シーン10: 「歪みゆく均衡と新たなる追跡」
束の間の休息――そして動き始める不安
ガルゴスの撃退と異界の裂け目の封印を成し遂げたアルカディアは、次なる戦いに向けて準備を整えるため、一時的に廃墟となった村でキャンプを張っていた。夜が深まる中、星空だけが静かに彼らを見守っている。
焚き火の灯りが小さく揺れ、メンバーたちの顔を照らす。彼らは久しぶりに訪れた平穏の時間を、それぞれのやり方で過ごしていた。
夏美
「はぁ……ほんの少しでも、こうやって休めるのって、嬉しいよね。」
彼女は焚き火を見つめながら、温かい息を吐く。「戦ってばかりだと、気が休まらないもん。」
和成
「まぁな。だが油断は禁物だ。」
剣を手入れしながら、ちらりと周囲を見渡す。「次はどこで何が起きるか分からねぇんだからな。」
葵
「カルト教団の司祭たちも次々と動き始めているわ。ガルゴスを倒したからといって、まだ油断できない。」
彼女はノートに地図と情報を書き込みながら言う。「残りの石板も確実に彼らが狙ってくるでしょうね。」
ChinaRibonn
「でも、みんな強いから大丈夫!ChinaRibonnも、ずっと一緒にいるんだもん!」
無邪気な笑顔で焚き火の前に座り、杖を軽く振る。「みんな、しゅごい!かっくいぃー!」
その姿を見て、和成は少しだけ口元をほころばせる。
和成
「お前がそう言うなら、少しは気が楽になるな。」
7(なな)は少し離れた場所で静かに座り、夜空を見上げていた。時折耳をピクッと動かし、何かを探るように遠くを見つめている。
均衡管理局の追跡――影の動き
その頃、均衡管理局ではアルカディアの動向が監視されていた。
暗い作戦室のモニターには、アルカディアが焚き火を囲む様子が映し出されている。秋元局長は腕を組みながら、その様子をじっと見つめていた。
秋元局長
「奴ら……石板を封じて回っているのか。」
部下の一人が不安そうに報告する。
部下
「局長、アルカディアの動きは明確です。彼らは異界の力を完全に封じようとしている。」
秋元局長
「ふん……愚かなことだ。」
彼は冷たい目でモニターを見つめる。「異界の力を制御すれば、人類は新たな進化を遂げられるというのに。」
その時、別の研究員が緊急報告を持って駆け込んできた。
研究員
「局長!人工異能力者の一人が再び暴走しました!施設の隔離エリアが……!」
秋元局長
「なんだと……!」
彼は苛立ちを隠せず、机を叩く。「時間がない。次の扉の座標を急げ!アルカディアに先んじて、その力を掌握するのだ!」
7(なな)の示す新たな兆し
焚き火が消えかけた頃、7(なな)が突然立ち上がり、前方をじっと見つめ始めた。その青白い瞳が静かに光り、遠くから何かを感じ取っているようだった。
夏美
「7ちゃん……また何か感じたの?」
7(なな)は静かに前に進み、小さな鳴き声を上げる。それはまるで「早く行かなければならない」と伝えるかのような、切迫した声だった。
和成
「どうやら、次の場所が見つかったようだな。」
剣を背負い、立ち上がる。「今度はどこだ?」
葵
「7の示す方向……地図だと、あそこね。」
彼女は地図を広げ、指である場所を示す。「ここは“鏡ノ森”。昔から霧が立ち込めて人が迷い込むと出られなくなると言われている場所。」
ChinaRibonn
「わぁー、また新しい冒険だね!ChinaRibonnも楽しみー!」
無邪気に笑う彼女の声が、少しだけ場を和ませる。
和成
「新しい場所、新しい敵……ってところか。」
険しい表情を浮かべながら、焚き火を踏み消す。「どんな罠が待ってるか分からねぇが、7が導くなら行くしかねぇ。」
カルト教団の新たな司祭――動き出す影
一方、その鏡ノ森では、新たな司祭が異界の力を集め、次なる「石板」を使った儀式を準備していた。
新たな司祭――イーヴァル。彼は長い銀髪をなびかせ、静かな口調で信者たちに命令を下している。
イーヴァル
「この森こそ、異界の門が開かれるべき場所だ。」
彼の足元には、異界から漏れ出す霧と黒い植物が絡まりついている。「アルカディアの者たちがここに来るだろう。だが――ここで終わらせる。」
異形の信者たちは静かに彼の言葉に従い、森の奥へと姿を消していく。
イーヴァル
「裁定者さまのために……人類に裁きを。」