シーン13: 「悲しみを超えて、新たなる誓い」
静かな夜――葵の離脱
霧の森から撤退したアルカディアは、近くの廃村にたどり着いた。焚き火が小さな灯りをともす中、仲間たちは無言のまま傷ついた葵を囲んでいた。葵の意識はまだ戻らず、彼女の顔には苦痛の色が浮かんでいる。
夏美
「……葵、もう大丈夫だからね。」
彼女は涙をこらえながら、葵の手をそっと握る。「すぐに良くなるよ……絶対に、良くなるんだから。」
ChinaRibonn
「うぅ……葵ちゃん、痛いの、とんでけー……とんでけー……!」
ChinaRibonnは涙を流しながら何度も癒しの光を放つが、その力でも葵の傷は完全には癒えない。
和成
「……すまねぇ、葵。」
和成は拳を強く握りしめながら、歯を食いしばる。「俺がもっと早く守ってやれりゃ……お前がこんな目に遭うことはなかった。」
葵(微かな声)
「……大丈夫よ……みんなが無事で……良かった……。」
葵の目がうっすらと開き、仲間たちを見つめる。「……私は……少し休むだけ……だから……。」
7(なな)は葵の傍らで静かに座り、低い鳴き声を上げている。その姿はまるで仲間の苦しみを共有しているかのようだった。
決断――葵の戦線離脱
その夜、葵を少しでも安全な場所に移すため、仲間たちは廃村の一軒家を仮拠点とし、話し合いを行っていた。
和成
「葵をこのまま戦わせるわけにはいかねぇ。ここで休ませるしかねぇだろ。」
夏美
「でも、ここは危険だよ……また敵が襲ってきたらどうするの?」
ChinaRibonn
「うん、うん!みんなで守るの! ChinaRibonn、葵ちゃんを守るから!」
和成
「違ぇよ。」
彼は冷静な口調で言い放つ。「葵がこれ以上無理をすれば、今度こそ命を落とす。そうなっちゃ元も子もねぇだろ。」
7(なな)は静かに立ち上がり、遠くを見つめるように前足で地面を引っ掻いた。
和成
「7も分かってるんだろ?ここで葵は離脱する――それが、今できる最善だ。」
夏美は涙をこぼしながらも、頷くしかなかった。
夏美
「……分かった。でも、絶対に戻ってきてね、葵。待ってるから……ずっと。」
葵(弱々しく)
「ありがとう……みんな……。」
葵は目を閉じ、静かに眠りにつく。その顔には、どこか安心した表情が浮かんでいた。
新たな目的――強さを求めるアルカディア
翌朝、和成は仲間たちの前に立ち、新たな決意を口にした。
和成
「今のままじゃ、また誰かがやられる。俺たちはもっと強くならなきゃならねぇ。」
彼は剣を手に取り、強い目で仲間たちを見つめる。「イーヴァルの守護者にやられたことは忘れねぇ。次は絶対に勝つ。そのために――伝説級の武器を手に入れる。」
夏美
「伝説級の武器……そんなもの、本当にあるの?」
和成
「噂は聞いたことがある。古のドワーフの鍛冶師、異界の遺跡、そしてダンジョン――そこに眠る武器だ。」
ChinaRibonn
「しゅごい!そんな武器、かっくいぃー!」
彼女は目を輝かせながら笑う。「それがあれば、次は絶対に勝てるよね!」
7(なな)は前足で地面を軽く叩き、まるで「導くべき場所がある」と伝えるように仲間たちを見つめた。
和成
「7が案内してくれる。まずは、武器を手に入れるために動くぞ。」
彼は剣を握りしめ、遠くを見つめる。「……葵が戻ってくるまでに、俺たちはもっと強くなるんだ。」
新たな仲間――ひよわとみのたんの登場
アルカディアが次なる目的地へと向かう道中、深い森の中で妙な争い声が聞こえてきた。
???(高い声)
「お前なんか、役に立たないんだよ、ひよわ!いい加減にしろー!」
???(低い声)
「ふんっ、言い過ぎだろ、みのたん。僕だってできることはある!」
茂みの中から現れたのは、犬耳をつけた二人の戦士――ひよわとみのたんだった。二人は言い合いをしながらも、息ぴったりに動いている。
和成
「何だ……犬耳の戦士たちか?」
ひよわ
「誰だ、お前たちは!?敵か!?」
彼は短剣を構えながら威嚇するが、目はどこかおどおどしている。
みのたん
「おい、ひよわ!気を抜くなよ!」
大きな斧を振り回し、勢いだけは満々だ。
ChinaRibonn
「わぁー!耳がふわふわだぁー!」
無邪気にひよわの耳を触ろうとして、二人が驚き後ずさる。
和成
「お前ら、落ち着け。敵じゃねぇ。……お前ら、どう見てもただの迷子だろ。」
ひよわ
「ま、迷子じゃない!僕たちは、異界の力を止めるために旅をしてるんだ!」
みのたん
「そうだ!俺たちがこの森の異変をぶっ壊してやる!」
和成は少しだけ笑い、彼らの戦いぶりに興味を示す。
和成
「……いいだろ。一緒に来い。お前ら、戦えるんだな?」
ひよわ
「もちろん!」
みのたん
「お前ら、足手まといになるなよ!」
和成
「それはこっちのセリフだ、バカ耳ども。」