Duvet
形あるもの、無いもの関わらず全てのものはいつか消えてしまう。これまで消えてしまったす全てへ。そしてこれから消えてしまう全てへ。
「プレゼンだよ。君への。」なんで。今日は僕の誕生日だが今初めて会ったお前にプレゼントを貰う義理なんて無いぞ。「受け取ってくれよ。かなり手が凝ってるだろ?」第一、お前人間じゃないだろ。一言で言い表すとするなら豚の頭がクラゲの上に植えてあるって感じだな。「そいつは笑えないな。まあ、とりあえず受け取ってくれよ。ほれ。」僕が14の誕生日にこの豚クラゲから貰ったプレゼントはロボットだった。それもとてもとても大きなロボット。そしてそれはこの街を見下すかの様に突っ立っていた。「全長20mはあるぜ。好きに使えよ。」どうやら操縦できるらしい。ロボットの見た目もこの豚クラゲに似て奇妙な形をしていて、人型ではあるものの顔がエイなのだ。「なんだよ。気に入らねえのか?交換希望か?」いやいいよ。これで。どうやって乗るのか教えてよ。「そりゃ俺に声かけりゃ乗せてやるよ。ほれ。」瞬間、コックピットらしき真っ白な部屋へワープした。「操作方法は簡単さ。ゲームよりもな。お前の動きに連動してんだ。」右手を挙げれば前のモニターで右手が挙がるのが分かった。それにもとい、左足を前に出せばモニターで左足が出るのが分かった。僕は、一歩を、踏んだ。
やることはもう決まっている。僕を虐めているクラス全員を消し去ること。なぜなら今の僕には可能だから。それが。もう非力な僕なんかじゃない。まずは工藤の家からだ。「人を殺すのか?そこの家の。」そうだよ。これが僕の使い道さ。「まあ好きに使えよ。」ボッ。家ごと踏み潰してやった。なあに。簡単だったよ。僕が足を軽く上げ、豆腐をつまむかの様に丁寧にその家だけを狙って踏んでやった。なんせ他の家まで潰してしまっては悪いからね。だってそうだろ。鍋でも"あく"だけすくうだろ。「へへ。お前、凄いな。もう一人殺しちまったぜ。いや親も合わせて三人か。親は悪くないんじゃねえのか?」いや、悪いよ。そいつを産んだのは親だからね。じゃあ次はそこの赤井の家を潰そうか。バタッ。「どうした?腹抱えてうずくまって。え?」何故か体の内側が燃える様に熱くなった。一瞬だった。ほんの一瞬で倒れてしまった。「おいおい、なんだよこの痛みって顔してるな。それは人を殺したお前の心の痛みだ。人を殺すってのはそーゆーことなんだぜ。」なんでだ。僕は学校に張り付くカスみたいな汚れを一つ拭いてやっただけなのに。パックに入った気泡を一つ追い出しただけなのに。「人の命は平等。それがお前らの決まり文句だろ?」違うね。それはただの綺麗事だ。生まれながらに人の命は平等じゃない。人の歴史は殺し合いだ。潰し、そして潰し合う。弱い者から殺されるんだ。そして強い者から成り上がる。平等なはずの命を奪ってな。「へへ。そうかい。それが大衆じゃなく、お前個人の意見かい。」ガオンッ。痛い。いつもの感覚だ。右頬を殴られるあのいつもの感覚。右を見れば僕とは違うロボットが立っていた。「プレゼントだ。殺し合いの歴史なんだろ。さあ、やってみろよ。」まだ体の内が痛い。熱い。右頬もだ。立てない。ガオンッ。ガオンッ。ガオンッ。痛い。熱い。ガオンッ。バシュッ。「頭が破壊されちまったな。ゲームオーバーだ。」おい、ゲームオーバーになるとどうなる。「言葉通りだよ。死ぬんだ。」嫌だ。死にたくない。まだ生きたい。「駄目だね。」嫌だ。なんで死ななくちゃならないんだ。この僕が。「何故って?簡単なことさ。お前がいる分、世界はお前一人分の容量を抱えなきゃならんだろ。これはお前個人だけじゃなく森羅万象に言えることだが、何かを消していかないと新しいデータをいれれないんだよ。ゲームみたいで面白いだろ。これがこの世界の真理さ。」




