シーン52: 「闇の遺産――新たなる敵の胎動」
静けさの街――再生と不穏
バルバスの呪いが解けた街には、ようやく静けさが戻っていた。倒壊しかけた建物の瓦礫が転がり、光が差し込む広場では人々が互いに寄り添いながら再生への一歩を踏み出している。しかし、その表情には未だ不安と恐怖が拭いきれない影が残っていた。
和成
「ひとまず、これでここは落ち着いたな。」
剣を肩に担ぎながら、周囲を見渡す。「……だが、またすぐに次が来るだろうな。」
葵
「ええ、バルバスはただの一部に過ぎない。カルト教団全体が止まったわけじゃない。」
彼女は暁天の双刀を収め、冷静な目で街の様子を見つめる。「背後には、もっと大きな闇が潜んでいる。」
田島の決意――人間側の希望
広場の中央では、田島が住民たちを励まし、復興の第一歩を踏み出そうとしていた。
田島
「皆、聞いてくれ!今は苦しい状況だが、俺たちはまだ生きている。この街を、もう一度取り戻そう!」
彼の声には強い信念が宿り、その言葉に人々が少しずつ顔を上げる。
市民A
「でも、またあの呪いが来たら……。」
田島
「大丈夫だ。もう怯えるな――人間は弱くなんかない!俺たちは立ち上がれる!」
田島はアルカディアに向かって深く頭を下げた。「あなたたちのおかげで、人間の心を取り戻せました。俺は、もっと強くなります。この街を守れる力を――!」
和成
「お前ならやれるさ、田島。」
彼は少し笑いながら田島の肩を叩く。「だが、何かあったらすぐに俺たちを呼べ。必ず駆けつけるからな。」
田島
「はい……!俺も、自分のやれることを見つけます。」
街の異変――不穏な残滓
そんな中、ChinaRibonnが辺りを見回し、不安そうに呟いた。
ChinaRibonn
「ねぇ……なんか、変だよ。」
彼女が指さした先には、黒い霧の残骸が地面に染み込むように広がっている。「霧が……消えたはずなのに、まだ残ってる。」
夏美
「これは……残留思念ね。」
夏美は膝をつき、地面に触れながら言う。「バルバスの呪いだけじゃない……この力、もっと深い“異界の力”が混ざってる。」
ひよわ
「まだ、何かがこの街の底に潜んでいる……?」
彼は周囲を警戒しながら、短剣を構えた。「気をつけて、これからが本番かもしれない。」
新たな敵の胎動――影の囁き
突然、地面が微かに揺れ、空間に不自然な裂け目が生じた。その裂け目から黒い手のようなものが伸び、広場の端にあった瓦礫を飲み込んでいく。
和成
「何だ、今のは!?」
裂け目の向こうから低い囁き声が聞こえてくる――それはまるで、何かがこちらを監視しているかのような不気味な声だ。
???(影の声)
「バルバスは……敗れたか……だが、人間どもよ……これはまだ序章に過ぎぬ……。」
その声に反応するかのように、地面から黒い瘴気が吹き上がり、形を持ち始める。それは異形の影――まるで次なる敵の前触れであるかのような存在だった。
葵
「これは……敵の“残滓”がまだ残っているのね。」
ChinaRibonn
「ひぃっ!しゅごい……怖いよ、怖いよー!」
彼女は7(なな)にしがみつき、震える声で叫ぶ。「7ちゃん、どうにかしてー!」
7(なな)が一歩前に出て、淡い光を放ち始める。その光が裂け目を一時的に押し戻し、闇が静まった。
和成
「7のおかげで助かったが……あれは、何なんだ?」
夏美
「異界の扉がまた開きかけている……あの裂け目の向こうに何かが待っているわ。」
裁定者の声――次なる試練の予告
突然、頭上から裁定者の声が響き渡る。その声は穏やかでありながら、冷たく人々を突き放す響きだった。
裁定者
「人類よ、まだ気づかぬのか。お前たちの愚行が、新たな災厄を生み出しているのだ。」
和成
「裁定者……!」
裁定者
「この地の残滓は“闇の遺産”――お前たちが抗い続ける限り、試練は終わらぬ。だが、それを乗り越える者には、わずかな“希望”を与えよう。」
その言葉と共に裂け目が再び閉じ、静寂が広場に戻る。
次なる道標――北の遺跡
7(なな)が再び光を放ち、その光が北方の山岳地帯を指し示した。そこには古代の遺跡が眠っており、次なる異界の核、そして人類の希望となる力が存在するという。
葵
「次は北の遺跡……そこで何が待っているのか。」
和成
「ああ、確かめに行くしかねぇな。裁定者が言う“闇の遺産”ってのが何なのか。」
ChinaRibonn
「こわいけど……みんなと一緒なら、頑張れるもん!」
ひよわ
「行こう。次の試練が何であれ、僕たちは進むだけだ。」




