第10話「国境越え」
大陸連合への旅。
馬車は、順調に進んでいた。
「景色が、変わってきたわね」
「ああ。王国とは、違う」
「大陸連合は、どんな国なんですか」
カイが尋ねた。
「俺も、詳しくは知らない」
「複数の国家が、連合を組んでいる」
「教会の支配下にはない」
「それくらいしか、分からない」
「教会の支配下にない......」
「それだけでも、俺たちには助かる」
「ああ」
使者が、説明してくれた。
「大陸連合は、五つの国で構成されています」
「各国は、独立した統治を行っていますが」
「外交と軍事は、連合として一体化しています」
「五つの国......」
「それぞれ、特色があります」
「今回向かうのは、連合の中心国、アルカディアです」
「アルカディア......」
「首都は、エリュシオン」
「連合議会と、連合王がいる場所です」
「連合王......」
「ヴィクトル陛下ですね」
「はい。彼が、連合全体を統括しています」
「彼は、俺たちに何を求めているんだ」
「それは、陛下から直接お聞きください」
「......分かった」
旅は続いた。
「ルーク様、後ろから......」
「分かっている」
「追手だな」
馬車の後方に、騎馬の集団が見えた。
「王国軍か」
「いや、違うわね」
「あれは......」
「大司教派の残党です」
使者が言った。
「国境を越えても、諦めていないようですね」
「まだ追ってくるのか......」
「諦めの悪い連中だ」
「どうしますか」
「迎え撃つ」
「馬車を止めてくれ」
馬車が止まった。
「カイ、サラ、来い」
「残りは、馬車で待機しろ」
「「「はい!」」」
三人は、追手に向かった。
「止まれ」
追手の集団が、近づいてきた。
「カイ・レイナーを、渡せ」
「断る」
「なら、力ずくで奪う」
「やってみろ」
ルークが、剣を構えた。
「お前たちに、大司教様の計画は止められない」
「大司教は、もう追放されただろう」
「形式的にはな」
「だが、大司教様の意志は生きている」
「俺たちが、受け継ぐ」
「深淵王と融合し、世界を支配する」
「狂っている」
「狂っているのは、お前たちだ」
「深淵王の力を、恐れて逃げ回っている」
「俺たちは、逃げてなんかいない」
「深淵王を倒すために、戦力を整えているんだ」
「倒す? 深淵王を?」
「不可能だ」
「深淵王の力は、神に等しい」
「神でも、悪魔でも」
「俺たちは、倒す」
「カイの力があれば、可能だ」
「カイ・レイナーの力......」
「だからこそ、彼を奪う」
「大司教様の計画には、彼の加護が必要だ」
「渡さない」
「なら、死ね」
戦闘が始まった。
「はあっ!」
ルークが、先頭を切って突撃した。
「サラ、援護を!」
「分かったわ!」
サラが、魔法で敵を牽制する。
「カイ、大きいのを頼む!」
「はい!」
カイが、加護の力を解放した。
「光よ......!」
黄金の光が、敵の集団を吹き飛ばした。
「くっ......!」
「なんて、力だ......!」
「撤退だ......!」
「この力には、勝てない......!」
敵が、逃げ始めた。
「追うか」
「いや、放っておけ」
「俺たちの目的は、首都に着くことだ」
「分かりました」
「戻りましょう」
馬車に戻った。
「ルーク様、ご無事でしたか」
「ああ。問題ない」
「追手は、撃退した」
「さすがです」
「カイさんの力、すごかったですね」
「覚醒後は、本当に桁違いだ」
「でも、まだ追手が来るかもしれない」
「油断はできないわ」
「ああ」
旅は続いた。
「あと一日で、首都に着きます」
「よし。急ごう」
だが、また問題が起きた。
「前方に、深淵魔の群れです!」
「何だと......」
「大陸連合にも、深淵魔が......」
「深淵王の覚醒で、世界中に広がっているんだ」
「どこも、安全じゃない」
「戦うしかないわね」
「ああ」
「みんな、戦闘準備!」
馬車を守りながら、深淵魔と戦った。
「十体! 二十体!」
「こっちも、十五体!」
「カイ、前線を頼む!」
「はい!」
カイの加護が、深淵魔を消し去っていく。
「すごい......」
「カイさんが、一番強いんじゃないか......」
「まだまだだ」
ルークが言った。
「深淵王に比べれば、まだ足りない」
「もっと、強くなる必要がある」
「はい」
「僕も、そう思います」
深淵魔を、全て倒した。
「終わった......」
「怪我人は」
「軽傷者が数名。重傷者はいません」
「よし。先を急ごう」
「首都まで、あと少しだ」
翌日。
ついに、首都エリュシオンが見えてきた。
「あれが......」
「大陸連合の首都......」
巨大な城壁に囲まれた、美しい都市。
「王国の首都より、大きいわね」
「ああ。さすがは、連合の中心地だ」
「ようこそ、エリュシオンへ」
使者が言った。
「これより、宮殿へご案内します」
「宮殿......」
「ヴィクトル陛下が、お待ちです」
馬車は、城門をくぐった。
街の人々が、こちらを見ている。
「あれが、亡命者たちか......」
「深淵王に対抗できる力を持っているらしい......」
「噂になっているようね」
「仕方ない」
「俺たちは、注目の的だ」
宮殿に到着した。
「ここで、お待ちください」
「陛下への謁見の準備を、整えます」
「分かった」
「待たせてもらう」
待合室で、待機した。
「緊張するわね」
「ああ」
「連合王との対面だ」
「何を話せばいいんでしょうか」
「俺たちの目的を、伝える」
「深淵王を倒すために、協力を求める」
「受け入れてもらえるでしょうか」
「分からない」
「だが、やるしかない」
「ギルバート殿」
「陛下が、お呼びです」
「行こう」
三人は、謁見の間へ向かった。
そこには──連合王ヴィクトルが、待っていた。
次回予告
連合王ヴィクトルとの対面。
彼は、何を求めているのか。
そして、三人の新しい役割とは──
第11話「新天地」
「我々は、あなた方を歓迎する」
「共に、深淵王に立ち向かおう」
新たな同盟が、動き出す──




