シーン58: 「影の密約――蠢く裏切り者たち」
ガルデアの戦い後――束の間の静けさ
ガルデアの中心部に潜む瘴霊の王グリーヴァスを討ち倒し、死の都市に静けさが戻ったアルカディア一行。しかし、その勝利の余韻は、どこか虚しさを伴っていた。崩壊した工場跡に立ちながら、彼らは目の前の現実に向き合う。
和成
「……これで一段落か。」
彼は倒壊した機械を蹴りながら深いため息をつく。「人間が作り出した過ち……胸糞悪いが、俺たちで止められてよかった。」
葵
「でも、終わったわけじゃない。」
彼女は剣を収め、遠くを見つめる。「人類はきっと、またこの力に手を伸ばそうとする。その愚かさが、次の試練を生むのよ。」
夏美
「そうね……ここに残っていた瘴気も、完全には消えていないわ。」
夏美が杖を掲げると、空間に微かな黒い霧が残っているのが分かる。「この街は“封印”されただけ。また別の形で現れるかもしれない。」
ChinaRibonn
「でも、みんなはがんばったんだよ!だから少しだけ、褒めてもいいと思うの!」
彼女は無邪気に笑いながら7(なな)をぎゅっと抱きしめる。「ねっ、7ちゃん!」
7(なな)は静かに光を放ちながら、次の導きを待っているように見える。
一方、その頃――政府とカルト教団の暗躍
ガルデアでの出来事は政府中枢にもすぐに伝えられ、会議室では新たな陰謀が進行していた。
豪奢な円卓の中央にはモニターが置かれ、ガルデアの映像が映し出されている。無数の亡霊兵、瘴気、そして崩壊した工場跡――そこには、アルカディアが戦っている姿も映し出されていた。
政府高官A
「アルカディアがまた“禁忌の力”を封じた……ふん、余計なことをしてくれたものだ。」
彼は冷たい目でモニターを見つめ、苛立ちを隠せない様子だ。
実業家B
「封じるだと?あれほどの力を目の前にして、何故利用しない。」
彼はニタリと笑い、隣のカルト教団の使者に目を向ける。「お前たちが言っていた“裁定者”の意志――あれを力に変える方法はないのか?」
カルト教団の使者が、不気味な笑みを浮かべながら答えた。
カルト教団使者
「人間は力に飢えている――そう、愚かしいほどにな。」
彼は黒い瘴気をまとわせた小瓶を取り出し、テーブルに置く。「これが“瘴気の雫”――異界の力を人間の体に移すための触媒です。」
会議室は静まり返り、富豪や高官たちはその瓶を食い入るように見つめる。
政府高官A
「これを……人間に使えば、異界の力を手に入れられるのか?」
カルト教団使者
「ええ。ただし、その代償は計り知れませんが。」
使者は薄く笑いながら言葉を続ける。「さあ、選ぶのです――人間は欲望に従うか、それとも滅びを受け入れるか。」
政府高官たちはそれぞれに視線を交わし、決意を固めた表情を見せる。
実業家B
「裁定者?アルカディア?どうでもいい。我々が生き残るためなら、何だって利用する。」
アルカディアの一行――次の兆し
ガルデアを後にし、荒れ果てた大地を進むアルカディアの一行。途中、和成が静かに呟いた。
和成
「最近、なんかおかしい気がするんだよな。」
彼は遠くの空を睨みながら続ける。「俺たちが遺跡や街を守ってる間に、どこかで別の動きが進んでいる気がする。」
夏美
「確かに……政府や教団の動きが見えないのが不気味ね。」
彼女は慎重に周囲を見渡しながら言う。「ただ封印するだけじゃ、何かが物足りない……。」
葵
「油断はできないわね。」
彼女は剣を握りしめ、前を見据える。「どこかで、次の波が来る――その覚悟だけはしておきましょう。」
その時、7(なな)の光が再び輝き、今度は西の方角を指し示した。
ChinaRibonn
「7ちゃん、次は西なの?何があるのかなー。」
彼女は笑顔で光を追いかけようとするが、その表情にはどこか不安の色も滲んでいる。
ひよわ
「西か……。そこには何が待ってるんだろうな。」




