表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ざまぁ役は、主人公の専属コーチになりました  作者: とま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/62

第2話「聖印の共鳴」

洞窟の入り口に、三人は立っていた。


「いいか、慎重に進む」


「はい」


「敵は十体以上。油断するな」


「「分かりました」」


* * *


洞窟の中に入ると、深淵の気配が濃くなった。


「この魔力の濃さ......」


「ひどいわね」


「ああ。通常の深淵魔の巣とは、レベルが違う」


「何か、特別な理由があるのかしら」


「調べれば分かる。進もう」


* * *


奥へ進むにつれ、異変が起きた。


「っ......」


カイが、胸を押さえた。


「カイ? どうした」


「分かりません......急に、体が......」


「加護が、反応しているのか」


「かもしれません......」


* * *


「大丈夫?」


サラが心配そうに聞いた。


「は、はい......」


「無理なら、戻った方がいい」


「いえ、大丈夫です」


「本当に?」


「行けます」


カイは、歯を食いしばって進んだ。


* * *


だが、奥へ進むほど、症状は悪化した。


「くっ......」


「カイ、やはり──」


「大丈夫です......」


カイの体から、光が漏れ始めていた。


「加護が、暴走しかけている......」


* * *


「ルーク、どうする」


「一旦、止まれ」


「カイ、深呼吸しろ」


「は、はい......」


「教えた制御法を思い出せ」


「制御法......」


「体の中心を感じて、力の流れを抑える」


* * *


「......」


カイは目を閉じ、集中した。


「体の中心......」


「そこにある力を、感じろ」


「......感じます」


「ゆっくりと、抑え込め」


「......」


少しずつ、光が収まっていった。


* * *


「落ち着いたか」


「はい......なんとか」


「何が起きた」


「分かりません......深淵の気配に、加護が反応したみたいで」


「反応?」


「共鳴、という感じでしょうか」


「共鳴......」


* * *


「深淵と加護が、共鳴している?」


サラが尋ねた。


「可能性はある」


「どういうこと」


「カイの加護は『救世の加護』だ」


「ええ」


「深淵を滅ぼすために生まれた力」


「......」


「つまり、深淵と対極の存在。だから、近くにいると反応する」


* * *


「厄介ね」


「ああ。だが、対処法はある」


「何?」


「加護を完全に制御できれば、共鳴を抑えられる」


「今のカイでは......」


「難しい。だが、やるしかない」


* * *


「僕、頑張ります」


カイが言った。


「加護を制御できるように、なります」


「今すぐは無理だ」


「分かっています。でも──」


「ここで諦めたら、何も始まりません」


「......」


* * *


「行こう」


ルークは決断した。


「カイが厳しくなったら、すぐに撤退する」


「はい」


「サラ、カイの様子を見ていてくれ」


「分かったわ」


「では、進む」


* * *


さらに奥へ。


「見えた......深淵魔だ」


「数は......」


「十五体」


「多いわね」


「だが、やるしかない」


* * *


「作戦は?」


「俺が正面から突っ込む」


「サラは側面から攪乱」


「カイは後方で援護」


「無理はするな」


「「はい」」


* * *


「行くぞ!」


ルークが飛び込んだ。


「はあっ!」


一体目を、瞬時に斬り捨てる。


「二体目!」


連続で攻撃を繰り出す。


* * *


「こっちも!」


サラが側面から攻撃した。


「精密に、急所を狙う」


「三体目、倒した!」


サラの剣術は、正確だった。


* * *


「僕も......!」


カイは後方から、隙を見つけて攻撃した。


「疾風連撃!」


「四体目!」


だが、攻撃するたびに、体が熱くなる。


「くっ......」


* * *


「カイ、大丈夫!?」


「大丈夫です......まだ、やれます......!」


カイは歯を食いしばった。


「五体目......!」


* * *


戦闘は、激しさを増した。


「七体! 残り八体!」


「こっちで三体!」


「僕も二体......!」


順調に数を減らしていく。


* * *


だが、その時。


「っ......!」


カイの体から、再び光が溢れ始めた。


「カイ!」


「すみません......抑えきれない......」


光は、どんどん強くなる。


* * *


「まずい......暴走する......!」


「ルーク、どうすれば!」


「俺に任せろ!」


ルークは、カイに駆け寄った。


* * *


「カイ、俺の声を聞け」


「ルーク......」


「目を閉じろ」


「は、はい......」


「体の中心を感じろ。そこにある力を」


「感じます......でも、大きすぎて......」


* * *


「大きくても、お前の力だ」


「僕の......」


「お前が、コントロールするんだ」


「でも......」


「できる。俺が信じている」


「ルーク......」


* * *


「お前は、強い」


「......」


「俺が鍛えた。だから、分かる」


「......」


「この程度の力、必ずコントロールできる」


「......はい」


カイは、目を閉じて集中した。


* * *


「力を......抑える......」


「呼吸を、整えて......」


「体の中心に、集めて......」


「そして......封じ込める......」


* * *


「......!」


光が、急速に収束していった。


「やった......」


カイは、力を制御できた。


「ルーク......できました......」


「よくやった」


* * *


「でも、まだ敵が──」


「俺が片付ける」


ルークは、残りの深淵魔に向かった。


「三体か」


「すぐに終わらせる」


* * *


「はあっ!」


ルークの剣が、一閃した。


「一体目」


「二体目」


「三体目」


あっという間に、全ての深淵魔を倒した。


* * *


「終わったわ」


サラが言った。


「ええ。でも、カイが......」


「大丈夫だ。制御できた」


「でも、危なかった」


「ああ。これは、予想以上に厳しい」


* * *


「カイ、どうだ」


「はい......なんとか」


「加護の制御、難しいか」


「はい。深淵の近くだと、どうしても......」


「分かった」


「これからは、もっと注意して訓練する」


* * *


「でも、良い発見もあったわ」


「発見?」


「カイの加護が、深淵に反応するということは──」


「深淵の探知に使える、か」


「そうよ」


「なるほど」


* * *


「洞窟の奥を、調べよう」


「まだ、何かあるの?」


「深淵魔がこれだけ集まる理由がある」


「確かに」


「奥に、何かあるはずだ」


* * *


三人は、洞窟のさらに奥へ進んだ。


「ここは......」


「何か、ある」


奥の壁に、古い紋様が刻まれていた。


* * *


「これは......封印の紋様?」


「そうね。学院の地下で見たものに似てる」


「やはり、繋がっているのか」


「この村の近くにも、封印があった」


「そして、それが崩れかけている」


* * *


「だから、深淵魔が集まってきたのね」


「ああ。封印の綻びから、深淵の力が漏れている」


「その力に引き寄せられて、深淵魔が......」


「そういうことだ」


* * *


「どうすれば、止められる?」


「封印を補強するしかない」


「カイの加護で?」


「ああ。やれるか、カイ」


「......やってみます」


* * *


カイは、封印の紋様に手を当てた。


「力を......流し込む......」


「無理するな」


「大丈夫です......」


光が、紋様に流れ込んでいく。


* * *


「......!」


紋様が、輝き始めた。


「封印が、強化されている」


「うまくいってるみたいね」


「もう少し......」


カイは、力を注ぎ続けた。


* * *


「......終わりました」


「どうだ」


「封印は、補強できたと思います」


「よくやった」


「でも、完全じゃありません」


「完全じゃない?」


* * *


「封印自体が、古くなっています」


「どういうこと」


「いずれ、また崩れるかもしれません」


「......」


「根本的な対策が、必要です」


「なるほど」


* * *


「今は、これで良しとしよう」


「はい」


「少なくとも、しばらくは大丈夫だ」


「そうですね」


「村に戻って、報告しよう」


「はい」


* * *


村に戻ると、村人たちが待っていた。


「どうだった」


「深淵魔は、全て倒した」


「本当か......!」


「ああ。そして、封印も補強した」


「封印?」


「村の近くに、古い封印があった。それが崩れかけていた」


* * *


「そんなものがあったのか......」


「知らなかったのも無理はない。古い時代のものだ」


「......」


「当分は、深淵魔は来ないはずだ」


「ありがとう......本当にありがとう」


老人の目から、涙がこぼれた。


* * *


「礼はいい」


「だが、気をつけてくれ」


「何を」


「封印は、完全ではない。いずれまた、崩れるかもしれない」


「......」


「その時は、教会か王国に助けを求めてくれ」


「分かった」


* * *


「俺たちは、先を急ぐ」


「待ってくれ」


「何だ」


「せめて、一晩泊まっていってくれ。宴を開きたい」


「宴?」


「お前たちへの、感謝の気持ちだ」


「......」


* * *


「行こう、ルーク」


サラが言った。


「たまには、休息も必要よ」


「......分かった」


「では、一晩だけ」


「ありがとう」


* * *


その夜、宴が開かれた。


「カイ、飲み過ぎないでね」


「飲んでませんよ」


「あら、顔が赤いわよ」


「それは......火のせいです」


「ふふ、可愛い」


* * *


「ルーク」


「何だ」


「今日のこと、ありがとうございました」


「何のことだ」


「僕の暴走を、止めてくれて」


「当然のことだ」


「でも......」


* * *


「お前は、俺の弟子だ」


「......」


「弟子を守るのは、師匠の役目だ」


「ルーク......」


「それに、お前は自分で制御できた」


「え?」


「俺は、きっかけを与えただけだ。最後に力を抑えたのは、お前自身だ」


* * *


「そうですか......」


「ああ。お前は、成長している」


「ありがとうございます」


「だが、まだまだだ」


「はい」


「もっと訓練して、完全に制御できるようになれ」


「分かりました」


* * *


宴は、夜遅くまで続いた。


そして翌朝──


「行くぞ」


「「はい」」


三人は、村を後にした。


* * *


「ありがとう! また来てくれ!」


村人たちが、手を振った。


「ああ。元気でな」


「お元気で!」


「気をつけてね!」


* * *


聖地への旅は、まだ続く。


そして、カイの加護は──


少しずつ、その力を増していた。


* * *


次回予告


* * *


次の村で、教会の儀式に遭遇する。

「供物の儀」──その実態とは。

三人は、新たな問題に直面する。


第3話「供物の儀」


「この儀式は、おかしい」

「村人を、犠牲にするつもりか」


正義のために、立ち上がる──


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ