表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ざまぁ役は、主人公の専属コーチになりました  作者: とま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/62

第5話「王宮召喚」

教会との取り決めが成立してから、数日後。


サラの元に、王家からの召喚状が届いた。


「王宮への出頭を命ずる......」


「サラ、どうした」


ルークが声をかけた。


「召喚状よ。王家から」


「......来たか」


* * *


「やはり、マルクスの仕業ね」


サラは苦い顔をした。


「報告は、予想通りだったようだ」


「ギルバート様との関係について、問いただされるでしょう」


「どう答えるつもりだ」


「正直に答えるわ」


* * *


「正直に?」


「ええ」


「それは、監視役としての任務を放棄していたことを認めることになる」


「分かってる」


「処分を受けるかもしれないぞ」


「覚悟の上よ」


* * *


「なぜ、そこまでする」


「......」


サラは少し考えてから言った。


「嘘をついて、あなたたちとの関係を否定することはできないわ」


「サラ......」


「私は、自分の選択を後悔していない。それを、堂々と伝えるだけよ」


* * *


「サラさん......」


カイが心配そうに言った。


「大丈夫ですか」


「大丈夫よ。心配しないで」


「でも、僕たちのせいで......」


「あなたのせいじゃないわ。私が自分で選んだことだから」


「......」


「だから、後悔しないで」


* * *


翌日。


サラは、王宮へ向かった。


「サラ・ヴァレンシュタイン、参りました」


「入れ」


王宮の一室で、高官たちが待っていた。


* * *


「お前に、聞きたいことがある」


「何でしょうか」


「ルーク・ウィザリア・ギルバートとの関係だ」


「......」


「監視役でありながら、彼に協力しているという報告がある」


* * *


「その報告は、事実です」


サラは、堂々と答えた。


「事実、だと」


「はい。私は、ギルバート様に協力しています」


「なぜだ。お前は監視役のはずだ」


「監視役としての任務と、個人としての判断は別です」


* * *


「個人としての判断?」


「私は、彼らが正しいと信じています」


「正しい? 平民を教えることが?」


「才能ある者を育てることは、国のためになります」


「だが、秩序を乱すことにも──」


「秩序を守ることだけが、正義ではありません」


* * *


「......生意気な」


高官の一人が不快そうに言った。


「お前は、王家の命令に逆らったのだぞ」


「承知しています」


「分かっていて、なぜ──」


「私は、間違ったことをしたとは思っていません」


「......」


* * *


「カイ・レイナーという平民がいます」


サラは続けた。


「彼は、類まれな才能を持っています」


「......」


「その才能を、身分だけで潰すのは、国家の損失です」


「だが、平民が力を持てば──」


「力を持つ者が、全て反逆者になるわけではありません」


* * *


「彼は、国のために戦おうとしています」


「......」


「ギルバート様も、彼を正しく導こうとしています」


「それは、お前の主観だ」


「はい。ですが、私は自分の目で見てきました」


「......」


「彼らは、信頼に値する人たちです」


* * *


高官たちは、しばらく沈黙した。


「......お前の考えは分かった」


やがて、一人が口を開いた。


「だが、王家への報告義務を怠っていたのは事実だ」


「はい」


「処分を下す」


「......覚悟しています」


* * *


「監視役の任を解く」


「......」


「以後、通常の任務に就け」


「分かりました」


「それから──」


高官は、サラを見据えた。


「今後、ギルバートとの接触は禁じない」


* * *


「え?」


サラは驚いた。


「禁じない、のですか」


「お前を完全に切り離すのは、得策ではない」


「......」


「お前を通じて、ギルバートの動きを把握できる」


「つまり、間接的に監視を続けろ、と」


「そう解釈してもらって構わない」


* * *


「それは......」


「お前も、彼らも、王家の敵ではないのだろう?」


「もちろんです」


「なら、問題はない」


「......」


「行け。これ以上の処分はない」


「......はい」


サラは、頭を下げて退室した。


* * *


王宮を出ると、ルークとカイが待っていた。


「サラ!」


「どうだった」


「監視役は、解かれたわ」


「解かれた......」


「でも、それ以上の処分はなかった」


「本当か」


* * *


「接触禁止もなかったわ」


「それは......意外だな」


「王家も、一枚岩じゃないみたい」


「どういうことだ」


「マルクスの報告を、そのまま鵜呑みにはしていない」


「......なるほど」


* * *


「おそらく、王家の中にも派閥があるのよ」


「派閥?」


「貴族重視派と、実力重視派」


「......」


「今回対応した高官は、後者寄りだったみたい」


「助かったな」


「ええ。運が良かったわ」


* * *


「でも、油断はできないわね」


サラは言った。


「マルクスは、まだ諦めていないでしょう」


「ああ」


「次は、別の手を打ってくるはず」


「どんな手だ」


「分からない。でも、警戒は必要よ」


* * *


「ところで、サラ」


ルークが言った。


「これからどうする」


「どうする、って」


「監視役じゃなくなったんだろう」


「ええ」


「俺たちと、距離を置くか?」


* * *


「まさか」


サラは笑った。


「むしろ、逆よ」


「逆?」


「監視役の立場がなくなれば、もっと自由に動ける」


「......」


「今まで以上に、協力させてもらうわ」


* * *


「いいのか」


「もちろん」


「お前の立場が──」


「もう、気にしないわ」


「サラ......」


「私は、あなたたちの味方よ。それだけは、変わらない」


* * *


「サラさん......」


カイは、目を潤ませていた。


「ありがとうございます」


「お礼なんていいわ」


「でも、本当に......」


「私が、そうしたいからするだけよ」


「......」


「さ、湿っぽくなるのはやめましょう」


* * *


「これで、三人の関係は変わらないな」


ルークが言った。


「いえ、変わるわ」


「どう変わる」


「監視役と被監視者じゃない。対等な仲間として」


「......そうだな」


「改めて、よろしくね」


「ああ。こちらこそ」


* * *


その頃、マルクスは──


「サラ・ヴァレンシュタインの処分は?」


「監視役の解任だけだそうです」


「それだけか」


「はい。接触禁止にもなっていません」


「......思ったより、軽いな」


* * *


「王家の中に、ギルバート寄りの者がいるようです」


「厄介だな」


「どうされますか」


「......別の手を考える」


「別の手?」


「直接、潰す」


* * *


「直接?」


「学院祭の模擬戦だ」


「模擬戦......」


「そこで、平民を叩きのめす」


「カイ・レイナーを?」


「ああ。ギルバートの弟子を、衆目の前で打ち負かす」


* * *


「それで、彼らの評判を落とすと」


「その通り」


「素晴らしいお考えです」


「準備を進めろ。俺自らが、相手をしてやる」


「畏まりました」


マルクスは、不敵に笑った。


* * *


一方、ルークたちは──


「敵の次の手は、何だと思う」


「分からないわ。でも......」


「でも?」


「学院祭が近いわよね」


「ああ」


「何か、仕掛けてくるかも」


* * *


「学院祭か......」


ルークは考え込んだ。


「模擬戦があるな」


「模擬戦?」


「上位の生徒が戦う、恒例行事だ」


「マルクスも出場するでしょうね」


「ああ」


「もしかして......」


* * *


「カイを、出場させるか」


ルークは言った。


「えっ」


カイが驚いた。


「僕を、ですか」


「ああ。教師の推薦があれば、出場できる」


「でも、僕は平民で......」


「だからこそ、意味がある」


* * *


「模擬戦で活躍すれば、お前の実力が認められる」


「......」


「平民でも、強ければ文句は言わせない」


「でも、相手は強いんじゃ......」


「強い。だから、鍛える」


「......」


「やるか、カイ」


* * *


カイは、しばらく考えた。


「......やります」


「決まりだな」


「はい。僕も、実力で証明したいです」


「いい覚悟だ」


「ルーク、よろしくお願いします」


「任せろ。お前を、勝てるレベルまで鍛え上げる」


* * *


「私も、協力するわ」


サラが言った。


「情報収集は得意だから」


「頼む。対戦相手の情報を集めてくれ」


「分かったわ」


「三人で、学院祭に挑もう」


「はい!」


「ええ」


* * *


三人の絆は、試練を経てさらに強くなった。


監視役と被監視者から、対等な仲間へ。


「俺たちは、何があっても折れない」


ルークは、そう誓った。


「三人で、乗り越えてみせる」


* * *


次回予告


* * *


サラが「監視」から「同盟」へと変わった。

三人で戦術会議が始まり、反撃の準備が進む。

そして、学院祭での模擬戦が近づく──


第6話「サラの誓約」


「私は、あなたたちの味方よ」

「監視役じゃない。同盟者として」


新たな章が、幕を開ける──


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ