第13話「新たな役割」
第4部「学院崩壊篇:早期覚醒と亡命」
大陸連合での活動が、本格化していた。
ルークは、軍の指揮官として認められつつあった。
「ギルバート殿の作戦は、見事でした」
「深淵魔の群れを、最小限の被害で撃退できた」
「偶然だ」
「いえ、実力です」
「我々は、あなたを信頼しています」
サラは、外交で成果を上げていた。
「王国の反教会派との連絡が、確立できました」
「マーカスとも、定期的に連絡を取れます」
「他の国々との関係は」
「連合外の小国も、協力の意向を示しています」
「深淵王の脅威は、世界共通の問題ですから」
カイは、訓練を続けていた。
「いいぞ、カイ殿」
「加護の制御が、上達している」
「まだまだです」
「深淵王に勝つには、もっと......」
「焦るな」
「着実に、力をつけている」
「このまま続ければ、間違いなく強くなる」
三人は、それぞれの場所で活躍していた。
そして、一ヶ月が経った。
「ギルバート殿」
「陛下が、お呼びです」
「分かった。すぐに行く」
宮殿へ向かった。
カイとサラも、呼ばれていた。
「三人とも、集まったな」
「今日は、重要な話がある」
「何でしょうか」
「君たちに、正式な役職を与えたい」
「役職......」
「これまでは、客人として扱ってきた」
「だが、君たちの活躍を見て、考えを改めた」
「君たちを、連合の正式な幹部として迎えたい」
「幹部......」
「ルーク・ギルバートには、深淵討伐軍の総司令官を」
「サラ・ヴァレンシュタインには、外交顧問を」
「カイ・レイナーには、特別顧問の地位を」
「特別顧問?」
「君の立場は、特殊だ」
「軍人でも、外交官でもない」
「だが、最も重要な存在だ」
「深淵王と直接戦える者は、君しかいない」
「だから、特別な地位を用意した」
「......」
「受けていただけるだろうか」
ルークは、二人を見た。
「どう思う」
「私は、受けます」
サラが言った。
「外交顧問として、役に立てるなら」
「僕も、受けます」
カイが言った。
「深淵王を倒すために、できることをしたいです」
「......分かった」
「俺たちは、この役職を受けます」
「よし。決まりだ」
「明日、正式な任命式を行う」
「それまで、準備をしておいてくれ」
「はい」
宮殿を出た。
「正式な役職か......」
「責任が、さらに重くなるわね」
「ああ。だが、俺たちがやるべきことは変わらない」
「深淵王を倒す」
「そのために、全力を尽くす」
「はい」
「「頑張りましょう」」
その夜。
サラのもとに、緊急の連絡が入った。
「ルーク! 大変よ!」
「どうした」
「マーカスから連絡が......」
「王国が、崩壊しかけている......」
「何だと......」
「教会派と反教会派の対立が、ついに内戦に発展したらしいわ」
「さらに、深淵魔の大量発生で......」
「くそっ......」
「最悪のタイミングだ」
「どうする?」
「......」
ルークは、考えた。
「王国を、助けに行くべきか」
「でも、俺たちの立場では......」
「ヴィクトル陛下に、相談しましょう」
「ああ。そうするしかない」
翌朝。
任命式の前に、ヴィクトルに報告した。
「王国が、内戦状態に......」
「陛下、どうすれば......」
「難しい問題だな」
「連合が介入すれば、さらに状況が悪化する可能性がある」
「だが、放置すれば......」
「王国は、滅びる」
「......」
「一つ、提案がある」
「提案?」
「君たちが、個人として王国に行くのはどうだ」
「個人として?」
「連合の正式な介入ではなく」
「亡命者が、故郷を助けに行く」
「そういう形なら、問題は少ない」
「なるほど......」
「だが、俺たちが行っても......」
「君たちの力があれば、状況を変えられるかもしれない」
「特に、カイ・レイナーの力は」
「......」
「どうする、カイ」
「行きます」
カイが、即答した。
「王国には、俺たちの仲間がいます」
「見捨てるわけには、いきません」
「サラは」
「私も行くわ」
「王国は、私の故郷でもある」
「......分かった」
「俺たちは、王国に行く」
「よし」
「だが、任命式は先に行う」
「正式な地位を持っていた方が、動きやすい」
「はい」
任命式が、行われた。
「ルーク・ギルバートを、深淵討伐軍総司令官に任命する」
「サラ・ヴァレンシュタインを、外交顧問に任命する」
「カイ・レイナーを、特別顧問に任命する」
「「「拝命します」」」
「君たちに、連合の力を預ける」
「世界を、救ってくれ」
「必ず」
任命式の後、三人は準備を始めた。
「王国への旅は、危険だ」
「深淵魔も、追手も」
「分かっています」
「でも、行かなければ」
「リオンたちは、どうしますか」
「連れて行けない」
「彼らは、ここに残って訓練を続けてもらう」
「分かりました」
リオンに、事情を説明した。
「ルーク様が、王国に......」
「俺たちも、行きたいです」
「駄目だ」
「お前たちは、ここで力をつけろ」
「俺たちが戻ってくるまで」
「でも......」
「リオン」
「俺は、お前たちを信じている」
「ルーク様......」
「必ず戻る。待っていてくれ」
「......分かりました」
「ここを、頼むぞ」
「はい。お任せください」
三人は、王国へ向けて出発した。
新たな役職を得た彼らは──
故郷の危機を救うため、再び旅立った。
次回予告
王国は、崩壊の危機にあった。
内戦、深淵魔、そして──
ルークたちは、何を目にするのか。
第14話「裏切られた王国」
「王国が......こんなことに......」
「俺たちが、救わないと」
故郷への帰還──




