第12話「盟主との対面」
大陸連合での生活が始まって、数日が経った。
「ルーク様、宮殿から使者が来ています」
「分かった。通してくれ」
「ギルバート殿」
「ヴィクトル陛下が、正式な会談を望んでおられます」
「今日の午後、宮殿へお越しください」
「分かった。行く」
「カイとサラも、一緒に」
「はい」
午後。
三人は、再び宮殿を訪れた。
「ようこそ」
「今日は、もっと詳しく話をしたい」
「何について、でしょうか」
「同盟の詳細だ」
「深淵王との戦いについて、具体的な話をしよう」
「よろしくお願いします」
「まず、現状を説明しよう」
「深淵王アザルの覚醒により、世界は混乱している」
「各地で深淵魔が大量発生し、被害が広がっている」
「大陸連合も、例外ではない」
「我々も、深淵魔との戦いに追われている」
「王国は、どうなっていますか」
「情報によると、王国は内部崩壊の危機にある」
「教会派と反教会派の対立が、激化している」
「マーカスは......」
「ヴァレンティン家は、反教会派の中心として活動している」
「彼のおかげで、完全な内戦は避けられている」
「そうですか......」
「だが、いつまで持つか分からない」
「深淵王の脅威が増せば、状況はさらに悪化する」
「だからこそ、早急に深淵王を倒す必要がある」
「そのために、君たちの力が必要だ」
「俺たちに、何を求めますか」
「三つの役割を、担ってほしい」
「一つ目。カイ・レイナーには、深淵王との直接戦闘を担ってもらう」
「君の加護は、深淵王に対抗できる唯一の力だ」
「二つ目。ルーク・ギルバートには、作戦指揮を任せたい」
「君の戦術眼は、優れていると聞いている」
「連合軍の一部を、君の指揮下に置く」
「三つ目。サラ・ヴァレンシュタインには、外交を担当してほしい」
「王国との交渉、他国との連携」
「君の交渉力と人脈が、必要だ」
「三人に、それぞれ重要な役割を」
「そうだ。君たちは、ただの亡命者ではない」
「深淵王との戦いの、中核を担う存在だ」
「......」
「重い責任ですね」
「重い責任だが、君たちならできる」
「私は、そう信じている」
「なぜ、俺たちを信じるのですか」
「会ったばかりなのに」
「会ったばかりではない」
「君たちの行動は、以前から見ていた」
「学院での活躍。遠征での戦い。教会との対立」
「全て、情報は入っている」
「君たちは、自分の信念を貫いてきた」
「困難な状況でも、諦めなかった」
「そういう者を、私は信頼する」
「......」
「ありがとうございます」
「それで、君たちの答えは」
「役割を、受け入れるか」
ルークは、カイとサラを見た。
二人とも、頷いた。
「受け入れます」
「俺たちは、この役割を果たします」
「よし。決まりだ」
「これより、君たちを正式に連合の協力者として迎え入れる」
「身分と権限を、与える」
「必要な資源も、全て提供する」
「ありがとうございます」
「では、具体的な話に移ろう」
「まず、訓練について」
「カイ・レイナーの力を、さらに強化する必要がある」
「連合には、古代の知識を持つ賢者がいる」
「彼に、カイの訓練を任せたい」
「古代の知識......」
「深淵に関する研究を、長年続けている者だ」
「カイの加護を、最大限に引き出せるかもしれない」
「ぜひ、お願いします」
「僕も、もっと強くなりたいです」
「よし。紹介しよう」
ヴィクトルが、手を挙げた。
「入ってくれ」
扉が開き、一人の老人が入ってきた。
「この者が、賢者ガレウスだ」
「深淵の研究では、右に出る者はいない」
「初めまして」
「私は、ガレウス」
「カイ・レイナー殿の訓練を、担当させていただきます」
「よろしくお願いします」
「こちらこそ」
「君の加護は、興味深い」
「私の知識が、役に立てば幸いだ」
「早速、訓練を始めたい」
「いつからでも、構いません」
「よし。カイは、ガレウスと共に訓練を」
「ルークは、軍の視察から始めてくれ」
「サラは、外交の準備を」
「分かりました」
会談は、終わった。
三人は、それぞれの役割に就くことになった。
「ルーク」
「どうした、サラ」
「私たち、本当に重要な立場になったわね」
「ああ。責任は重い」
「だが、やるしかない」
「俺たちが、この戦いの中核だ」
「失敗は、許されない」
「大丈夫」
「私たちなら、できる」
「三人で、乗り越えてきたじゃない」
「そうだな」
「カイ、お前もそう思うか」
「はい」
「僕たちは、最強のチームです」
「何があっても、乗り越えられます」
「......頼もしいな」
「さあ、それぞれの仕事に取りかかろう」
「「はい」」
三人は、それぞれの場所へ向かった。
ルークは、軍の視察へ。
サラは、外交部門へ。
カイは、賢者ガレウスのもとへ。
「ルーク・ギルバート殿ですね」
「連合軍の司令官、レオンハルトです」
「よろしく」
「こちらこそ」
「早速だが、軍を見せてもらえるか」
「もちろんです」
軍の施設を見て回った。
「兵力は、約五万」
「精鋭部隊も、揃っています」
「装備は」
「最新のものを、用意しています」
「対深淵魔用の武器も、開発中です」
「なるほど......」
「素晴らしい戦力だ」
「だが、深淵王相手には足りない」
「我々も、そう考えています」
「だからこそ、あなた方に期待しているのです」
「期待に応えよう」
「俺たちは、深淵王を倒すためにここに来た」
一方、サラは外交部門で打ち合わせをしていた。
「各国との連携は、どうなっていますか」
「連合内の五ヶ国は、協力体制を整えています」
「王国との関係は」
「現在、断絶状態です」
「だが、反教会派とは水面下で接触しています」
「マーカスとは、連絡が取れますか」
「可能です」
「必要であれば、手配します」
「お願いします」
「王国との和解は、重要です」
カイは、賢者ガレウスのもとで訓練を始めていた。
「カイ・レイナー殿」
「まず、君の加護について知りたい」
「僕の加護は......」
「深淵に対抗できる光の力です」
「覚醒してから、さらに強くなりました」
「なるほど」
「君の加護は、古代の文献にも記されている」
「『深淵を照らす光』と呼ばれていた」
「深淵を照らす光......」
「そう。深淵王を倒すために、神が与えた力だと」
「神が......」
「真偽は分からない」
「だが、君の力が特別なのは、確かだ」
「その力を、最大限に引き出す」
「それが、私の役目だ」
「お願いします」
「僕は、もっと強くなりたいです」
「ルークと、サラさんのために」
「いい心がけだ」
「では、始めよう」
こうして、三人はそれぞれの役割を果たし始めた。
深淵王との決戦に向けて──
準備は、着々と進んでいった。
次回予告
それぞれの役割に就いた三人。
そして、彼らには新たな立場が与えられる。
だが、王国からは不穏な知らせが──
第13話「新たな役割」
「俺たちは、連合の柱となる」
「だが、王国が......」
決断の時が、迫る──




