表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ざまぁ役は、主人公の専属コーチになりました  作者: とま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/62

第3話「供物の儀」

村を発って、三日が経った。


「次の村が、見えてきたわ」


サラが言った。


「ここで、補給しよう」


「はい」


三人は、村に入った。


* * *


だが、村の様子は異様だった。


「何だ......この雰囲気」


「人が、おびえてる」


「何かあったみたいね」


* * *


広場に、人だかりができていた。


「何があったんだ」


ルークは、近くの男に尋ねた。


「教会の儀式だ」


「儀式?」


「供物の儀、というらしい」


「供物の儀......」


* * *


「どんな儀式なんだ」


「よく分からん。だが──」


男は、声を潜めた。


「生贄が、必要らしい」


「生贄?」


「人間の、だ」


* * *


「人間の生贄だと......」


「ああ。村の娘が、選ばれた」


「選ばれた?」


「教会が、勝手に決めたんだ」


「そんな馬鹿な」


「馬鹿げてる。だが、誰も逆らえない」


* * *


「なぜ、逆らえないんだ」


「教会の力は、絶対だ」


「......」


「逆らえば、村全体が破滅する」


「脅しか」


「そうだ。だから、皆従うしかない」


* * *


「ルーク......」


カイが言った。


「これ、放っておけません」


「ああ」


「でも、教会と対立することになるわよ」


「分かっている」


「どうするの」


* * *


「まず、状況を確認する」


「はい」


「儀式の詳細を調べよう」


「分かったわ」


「そして、止める方法を考える」


* * *


三人は、情報を集めた。


「儀式は、明日の夜明け」


「場所は、村外れの祠」


「選ばれた娘は、十五歳のリリア」


「十五歳......」


「若い娘を、生贄に......」


* * *


「教会の司祭は、誰だ」


「ベルナール......じゃないわね。別の司祭」


「名前は」


「ガルディス。辺境の布教を担当する司祭だそうよ」


「ガルディス......」


「評判は良くないわ。強引で、傲慢だと」


* * *


「儀式の目的は」


「深淵の浄化、だそうです」


「浄化?」


「この辺りの深淵汚染を、払うための儀式らしいです」


「だが、生贄が必要とは......」


「本当に、必要なのかしら」


* * *


「俺も、疑問だ」


ルークが言った。


「教会の正式な教義に、人間の生贄はない」


「本当に?」


「ああ。勇者の育成には、生贄など使わない」


「では、この儀式は......」


「異端か、あるいは別の目的がある」


* * *


「どうする」


「司祭と、話をする」


「話を?」


「儀式の正当性を、問いただす」


「危険じゃない?」


「危険だが、やるしかない」


* * *


ルークは、司祭ガルディスを訪ねた。


「ギルバート家の......これは珍しい」


「用件がある」


「何でしょう」


「明日の儀式について」


「ああ、供物の儀ですか」


* * *


「生贄は、本当に必要なのか」


「もちろんです」


「教会の教義には、そんな儀式はないはずだ」


「......」


ガルディスの目が、鋭くなった。


「お詳しいようですね」


* * *


「俺は、教会の者たちと関わりがある」


「ベルナール司祭のことですか」


「ああ」


「彼とは、方針が違うのです」


「方針?」


「深淵を払うには、強力な手段が必要」


「生贄が、その手段だと」


「そうです」


* * *


「根拠はあるのか」


「古い文献に、記されています」


「見せてくれ」


「......」


「見せられないのか」


「部外者には、お見せできません」


「では、信用できないな」


* * *


「信用する必要はありません」


ガルディスは冷たく言った。


「儀式は、予定通り行います」


「村人は、同意しているのか」


「同意は、必要ありません」


「何だと」


「これは、教会の決定です。村人は、従うだけです」


* * *


「それは、横暴だ」


「横暴? 違いますよ」


「何が違う」


「これは、彼らを救うための行為です」


「一人を殺して、多数を救う。合理的でしょう?」


「......」


「あなたも、貴族ならお分かりでしょう」


* * *


「分からないな」


「何?」


「一人の命も、多数の命も、同じ命だ」


「......」


「どちらも、勝手に奪っていい理由にはならない」


「理想論ですね」


「理想だろうが、俺はそう考える」


* * *


「では、どうするおつもりで」


「儀式を、止める」


「止める? どうやって」


「必要なら、力ずくでも」


「......」


ガルディスは、笑った。


「面白い。やってみるといい」


* * *


「後悔するぞ」


「こちらの台詞だ」


「......」


ルークは、部屋を出た。


* * *


「どうだった」


「話にならない」


「止められないの?」


「話し合いでは、無理だ」


「では......」


「実力で、止める」


* * *


「実力で......」


「ああ。明日、儀式が行われる前に動く」


「具体的には」


「生贄に選ばれた娘を、救出する」


「救出......」


「そして、儀式を中止に追い込む」


* * *


「でも、教会と敵対することになるわ」


「分かっている」


「大丈夫なの」


「大丈夫かどうかは、分からない」


「......」


「だが、見て見ぬふりはできない」


* * *


「ルーク......」


カイが言った。


「僕も、手伝います」


「いいのか」


「はい。あの娘を、死なせたくありません」


「......」


「それに、これが正しいことだと思うから」


* * *


「私も、手伝うわ」


サラも言った。


「教会の横暴は、許せない」


「サラ......」


「三人なら、きっとできる」


「......ああ」


* * *


「作戦を、練ろう」


「はい」


「まず、娘がどこにいるか確認する」


「おそらく、祠の近くに監禁されてるわ」


「見張りは」


「教会の兵士が、何人かいるはず」


* * *


「兵士の数は」


「多くて十人、と見ている」


「十人か」


「三人で対処できる」


「でも、できれば無傷で」


「殺したら、後が面倒だからな」


* * *


「夜明け前に、動く」


「何時頃」


「儀式の一時間前。まだ暗いうちに」


「分かった」


「見張りを無力化して、娘を救出」


「そして、村から脱出」


「計画は、それでいい」


* * *


その夜、三人は準備を整えた。


「武器の確認」


「大丈夫です」


「私も」


「では、少し休め。夜明け前に起きる」


「はい」


* * *


夜明け前。


「起きろ」


「......はい」


「行くぞ」


三人は、静かに宿を出た。


* * *


祠に向かう。


「見えた。見張りだ」


「四人」


「予想より少ないわね」


「油断するな。中にも、いるかもしれない」


* * *


「俺が前に出る」


「はい」


「サラは左から、カイは右から」


「分かった」


「合図は、俺の剣が光った時だ」


「了解」


* * *


ルークは、正面から近づいた。


「誰だ」


「旅の者だ。道に迷った」


「道に迷った? ここは立入禁止だ」


「すまない。戻る」


「待て──」


* * *


その瞬間、ルークの剣が光った。


「今だ!」


* * *


三人が、同時に動いた。


「何っ──」


見張りたちは、あっという間に無力化された。


「よし、中へ」


* * *


祠の中には、もう二人の見張りがいた。


「侵入者!」


「黙れ」


ルークが、瞬時に二人を倒した。


「娘は、どこだ」


* * *


「ここです!」


カイが、奥の部屋を見つけた。


「縛られてる......」


「助けてくれ......」


「大丈夫、もう安全だ」


カイは、娘の縄を解いた。


* * *


「逃げるぞ」


「は、はい......」


娘を連れて、祠を出る。


「急げ。夜明けまでに、村を出る」


「分かった」


* * *


だが、その時。


「待て」


声がした。


ガルディスが、兵士を連れて立っていた。


「逃がすと思ったか」


* * *


「どけ」


「どくと思うか」


「どかないなら、倒す」


「やってみろ」


ガルディスが、杖を構えた。


「教会の力を、見せてやる」


* * *


「サラ、娘を連れて先に行け」


「でも──」


「俺とカイで、ここを抑える」


「......分かったわ」


サラは、娘を連れて走り出した。


* * *


「逃がすな!」


「させるか!」


ルークとカイが、立ちふさがった。


「邪魔をするなら、容赦しない」


「こちらこそ」


* * *


戦闘が始まった。


「はあっ!」


ルークが、兵士たちを薙ぎ払う。


「カイ、援護しろ!」


「はい!」


* * *


「くそっ、強い......」


兵士たちは、次々と倒れた。


「司祭様、逃げてください!」


「逃げるものか!」


ガルディスが、魔法を放った。


* * *


「っ!」


ルークは、魔法を剣で弾いた。


「甘い」


「何っ──」


ルークの剣が、ガルディスの杖を叩き落とした。


「終わりだ」


* * *


「くっ......」


「儀式は、中止だ」


「お前......覚えておけ......」


「覚えておけ? 俺は何度でもやるぞ」


「......」


「無辜の民を殺すなら、俺は何度でも邪魔をする」


* * *


ルークとカイは、村から脱出した。


「サラ、娘は」


「無事よ」


「よかった......」


娘は、泣きながらお礼を言った。


「ありがとう......ありがとう......」


* * *


「礼はいい」


「でも......」


「お前は、自分の人生を生きろ」


「......はい」


「誰にも、お前の命を奪う権利はない」


「ありがとうございます......」


* * *


三人は、娘を安全な場所まで送り届けた。


「これから、どうするの」


「教会と、対立してしまったわね」


「ああ。だが、後悔はしていない」


「僕も、です」


「私も」


* * *


「正しいことをした」


ルークは言った。


「それだけで、十分だ」


「そうね」


「先を急ごう。聖地が、待っている」


「はい」


* * *


次回予告


* * *


教会との対立を乗り越え、旅は続く。

三人の役割が、明確になっていく。

サラが治安、ルークが交渉、カイが救出──


第4話「交渉の剣」


「俺たちは、それぞれの役割がある」

「協力すれば、何でもできる」


チームワークが、試される──


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ