シーン12: 「絶望の刃、崩れゆく均衡」
戦場――鏡ノ森の中心にて
霧と黒い光が渦巻く鏡ノ森の中心――異界の扉が今まさに開かれようとしていた。地面には不気味な紋様が輝き、空には裂け目が走り、異界と現実が交わりつつある。
イーヴァルがその中心に立ち、長い銀髪を風に揺らしながら、静かに笑っていた。彼の背後には異形の兵士たちがひしめき、カルト教団の信者たちが祈りのような呪文を唱え続けている。
イーヴァル
「ようこそ、アルカディアの諸君。だが、ここで貴様らの旅は終わるのだ。」
和成
「ふざけるな……!こんなところで終わるかよ!」
彼は剣を構え、仲間たちに指示を出す。「お前ら、絶対に扉を開かせるな!全力でぶっ壊すぞ!」
夏美
「分かってる!……でも、何かがおかしい。」
彼女は冷気の矢を構えながら、霧の奥を睨む。「敵の数が多すぎる……こんな戦い、今までなかった。」
7(なな)は扉の中心を見つめ、低く唸るように鳴いた。その瞳には焦りと警戒の色が宿っている。
ChinaRibonn
「怖い……なんだかすっごく嫌な感じがするよ。」
彼女は杖を抱きしめながら、仲間たちに光を送り続ける。「でも、ChinaRibonnがみんなを守るの!」
圧倒的な敵の力――イーヴァルの本領
突如として、イーヴァルが手を掲げると、空間が歪み始め、異界の裂け目から巨大な異形が姿を現した。それは黒い霧と金属の鎧を纏い、目のように光る無数の赤い点を揺らしながら、不気味に動き出した。
イーヴァル
「これは“冥獄の守護者”――異界の門を守る真の番人だ。」
冷たい声で告げる。「この力の前に、貴様らなど虫けらも同然だ。」
和成
「なっ……なんだ、あの化け物は!?」
彼は剣を握りしめ、後ろを振り返る。「お前ら、油断すんな!全力で叩き潰すぞ!」
巨大な守護者は咆哮を上げ、重厚な腕を地面に叩きつける。その衝撃で地面が割れ、アルカディアのメンバーが吹き飛ばされる。
夏美
「きゃあっ!」
彼女は間一髪で回避し、冷気の矢を放つが、守護者の黒い霧に吸収されてしまう。「全然効かない……!」
葵
「私が風で霧を散らすわ!みんな、今のうちに――!」
葵は風を纏い、全力で巨大な竜巻を起こす。
葵
「風よ、すべてを吹き飛ばせ――!」
風の力が守護者に直撃し、霧が一瞬だけ散る。しかし、その瞬間、イーヴァルが異形の兵士たちに指示を出す。
イーヴァル
「お前たち、あの女を狙え。」
異形たちは一斉に葵へと向かい、その黒い腕を絡ませるようにして攻撃を仕掛けてきた。
葵
「くっ……離しなさいっ!」
風の刃で次々と敵を切り裂くが、数が多すぎる。
和成
「葵!無茶するな!」
彼は叫びながら守ろうと駆け出すが、巨大な守護者の一撃に道を阻まれる。「くそっ……!」
葵の決断――仲間を守るために
異形に絡まれながらも、葵は仲間たちの姿を見つめる。その目には覚悟の光が宿っていた。
葵
「私が……ここを止める。」
夏美
「何言ってるの!?葵、逃げて!」
葵
「ダメよ、ここで私が食い止めないと……!」
彼女は風をさらに集中させ、異形たちを巻き込むように力を放つ。「みんな……絶対に生き延びて!」
その瞬間、彼女の周囲に嵐のような風が巻き起こり、異形たちが吹き飛ばされていく。しかし、彼女自身もその力の反動で地面に崩れ落ち、血を流しながら動かなくなった。
和成
「葵ィィィッ!!」
彼は必死に駆け寄るが、イーヴァルの守護者が立ちはだかる。「どけぇぇぇっ!」
仲間の喪失――悲しみと怒り
和成
「葵、目を開けろ!おい……しっかりしろ!」
彼は葵の体を抱え、叫ぶ。「……こんなところで、何やってんだよ!」
夏美
「葵……嘘でしょ……。」
涙をこぼしながら震える声で呟く。
ChinaRibonn
「やだ、やだよ……葵ちゃん、起きてぇ……!」
光を放とうとするが、癒しの力ではどうにもならない。「しゅごいかっくいぃ葵ちゃん、頑張ってぇ……!」
7(なな)は静かに葵の周りを回り、低い唸り声を上げている。
撤退――次への決意
イーヴァルの冷たい笑いが森に響く。
イーヴァル
「お前たちの限界はここまでだ。裁定者さまの計画は、誰にも止められん。」
和成は歯を食いしばりながら、葵の体を抱え、仲間たちに撤退を指示する。
和成
「……今は引くぞ。葵をこれ以上危険な目に遭わせるわけにはいかねぇ。」
夏美
「でも……!」
和成
「ここで無駄死にするつもりか!次だ……次こそ、絶対に倒してやる!」
仲間たちは涙をこらえながら撤退し、鏡ノ森を後にする――彼らの心には深い傷と、新たな怒りが残された。