第8話「学院の崩壊」
深淵王アザルの目覚め。
それは、世界中に衝撃を与えた。
「各地で、深淵魔が大量発生しています」
「被害は、甚大です」
三人は、王都に戻っていた。
「学院は、どうなっている」
「連絡が取れない状態です」
「まさか......」
「急いで、学院に向かおう」
「リオンたちが、いるはずだ」
「はい」
学院へ向かう途中。
空から、恐ろしい光景が見えた。
「あれは......」
「学院が......」
学院の周囲が、深淵魔に囲まれていた。
何百、何千という数。
「馬鹿な......」
「みんなは、無事でしょうか......」
「分からない。だが、急がないと」
「行こう」
学院に近づくと、戦闘の音が聞こえた。
「戦っている......」
「まだ、生き残りがいる」
「急ごう」
「カイ、お前の力で道を開けるか」
「やってみます」
カイが、加護の力を解放した。
「はあっ!」
黄金の光が、深淵魔を吹き飛ばした。
「すごい......」
「覚醒後の力は、桁違いだな」
「進め!」
三人は、深淵魔を倒しながら学院に向かった。
「十体! 二十体!」
「こっちも!」
学院の門に着いた。
「リオン!」
「ルーク様!」
リオンが、訓練生たちと共に戦っていた。
「無事だったか」
「はい! なんとか......」
「状況は」
「学院の半分が、崩壊しました」
「生き残りは、この辺りに集まっています」
「他の生徒たちは」
「避難させました。今は、地下に」
「よし。守りを固めろ」
「ルーク様、深淵魔が多すぎます」
「このままでは......」
「分かっている」
「カイ、行けるか」
「はい」
「僕が、大きいのを叩きます」
カイが、前線に出た。
「来い......!」
黄金の光が、深淵魔を次々と消し去っていく。
「すげえ......」
「カイさん、あんなに強かったのか......」
「覚醒したからだ」
「カイ、無理はするな」
「大丈夫です」
「まだ、戦えます」
戦闘は、数時間続いた。
「終わった......」
「とりあえず、撃退できた......」
だが、学院は無惨な姿になっていた。
「ひどい......」
「建物の半分が、壊れている......」
「死者は」
「二十三名......」
「負傷者は、五十名以上......」
「......」
「くそっ......」
ルークは、拳を握りしめた。
「俺が、もっと早く来ていれば......」
「ルーク様のせいではありません」
「深淵王が目覚めた以上、こうなるのは......」
「それでも......」
「ルーク」
サラが、ルークの肩に手を置いた。
「今は、生き残った人たちを守ることを考えましょう」
「......ああ」
「学院長は」
「無事です。負傷していますが」
「会いに行こう」
学院長室へ向かった。
部屋も、半壊していた。
「学院長」
「ギルバート君......」
学院長は、ベッドに横たわっていた。
「無事だったか......」
「俺たちは、無事です」
「よかった......」
「学院は......」
「見ての通りだ」
「もう、学院としての機能は......」
「......」
「すまない......」
「学生たちを、守れなかった......」
「学院長......」
「俺が、謝るべきです」
「もっと早く、戻っていれば......」
「いや......これは、俺の責任だ」
「......」
「ギルバート君」
「一つ、頼みがある」
「何ですか」
「生き残った学生たちを、連れて行ってくれ」
「連れて行く?」
「ここは、もう安全ではない」
「深淵魔は、また襲ってくるだろう」
「だから......」
「お前たちと一緒に、逃げさせてくれ」
「大陸連合へ」
「......」
「俺は、最初からそのつもりでした」
「みんなを、置いていくつもりはありません」
「そうか......」
「ありがとう......」
「頼んだぞ......」
「学院長は、どうするんですか」
「俺は、残る」
「残る?」
「この学院と、最後まで一緒だ」
「それが、院長としての責任だ」
「でも......」
「行け。俺のことは、気にするな」
「お前たちには、まだやるべきことがある」
「深淵王を、止めるんだろう」
「......はい」
「なら、俺に構っている暇はない」
「行け」
「......分かりました」
「学院長、今までありがとうございました」
「ああ......お前も、頑張れ」
ルークは、学院長室を出た。
「ルーク......」
「大丈夫だ」
「学院長の意志を、無駄にしない」
「みんなを集めろ」
「大陸連合へ、向かう」
「はい」
生き残った学生たちが、集められた。
「みんな、聞いてくれ」
「俺たちは、ここを離れる」
「どこへ行くんですか」
「大陸連合だ」
「そこで、態勢を立て直す」
「大陸連合......」
「遠いですね......」
「だが、安全だ」
「ここにいては、また襲われる」
「だから、逃げる」
「逃げることは、恥じゃない」
「生き延びることが、大事だ」
「生き延びて、戦う力を蓄える」
「それが、今の俺たちにできることだ」
「......分かりました」
「ついていきます」
「「「ついていきます!」」」
「よし」
「準備ができ次第、出発する」
「必要なものを、持ってこい」
学生たちが、準備を始めた。
「ルーク様」
「どうした、リオン」
「学院長は、本当に残るんですか」
「ああ。そう言っていた」
「......」
「俺も、残りたかった」
「だが、学院長の意志を尊重する」
「俺たちは、前に進まないといけない」
「はい......」
「分かりました」
数時間後。
準備が整った。
「全員、揃ったか」
「はい。四十二名です」
「よし。出発する」
「大陸連合を目指す」
「道中、深淵魔に遭遇するかもしれない」
「気を引き締めていけ」
「「「はい!」」」
一行は、学院を後にした。
「さよなら、学院......」
「俺たちの、青春の場所......」
「いつか、戻ってくる」
「深淵王を倒したら、必ず」
「......はい」
崩壊した学院を背に、一行は進んだ。
行き先には、未知の世界が待っていた。
だが、彼らは──諦めなかった。
次回予告
学院を離れた一行。
だが、王国を離れるには、重大な決断が必要だった。
ルークは、覚悟を決める──
第9話「亡命の決意」
「俺たちは、王国を捨てる」
「だが、後悔はしない」
決断の時──




