シーン50: 「人間の選択――分断と希望のはざま」
荒れた街――人々の崩壊
東北地方に向かうアルカディアの一行は、途中でとある街に立ち寄った。しかし、そこに広がっていたのはかつての賑やかな生活の面影はなく、崩れた建物、路上に転がる瓦礫、そして不安と混乱に包まれた人々の姿だった。
街の壁にはカルト教団のシンボルが描かれ、その隣には「裁定者に従え」と書かれた不気味な落書きが広がっている。
和成
「何だ、ここは……。まるで戦場だな。」
彼は剣を軽く握り、辺りを見回す。「人々の目が、まるで生きてねぇ……。」
夏美
「カルト教団の影響ね。絶望につけこみ、人々を支配しているのよ。」
夏美はため息をつき、すれ違う住民たちの虚ろな目に視線を落とす。「これが人間の心の弱さ……。」
その時、道の先からカルト信者たちが声を張り上げ、広場の人々に説法をしているのが見えた。
カルト教団――狂気の布教
広場には黒い衣をまとったカルト教団の一団が立ち、人々を取り囲んでいる。中心に立つのはカルト司祭バルバス――痩せ細った体躯に長い杖を持ち、顔には不自然な笑みを浮かべている。
バルバス
「愚かな者たちよ……何故抗う?この世界はすでに裁定者の手の中だ。」
彼の声は冷たく、聴衆を静かに侵食していく。「お前たちは罪を重ねてきた。だからこそ、裁かれるのだ。だが、救いはある――裁定者に生贄として捧げよ。そうすれば、新たな楽園が訪れる。」
彼の言葉に、何人かの民衆が膝をつき、涙を流しながら叫ぶ。
住民A
「裁定者よ……どうかお救いください!もう何もかも耐えられないんだ……!」
住民B
「俺たちにはもう頼るものがない……裁定者の下で、新たな世界に生まれ変わるんだ……!」
その光景に、アルカディアの仲間たちは息を呑む。
ChinaRibonn
「これ……しゅごく怖いよ……。人間が、人間じゃなくなっちゃってる……。」
彼女は小さな手を胸元で握りしめ、不安そうに呟く。
みのたん
「ふざけんな……!こんなのが“救い”だと?!」
彼は怒りを滲ませ、拳を固める。「てめぇらが人を惑わして、どこが楽園だ!」
カルト司祭バルバスとの対峙
バルバスがゆっくりとアルカディアの一行に目を向け、不気味な笑みを浮かべる。
バルバス
「おやおや、これはこれは……裁定者に逆らい続ける愚かな者たちか。」
彼は杖を突き立て、その周囲に黒い霧を纏わせる。「お前たちはまだ理解していない。人類は滅びを迎え、その先に真の楽園があるのだ。」
葵
「楽園だと?ふざけるな。お前たちがやっていることはただの支配と破壊だ。」
葵は双刀を抜き、バルバスを睨みつける。「人間の弱さにつけこむお前たちこそ、真の罪人だ。」
バルバス
「フフフ……弱さを認められぬ者こそ愚かしい。さあ、見せてやろう。我が力の本質を――!」
バルバスが杖を振り上げると、周囲の住民たちが呻き声を上げ、黒い霧に包まれていく。そして、その体が歪み、異形の怪物へと変貌し始めた。
和成
「くそっ!人間を怪物に変えやがったのか!?」
夏美
「このままじゃ……街全体が呪われるわ!」
ChinaRibonn
「光で守るよ!みんな、負けないで!」
彼女が光のバリアを展開し、呪いの霧を少しずつ押し返す。
人間の闇――抵抗する者の叫び
怪物に追われながらも、広場の片隅で一人の男――若手官僚・田島――が立ち上がり、必死に人々へ呼びかけていた。
田島
「目を覚ませ!こんなものは救いじゃない!お前たちは騙されているんだ!」
彼は涙ながらに叫ぶ。「裁定者が与えるのは救いじゃない、滅びだ!人間の未来は、俺たち自身の手で掴むんだ!」
しかし、周囲の人々は怯え、田島を狂人のように見つめる。
住民C
「……もういいんだ。抗うだけ無駄なんだよ……。」
田島の叫びは届かず、彼は膝をつく。だが、その姿を遠くから見つめるアルカディアの仲間たちの心に、何かが突き刺さった。
アルカディアの決意
和成
「……人間は弱ぇよ。でも、弱いからこそ、前に進むことができるんだ。」
彼は剣を構え、バルバスを睨む。「お前の戯言なんかに、人間の未来を奪わせやしねぇ!」
葵
「立ち上がるぞ、みんな。この街を――人間の心を取り戻す!」
仲間たちは光を纏い、バルバスと異形の怪物たちへと立ち向かう。7(なな)の光が仲間たちを包み、まるで希望の灯火のように街に広がっていく。
ChinaRibonn
「みんな、信じて!私たちが守るから!」
みのたん
「行くぜ……!お前らのくだらねぇ“救い”なんか、ぶっ壊してやる!」




