シーン90: 「静寂の未来――新時代の胎動」
富士山頂の終焉――崩壊する裁定者の塔
裁定者が姿を消し、光と闇の核が天へと昇っていく中、富士山頂の塔がゆっくりと崩壊を始める。塔から放たれたエネルギーは天空に輝くオーロラのような光と闇の筋となり、地上を覆い尽くしていく。
その光景を見ながら、アルカディアのメンバーたちは一瞬だけ立ち尽くしていた。
和成(息を切らしながら)
「……終わったんだな。」
夏美(塔を見上げながら)
「終わった、というよりも始まりね。裁定者が消えたことで、世界は新たな均衡を模索し始める。」
ChinaRibonn(ルミエルを抱きながら)
「キレイ……だけど、なんだか少し怖いね……。」
ライトマン(疲れた様子で笑いながら)
「これでひと段落か?裁定者の試練も終わったことだし……なぁ、俺たち少し休んでもいいだろ?」
やーちゃん(険しい顔で)
「休む?バカ言うな。これからが本番だ。人類は、まだ何も変わっちゃいねぇんだからよ。」
新たなる混乱――世界の動揺
裁定者の塔の崩壊と光と闇の核の融合は、地球全土に巨大な影響を及ぼしていた。空には黒と金の光が混ざり合い、不気味な美しさを放ちながら漂う。異界の裂け目も部分的に広がり、各地に不安定なエネルギーが漏れ出す。
世界各地の反応
政府と軍: 世界各国の政府は「裁定者の消滅」を知り、これを新たな軍事力拡大の好機と見て動き始める。日本政府もAI「50(ごーぜろ)」を用いて、異能者管理システムの再構築を急ぐ。
人々の混乱: 異能を持った者たちが暴走し始め、力を得た一部の者が小規模な勢力を形成し、街や村を支配するようになる。
海外勢力: バレンを始めとした海外軍事組織は、再び力の空白を埋めるべく、新たな兵器や異能兵士を派遣する計画を立てる。
富士山麓――アルカディアの再起
塔の崩壊後、アルカディアのメンバーたちは一時的に富士山麓へ避難していた。傷つき疲れた仲間たちは焚き火を囲み、これからの未来について語り合う。
葵(静かに火を見つめながら)
「……裁定者はいなくなったけれど、世界は何一つ終わっていない。」
夏美
「むしろ、今からが本当の戦いよ。光と闇が融合し、均衡が取れた――そう思うのはただの幻想。」
和成
「結局、人間が選ぶんだよな。力をどう使うかって話だ。」
ライトマン(陽気な口調で)
「未来なんてどうにでもなるさ。ただし――俺たちがその未来を守るなら、な。」
ChinaRibonn
「わたしたち、どうすればいいの?また裁定者が出てきたら……。」
その言葉に、やーちゃんが苛立ち混じりに答える。
やーちゃん
「出てこねぇよ。裁定者が試練を終えたってことは、今度は俺たち自身で未来を作らなきゃならねぇんだよ。」
チクタの異変――静かな警告
その時、チクタが突然、光と闇の交錯する空を見上げる。彼の体は再び不自然に歪み、異界の瘴気が微かに漏れ出していた。
チクタ(静かに)
「……均衡が保たれた今、私の寄生核も限界を迎えつつあります。……異界との融合が進んでいるのです。」
和成
「何だって!?お前……大丈夫なのか?」
チクタ
「いずれ……私の存在がこの世界の“歪み”となるでしょう。次の選択肢を迫られる時が来るかもしれません。」
彼のその言葉に、場が一瞬だけ静まり返る。
次なる舞台――裁定者の遺した火種
翌朝、アルカディアの前にAI「50(ごーぜろ)」が日本政府からの通信を持って現れる。画面には政府の代表が映し出され、緊迫した表情で告げる。
政府代表
「アルカディアの諸君、君たちには再び協力を要請する。世界は今、新たな均衡を必要としている。」
50(ごーぜろ)
「世界中で異能者の暴走、異界の裂け目拡大、そして海外勢力の進出――未来は今、混沌の中にあります。」
和成
「結局、あいつがいなくなっても変わらねぇってわけか。」
夏美
「でも、私たちが止めるしかない。世界が再び争いに飲まれないように。」
アルカディアは富士山を後にし、新たな旅へと出発する。人類が選ぶ未来は、彼らの手に委ねられた――しかしその先には、さらなる混沌と試練が待ち構えている。
和成(剣を背に、仲間たちを振り返り)
「行くぞ――俺たちの未来は、俺たちが決める。」
仲間たち
「おう!」「行こう、みんな!」




