シーン55: 「新たな歪み――人の欲望、裁定者の影」
遺跡からの帰還――異変の予兆
北の遺跡で守護者エクリプスを倒し、闇と光の遺産の均衡を守ったアルカディアの仲間たちは、遺跡の外へと戻ってきた。静寂が広がる山岳地帯。空は澄んでいるが、どこか不穏な空気が漂っている。
和成
「ようやく終わったな……。ここから一度、拠点に戻って休むとしよう。」
彼は肩の力を抜き、遠くの地平線を見つめる。「だが、何かがおかしい……気のせいか?」
夏美
「空気が変わったわね。まるで、世界そのものが何かを待っているような……。」
彼女は眉をひそめ、周囲を警戒する。「遺跡を守っていたエクリプスがいなくなったことで、均衡が揺らぎ始めているのかもしれない。」
ChinaRibonn
「でも、みんな頑張ったんだから、一回休憩しよー!」
彼女は7(なな)を抱きしめ、嬉しそうに言う。「ね、7ちゃん?もうちょっとだけ、ゆっくりしようよ!」
7(なな)は静かに光を放ちながら、遠くの空を見つめる。その光はどこかいつもより落ち着きがなく、まるで何かを感じ取っているかのようだった。
一方、人類側――政府と富豪の暗躍
北の遺跡での出来事は、人類側にも報告として伝わっていた。政府中枢では、裁定者の試練やアルカディアの動きが議題となり、混乱と焦燥が広がっていた。
豪奢な会議室の中央に座る政府高官たちと、実業家、富豪たち――彼らは自分たちの権力と生存だけを考え、不穏な計画を練っていた。
政府高官A
「また奴ら――アルカディアか……!」
彼は机を叩きながら怒りを露わにする。「遺跡に眠る力を封じただと?馬鹿な!あの力を手にすれば、我々は裁定者をも凌駕できるかもしれないのだぞ!」
実業家B
「そうだ、全く……遺跡に封じられている“闇の力”こそが新たな世界を生む鍵だ。」
彼は薄笑いを浮かべながら言う。「それを利用し、新たな秩序を築く――我々が“神”となる日も近い。」
政府高官C
「……だが、裁定者が見ているのを忘れるな。」
彼は震える声で諫めるが、他の者たちの威圧的な視線に押し黙る。「……我々が手を出せば、何をされるか分からん。」
貴族E
「フフ……臆病者は黙っていてくださいな。」
彼女は優雅に紅茶を口にしながら言い放つ。「力ある者だけが生き残る――この理は古来から変わらないものですわ。」
その時、会議室の隅に立つ一人の影――カルト教団の使者が、ニタリと笑いながら一歩前に出た。
カルトの使者
「皆様、ご心配には及びません。我らが司祭たちは“裁定者”の意志を完全に理解しています。人類を生贄に捧げることで、新たな楽園が訪れるのです。」
政府高官A
「ふん、その戯言には興味はない。だが……貴様らの“力”は利用できそうだな。」
彼は目を細め、冷笑を浮かべた。「我々と手を組めば、お前たちにも利があるだろう。」
会議室には、欲望と裏切りが渦巻く――。それぞれが己の利益を追い、知らず知らずのうちにさらなる闇を呼び寄せようとしていた。
アルカディアの一行――次の道標
遺跡から拠点へと戻る道中、7(なな)の光が再び揺らぎ、遠くの地平線へと示し始めた。そこは荒廃した工業地帯――過去に人間が異界の力を利用しようとして失敗した**「死の都市ガルデア」**だった。
和成
「あの場所か……。あそこは人間の“罪”の象徴だ。」
彼は険しい表情で遠くを見つめる。「異界の力を手に入れようとし、逆に破滅した場所――もう二度と近づくことはないと思ってたがな。」
葵
「でも、7が導いている。あそこに何かがあるのは間違いない。」
ChinaRibonn
「ガルデアって、なんか怖そう……でも、行くんだよね?」
彼女は少し不安そうに7(なな)を抱きしめる。「7ちゃん、お願いだから一緒にいてね!」
みのたん
「怖いなんて言ってられるか!行くしかねぇんだろ!」
彼は力強く斧を担ぎ上げる。「また変な奴らが出てくるなら、全部ぶっ壊してやるだけだ!」
ひよわ
「でも、あそこにはきっと人間の“欲望の残骸”がまだ残ってる。何かが待っているはずだ。」
裁定者の囁き――不吉な未来
その時、7(なな)が放つ光の中から、再び裁定者の声が響き渡った。
裁定者
「ガルデア――お前たち人間の“過ち”が残る地だ。」
和成
「また、お前か……!次は何を試すつもりだ!」
裁定者
「そこに眠る“力”は、均衡を揺るがす禁忌。お前たちがそれに手を伸ばすならば――裁定を下すまでだ。」
葵
「……裁定者は、私たちに何を見せようとしているの。」
裁定者の声が消え、再び静寂が戻る。しかし、その言葉が仲間たちの胸に重くのしかかる。




