シーン60: 「ベルフェンの試練――絶望の鏡」
霧に包まれた戦場――不気味な囁き
ベルフェンが操る黒い霧がさらに濃さを増し、周囲の光を飲み込むかのように広がっていく。亡者の呻き声、金属が軋むような音――それらが霧の中から響き、アルカディアの一行を追い詰めていく。
ベルフェン
「さあ、人間ども。己の醜い本性を見せてみろ。お前たちの心に潜む“絶望”が、この霧に映し出されるのだ。」
彼の言葉と同時に、霧の中にぼんやりと光が浮かび始める。それはまるで、鏡のように人々の過去や恐怖を映し出していた。
それぞれの心の闇――映し出される過去
霧の中に一人ずつ隔離されたかのように、仲間たちがそれぞれの幻影と向き合わされる。
和成の幻影
目の前には、かつて守れなかった仲間たちの姿。倒れていく人々が血まみれの手を伸ばし、彼を責めるように睨んでいる。
幻影の声
「お前のせいで俺たちは死んだんだ……!あの時、逃げなければ――お前が弱かったから!」
和成
「違う……!俺は……!」
彼は剣を振るうが、幻影は消えず、次々と彼を責め立てる。「俺は、守りたかっただけだ!」
葵の幻影
彼女の目の前には、過去に滅びた故郷の光景。燃え盛る街、人々の悲鳴、そして自身の無力さが痛烈に映し出される。
幻影の声
「お前は無力だ――仲間たちも、また守れずに終わるだろう。」
葵
「そんなこと、言わないで!」
彼女は必死に幻影を振り払おうとするが、その光景は消えない。「私は……絶対に繰り返さない!」
たかゆきとやーちゃんの幻影
2人は同じ空間に立ち、それぞれに別の幻影を見せられていた。
たかゆき
目の前に立つのは、自分の影――弱さと迷いを象徴するもう一人の自分。
幻影のたかゆき
「お前はいつも足手まといだ。役に立たない。どうせ誰もお前に期待してない。」
たかゆき
「……黙れ!そんなことはない!」
彼は震える手で剣を構え、幻影を睨みつける。「俺は俺だ!今の俺を信じてくれる仲間がいる!」
やーちゃん
やーちゃんの前には、崩れた仲間たちの姿。彼が笑って過ごす裏で、誰かが犠牲になっていく幻影が見える。
幻影の声
「お前は逃げ続ける道化だ――誰も本気で頼りにしていない。」
やーちゃん
「ふざけんな……!」
彼は短槍を構え、幻影を貫こうとする。「そんな嘘、俺は認めねぇ!俺には守りたい奴がいるんだよ!」
ChinaRibonnと7(なな)――光の導き
霧の中で仲間たちが幻影に苦しむ中、ChinaRibonn が震えながらも7(なな)を抱きしめ、涙を浮かべる。
ChinaRibonn
「みんな、みんな苦しいよ……!どうすればいいの?」
彼女は小さな手で7を見つめ、懇願する。「7ちゃん、お願い!みんなを助けて!」
7(なな)は静かに光を放ち、その光が霧を少しずつ裂いていく。
ベルフェン
「なっ……何だ、この光は!?」
7(なな)の光は仲間たちを包み込み、それぞれの幻影を掻き消していく。光に照らされた仲間たちが少しずつ意識を取り戻し、再び立ち上がる。
ベルフェンの怒り――本当の姿
ベルフェン
「愚かな人間どもが!私の“絶望の鏡”を打ち破るとは……だが、まだ終わりではない!」
ベルフェンが霧を集め、自らの体を巨大な影の魔物に変えていく。その姿は黒く歪み、瘴気をまき散らす異形そのものだった。
葵
「ここが正念場ね……!ベルフェンを倒す!」
和成
「ああ、もう絶望なんかに負けねぇ!」
反撃――たかゆきとやーちゃんの連携
たかゆき
「やーちゃん、行くぞ!お前が俺を支えろ!」
やーちゃん
「言っただろ、後ろは任せろって!」
たかゆきが前に出て剣でベルフェンの影の触手を切り裂き、その隙をやーちゃんが短槍で突く。2人の息の合った攻撃がベルフェンを追い詰めていく。
ChinaRibonn
「みんな、守るよー!光のバリア!」
彼女の光が仲間たちを支え、7(なな)の導きがベルフェンの核を照らし出す。
決着――ベルフェンの最期
葵
「ここで終わらせる――裁断の一閃!」
葵の双刀がベルフェンの核を貫き、その体が崩れ始める。
ベルフェン
「ぐあああああ!人間ども……お前たちの絶望は、まだ終わらないぞ……!」
ベルフェンが断末魔の叫びと共に霧と共に消え去り、辺りには静寂が戻った。
仲間たちの決意
戦いが終わり、たかゆきとやーちゃんは肩で息をしながら拳を合わせる。
たかゆき
「お前、なかなかやるじゃねぇか。」
やーちゃん
「お前こそな。……でも次は俺がもっと目立つからな。」
和成
「お前ら、よくやったな。」
彼は2人を見て、満足そうに笑う。「これでお前らの存在感も少しは出たんじゃねぇか?」
ChinaRibonn
「しゅごいしゅごい!たかゆきもやーちゃんもかっこよかったよ!」




