国」
三人は、王国へ向かっていた。
「国境が、見えてきたわ」
「ああ。だが、様子がおかしい」
国境周辺は、荒れ果てていた。
「これは......」
「戦闘の跡だ」
「内戦が、ここまで......」
「先を急ごう」
国境を越えた。
そこには、悲惨な光景が広がっていた。
「村が......燃えている......」
「深淵魔か」
「いや、これは......人の仕業だ」
「内戦で、村が焼かれたのか......」
「ひどい......」
「生存者を、探そう」
「分かったわ」
村を調べると、数人の生存者がいた。
「大丈夫ですか」
「あなたたちは......」
「俺たちは、大陸連合から来た」
「助けに来たんです」
「助け......」
「もう、遅いよ......」
「この国は......終わりだ......」
「何があったんですか」
「教会派が......反教会派の村を、焼き払った......」
「俺たちは......反教会派だったから......」
「くそっ......」
「教会派め......」
「王都は、どうなっていますか」
「分からない......」
「でも、戦闘が続いているはずだ......」
「分かりました。ありがとう」
「あなたたちは、安全な場所へ逃げてください」
「安全な場所なんて......もう、ないよ......」
三人は、王都を目指した。
「状況は、想像以上に悪い」
「内戦と、深淵魔の被害」
「両方が、重なっている」
「マーカスに、連絡を取りましょう」
「ああ。居場所を、確認したい」
サラが、連絡を取った。
「マーカス、聞こえる?」
「サラか......! 今、どこにいる......!」
「王国に入ったところよ」
「状況は、どうなっているの」
「最悪だ......」
「王都は、教会派に包囲されている......」
「反教会派は、地下に潜伏している......」
「あなたは、無事なの」
「なんとか......だが、長くは持たない......」
「援軍が、必要だ......」
「分かった。すぐに向かう」
「合流地点を、教えて」
「王都の東門近くに、地下への入り口がある......」
「そこで、待っている......」
「分かった。向かうわ」
三人は、王都へ急いだ。
「王都が、見えてきた」
だが、その姿は──
「ひどい......」
「あちこちで、火の手が上がっている」
「戦闘が、続いているようね」
「東門を目指そう」
「マーカスが、待っている」
東門近くに着いた。
「地下への入り口は......」
「あそこだ」
「ルーク......!」
マーカスが、現れた。
「来てくれたのか......」
「ああ。約束しただろう」
「借りは、返す」
「ありがとう......」
マーカスは、やつれた顔をしていた。
「状況を、教えてくれ」
「王都は、完全に分断されている」
「教会派が、西側を支配」
「反教会派は、東側に追い詰められている」
「兵力は」
「教会派が、約三千」
「我々は、千程度......」
「三倍の差か......」
「厳しいな」
「それだけじゃない」
「深淵魔が、街に侵入している」
「両派とも、対処に追われている」
「深淵魔......」
「カイの力が、必要になる」
「ルーク、どうする」
「まず、深淵魔を片付ける」
「それから、教会派との交渉だ」
「交渉? 無理だ」
「連中は、俺たちを皆殺しにするつもりだ」
「だが、共通の敵がいる」
「深淵王だ」
「深淵魔の脅威を見せれば、考えが変わるかもしれない」
「......」
「賭けだな」
「ああ。だが、やる価値はある」
「分かった」
「お前に、賭けてみる」
「カイ、準備はいいか」
「はい」
「僕の力で、深淵魔を倒します」
「よし。行くぞ」
三人は、街中へ出た。
深淵魔の群れが、暴れていた。
「かなりの数だ......」
「でも、カイさんがいれば......」
「任せてください」
カイが、加護を解放した。
「はあっ!」
黄金の光が、深淵魔を消し去っていく。
「すごい......」
「これが、覚醒後の力か......」
「まだまだ!」
カイは、次々と深淵魔を倒していった。
「助かった......」
「あの光は......」
「深淵魔が、消えていく......」
住民たちが、驚きの目で見ていた。
「あれが、カイ・レイナー......」
「深淵王に対抗できる者......」
「噂は、本当だったんだ......」
深淵魔を、全て倒した。
「終わった......」
「街中の深淵魔は、これで全部か」
「たぶん」
「でも、また湧いてくるかもしれない」
「そうだな」
「根本的な解決には、深淵王を倒すしかない」
「ルーク、見て」
サラが、指さした。
「教会派の兵士が、こっちを見ている」
「......」
「交渉の、チャンスかもしれない」
「行ってくる」
「サラ、カイ、ここで待っていてくれ」
「気をつけて」
「ああ」
ルークは、教会派の兵士に近づいた。
「待て、何者だ」
「俺は、ルーク・ギルバート」
「話がしたい」
「ギルバート......反逆者か」
「そうだ。だが、今は敵じゃない」
「何の話だ」
「深淵王の脅威について」
「お前たちも、分かっているだろう」
「......」
「内戦を続けている場合じゃない」
「深淵王が完全に目覚めれば、王国は滅ぶ」
「それは......」
「俺たちは、深淵王を倒す力を持っている」
「協力しないか」
「......」
「待て。上に報告する」
兵士が、去っていった。
「どうなるか、分からないな」
しばらくして、別の人物が現れた。
「ギルバート殿」
「......誰だ」
「私は、教会派の幹部」
「話を聞かせてもらった」
「協力する気は、あるのか」
「......一つ、条件がある」
「何だ」
「カイ・レイナーを、教会に引き渡せ」
「......」
「断る」
「カイは、俺の弟子だ。渡さない」
「なら、協力はできない」
「お前たちを、ここで捕らえる」
「やはり、話し合いは無理か」
「残念だ」
「捕らえろ!」
兵士たちが、ルークを囲んだ。
だが、その時。
「待て」
別の声が、響いた。
「その者たちを、捕らえるな」
「......お前は......」
教会の反対派、アルベルトだった。
「私が、責任を持つ」
「彼らは、深淵王を倒すために必要な存在だ」
「アルベルト......」
「お前たちは、助けに来てくれたんだな」
「ああ」
「感謝する」
「だが、状況は複雑だ」
「教会派の中にも、様々な派閥がいる」
「分かっている」
「だが、俺たちは諦めない」
「王国を、救いたい」
「......」
「お前の気持ちは、伝わった」
「私も、協力しよう」
「ありがとう」
「まずは、停戦を実現させよう」
「深淵王との戦いに、集中できるように」
「ああ」
「時間は、あまりない」
裏切られた王国で、新たな戦いが始まろうとしていた。
次回予告
混乱する王国で、停戦交渉が始まる。
そして、意外な人物が現れる。
旧友との再会が──
第15話「旧友との再会」
「リオン......?」
「ルーク様を、追いかけてきました」
仲間の絆──




