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シーン49: 「腐敗の淵――人間の闇」

政府中枢――揺れる人類社会

破滅の核の封印と富士山での異変から数日後、日本政府は緊急対策会議を開いていた。

しかし、そこには混乱と絶望が渦巻き、人類の“醜さ”が次第に露わになっていく――。


会議室は豪奢な装飾が施され、中央には巨大な円卓が置かれている。そこに集まったのは政府高官、実業家、各界の指導者たちだ。皆、一様に顔を歪め、己の立場と利益を守ることだけに躍起になっていた。


政府高官A

「これ以上、民衆に不安を与えるな!異変?裁定者?そんなもの、政府が制御していると発表すればいい!」

彼の額には汗がにじみ、声がどこか震えている。「パニックが広がれば経済は破綻するんだぞ!」


実業家B

「貴様、経済など二の次だ!我々が守るべきは我が身だ!」

彼は拳を叩きつけ、怒鳴り声を上げる。「もう限界だ!異界の力を利用する以外、この状況を乗り切る方法はない!」


政府高官C

「馬鹿なことを言うな!異界の力を手に入れるなど正気か!?それをすれば裁定者に目をつけられ――。」


実業家B

「黙れ!私は知っているぞ!ある国が既に異界の瘴気を利用し、軍事力を強化していると!」

彼は皮肉げに笑い、他の出席者を睨みつける。「今、力を持つ者こそが生き残れるのだ。我々がこのまま無力なまま滅びるとでも?」


会議室の空気は次第に重く、怒号が飛び交う。


貴族E

「フフッ、愚かな民衆は“救い”を求めているだけですわ。」

彼女は不気味な笑みを浮かべ、紅茶のカップを静かに置く。「そこに“神”が現れたのならば――崇拝させてしまえばいいのです。」


政府高官D

「神……?それはまさか、裁定者を指しているのか?」


貴族E

「ええ、そうですわ。人類は弱い。だからこそ、崇拝と恐怖によって支配すれば良いのですわ。」

彼女は白い手袋をはめ直し、ため息混じりに言い放つ。「“異端”を排除し、従順な民を残す――それが次なる世界の姿なのですから。」


反論する者――小さな抵抗

一方、会議室の隅で、反論する者たちもいた。しかし、その声はかき消され、強き者たちの威圧に圧倒されていく。


若手官僚・田島

「そんなこと……人間の尊厳を捨てるような行為だ!裁定者に従うなど、全てを放棄するのと同じじゃないか!」

彼の声は力強かったが、次の瞬間、実業家たちの冷たい視線が突き刺さる。


実業家B

「ほう……ならば聞こうか?お前に“世界”を救う力があるのか?何の力もない者が理想論を語るな!」


田島

「それでも……それでも人間は――!」


政府高官A

「黙れ田島!お前のその正義感は見苦しいだけだ!」

彼は冷酷に笑い、田島を嘲る。「現実を見ろ。力のない者は生き残れない。貴様のその綺麗事が、この状況をどうにかできるのか?」


田島は悔しそうに拳を握りしめ、歯を食いしばった。だが、その声は届かず、会議室には再び醜い議論が渦巻く。


裏で糸を引く者――新たな闇の勢力

会議が終わり、貴族Eは一人、薄暗い廊下を歩いていた。彼女の顔には不気味な笑みが浮かんでいる。


貴族E

「裁定者よ、あなたの望みは分かりましたわ。人類はあなたに捧げられるべき生贄――その手助けをして差し上げるのが私の役目ですわ。」


彼女が手を広げると、暗闇の中から黒い瘴気が漏れ出し、不気味な囁き声が聞こえた。彼女は異界の力を密かに利用し、人類の支配を目論んでいるのだった。


???(影の声)

「貴様ら人間は……愚かだ……。」


彼女は小さな声で笑いながら、異形の存在に言葉を投げかける。


貴族E

「いえ、私たちは賢いのですわ。弱者を支配し、強者として生き残る――これこそが人間の本質ですもの。」


街の片隅――民衆の叫び

一方、その頃、街では異変や異界の力によって苦しむ民衆が声を上げていた。しかし、その声は届かず、政府も富豪も彼らを見捨てるように立ち去っていた。


市民A

「助けてくれ!誰か、誰か……!」


市民B

「政府は何をしてるんだ!このままじゃ全員滅びる!」


街の壁には、裁定者を崇拝するカルト教団のシンボルが描かれ、異様なまでに人々を洗脳しようとしている。


カルト信者

「救いは“それ”の元にあり!人間の罪を裁定者に捧げよ!彼こそが新たな世界の光なのだ!」


絶望した民衆の一部は、次第にカルトの言葉に従い始めていた。その目は虚ろで、まるで何かに取り憑かれたかのようだった。


市民C

「もう……これしかない……。裁定者に従うしか……。」


街に広がる闇と絶望――それは人間自身の弱さと愚かさが引き起こしているものだった。



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