睡蓮と鳩
鳩山はカラスの鳴き声で目を覚ました。
時計を見ると、まだ午前五時。アラームのセットは午前六時だ。一時間の余裕があるならば、いつもなら二度寝しているところだが、この日は起きることにした。これだけ気が張っているなら、二度寝など到底無理だろう。鳩山はそう思った。
鳩山は緊張していた。この日は防衛省から呼び出されていたのだ。しかも要件は伝えられずにいた。当日に直接伝えるとのことだった。これがただ事ではないことは、長年の経験から分かる。“刑事の感”というやつだ。【直感とは論理の上位互換である。直感とは長年に渡って蓄積された知識から、瞬間的に導き出されたものだからだ。】鳩山は以前、何かの本で読んだこのフレーズを思い出した。
警視庁公安部長、それが鳩山の役職だ。
大学を卒業した鳩山は国家公務員第一種試験を受けて合格、そのまま警察大学校に入学した。管理職候補としての訓練を受ける、いわゆるキャリア組だ。
警察学校での成績は良かった。主席ではなかったが、同期の中で上位をキープし続けた。その後、公安総務課に配属された。鳩山が公安警察という狭き門をくぐれたこと、そして50歳という若さで公安部長にまで出世できたことの大きな理由は、人間関係がすこぶる良かったことだ。学生時代から読書を習慣としていた鳩山は、素直に本の内容を実践し、生活に反映させていた。特に人との関わりについては一際理解を深め、活かしてきた。
事実として、公安で鳩山は目立った功績は特に上げては無い。それでも、部下からも上司からも好かれてる鳩山は異例の速さで出世していった。公安も組織だ。組織内では人間関係がモノを言うことは鳩山には分かっていた。
鳩山がリビングに下りると娘の理奈が朝食を摂っていた。
理奈は今年、大学受験を控えた高校三年生だ。朝食の後は勉強に励むのだろう。鳩山はこういう時は何も言わないのが正解だと分かっていた。親子関係が悪い訳では無いが、最近は会話が減っていた。自分が話しかけたところで、ただ邪魔をするだけだ。
「あれ、早いね。」
理奈の方から話しかけてきた。鳩山は少し驚いた。
「あぁ、今日はちょっと大事な仕事があってな。緊張して目が覚めてしまったよ。」
「それって危ない仕事?」
しまった。余計な心配をかけてしまったと、鳩山は後悔した。
理奈がまだ幼い頃、ドラマや映画などで、公安警察が銃の撃ち合いを行うシーンを見る度に、理奈が泣きそうな顔で心配していたことを思い出した。
「防衛省から呼び出されただけだよ。それと、俺はもう現場に出ることはないから、危ない目に遭うことは無いよ。」
「そう。」
それを聞いた理奈は安心して顔をテレビ画面に向けた。
その後、自室に向かう理奈と入れ替わりで妻の聡美が現れた。
「あら、おはよう。」
聡美は、珍しく先に起きていた鳩山に少し驚いていた。
「そういえば今日だったわね。」
「あぁ。ところでこのネクタイ曲がってないか?ちゃんとスーツを着るの、何年ぶりだろう。」
「大丈夫よ。呼び出しの内容は結局分からないままなの?」
「あぁ、帰ったら話すよ。」
そう言って鳩山は家を出た。
新宿にある防衛省本部に着いた鳩山は、受付に向かった。
「公安部長の鳩山です。」
警察手帳を見せながら言った。
「伺っております。担当の者が参りますので、かけてお待ち下さい。」
受付の女性は鳩山が訪ねて来ることを知っていたようで、そう言った後に内線で誰かに連絡をした。
鳩山がロビーにある椅子に座って待っていると、一人の男性職員が現れた。
「お待たせしました。鳩山さんですね。こちらへどうぞ。」
自己紹介もせずに歩き出す職員に、疑問に思った鳩山だが、とりあえず黙って付いていった。
二人はエレベーターに乗り込んだ。職員が押したボタンは地下3階だった。
それを見た鳩山は、我慢が出来なくなって聞いた。
「すまないが、君の名前は?」
「すいません。会話はできるだけ控えるように言われてます。」
職員がそう答えた後にエレベーターの扉が開いた。
その後、廊下をしばらく歩いた後に、別の職員が現れた。
「鳩山公安部長をお連れしました。後はお願いします。」
「後は私が案内致します。どうぞこちらへ。」
鳩山は別の職員へと引き継がれた。
しばらく廊下を歩くと、別のエレベーターが現れた。
しかし中に入ると、そこに設置されているボタンは地下階層のみだった。
「今回、私が呼び出された理由を、君は何か知っているのかね?」
鳩山は駄目元で聞いてみた。
「知りません。詮索もしないように言われてます。」
職員が答えた。
その後、エレベーターの扉が開いた。
「私が案内できるのはここまでです。廊下を真っ直ぐ進んで、突き当たりで右に曲がって下さい。別の者が案内します。」
職員はそう言って鳩山をエレベーターの外に出し、扉を閉めてしまった。
鳩山は異常なまでの緊張感を持ちながら歩き出した。一体これから何が起きようとしているのか、長年蓄積された刑事の経験をもってしても想像が付かなかった。
言われた通りに廊下を突き当たりまで進んで右に曲がると、また別の職員が立っていた。職員の近くには空港で見るような金属探知ゲートのようなものがあった。
「鳩山さんですね。電子機器をここで預かります。ご協力下さい。」
職員が言った。
「何故だ?」
頭が混乱した鳩山が辛うじて出した言葉がそれだった。
「お答えできません。」
「だろうな。」
鳩山はやけくそになってスマートフォンを取り出した。
その後、金属探知機を通過し、職員によるボディチェックが行われた。
「これも預からせて貰います。」
職員は鳩山のジャケットの内ポケットから、拳銃を取り出した。
「このまま進んで突き当たったら左に曲がって下さい。奥に扉がありますので、指紋認証と虹彩認証を行って中に入って下さい。」
鳩山はいつの間に登録されたのか疑問に思ったが、従う他なかった。
言われた通りに生体認証を終えて扉を開けると、もう一つ扉があった。扉の上にある監視カメラに顔を向けると扉が開いた。
中に入った鳩山は、部屋の中の情報量が多く、脳がパンクする思いに駆られた。
まず部屋の壁や天井が幾何学模様になっていた。それが電波暗室だということに鳩山は気付いた。電波暗室とは外部からの電磁波の影響を受けず、かつ外部に電磁波を漏らさないようにシールドされた特殊な部屋のことである。つまり、今鳩山がいるこの部屋は、外との通信が一切できない、陸の孤島である。
続いて部屋にいた四人の男達に驚いた。何故ならその中の一人が防衛大臣の八下田その人だったからだ。
「大臣!?」
まさかこんな地下で防衛大臣本人と会うと思っていなかった鳩山は驚いた。
「お疲れ。鳩山君。いやぁ悪かったね。回りくどいやり方をして。今回の集まりは、外部に知られたくないんだよ。
みんな、ご存知だと思うが、公安部長の鳩山君だ。」
そう言われた他の三人は会釈した。
「鳩山君、紹介するよ。私の隣にいるのが、私の秘書の相馬君だ。彼は信頼できる私の右腕で、今回のプロジェクトに参加してもらうことにした。トップシークレットな今回のプロジェクトにも、細々とした雑務をこなしてもらう人員が必要だからね。彼がその担当だ。」
「宜しくお願い致します。」
背が高く短髪でキリっとした眉毛の好青年は頭を下げてそう言った。おそらくまだ三十歳くらいだろうと鳩山は思った。
「こちらは米沢教授だ。東京理科大学で教授をされている。専門の研究は物理学だが、その他多くの知見をお持ちだ。」
「どうも。」
米沢は少し無愛想だった。恐らく学力が下の人間を見下しているのだろう。人間関係に敏感な鳩山はそれをすぐに見抜いた。
「こちらは蓮田先生だ。本職は精神科医だが、心理学にも精通している。」
「お久しぶりです。鳩山さん。」
蓮田は鳩山を見て微笑んだ。
「やっぱり蓮田先生でしたか!」
鳩山は思いがけない知り合いと対面できたことで少し安心した。
「二人は顔見知りだったか。」
八下田は満足そうに頷いた。
「はい。蓮田先生は犯罪心理学のセミナー講師として、何度もお越し頂いております。それに私個人としても蓮田先生の書籍のファンでして。」
蓮田は執筆活動も行っており、日本の読書業界では有名な作家の一人だ。心理学をベースとして執筆されたビジネス書は一定の説得力を持ち、ライト層にも読みやすかった。その中でも【組織論】は鳩山に大きな影響を与えた本の一冊だった。
組織とは人の集合体であり、それぞれ違う価値観のもと集まった個人には、それぞれに違う正解がある。組織内の立ち回りにおいて重要なことは、それぞれの相手の正解を見抜くことである。プライベートと仕事を分ける者とそうでない者、論理的思考を行う者とそうでない者、鳩山はそれぞれの正解を模索し、当ててきたことにより、上司や部下からの信頼を確固たるものにした。結果として、今の地位まで上り詰めるに至った。
「では、軽い紹介も済んだところで本題に入りたいのですが、その前に鳩山部長にはこの文書にサインしてもらわねばなりません。」
相馬が一枚の紙を取り出した。それは秘密保持契約書だった。
「鳩山くん、これから我々が話す内容は、絶対に外部に漏れてはならない。だからこういう手続きは必要なんだ。もし君が秘密保持契約を破った時は、君の社会的地位は全てはく奪することになる。」
八下田が言った。
「ちょっと待って下さい。いきなりこんなものを渡されても困ります。せめて法律家のチェックを済ませてからでないと。」
鳩山は慌てて返事をした。
「もちろん、サインをするかしないかは君の自由だ。ただし、サインをしないなら今すぐこの部屋から出て行ってもらうことになる。申し訳ないが、今すぐにここで決めてくれ。」
鳩山はしばらく考えた後に他の四人を順に見渡した。蓮田と目が合った時に、蓮田は僅かに頷いた。
「分かりました。」
そう言って、鳩山はサインを記入し指印を押した。
「よし、これで全てのメンバーが揃ったな。それでは早速本題に入ろうか。相馬君宜しく頼む。」
「かしこまりました。では始めさせていただきます。早速ですが、まずはこちらの資料をご覧ください。」
相馬はラップトップ型のパソコンを操作した。有線で繋がれたプロジェクターに一枚の書類データが映し出された。それは一件の事件ファイルだった。
「この事件は、話題になったから、みんな知ってるだろう。」
その内容は、約半年前に都内のラーメン屋で起こった火災事故のものだった。火の回りが速く、ほとんど爆発に近い火事だったため、店内にいた人間は全員逃げ遅れ、四名が死亡、三名が重症になるという痛ましい事故だった。この事故が話題になった理由は、被害者の多さだけでは無く、死亡した被害者の中に東京都知事選に出馬していた政治家が含まれていたこともあった。
「この事故は、“ラーメン屋側の火元の管理が甘かった。”という捜査結果に終わりました。ラーメン屋の店主も亡くなっていたこともあり、世論も不運な事故という認識が強かったです。メディアの放送もそれに偏っていました。しかし、我々が独自に調査を行ったところ、人の意思によって引き起こされた事件の可能性が高いことが分かってきました。ここからは我々の推測ですが、これは政治家をターゲットとした、事故に見せかけた殺人です。」
「ちょっと待て。警察でもない君が調査したのか?」
鳩山が聞いた。
「彼は元々陸上自衛隊にいた。そこでの成績があまりに優秀だったので私の目に留まった。試しに対心理情報課程の試験を受けさせたら見事合格したから、その時点で私が引き抜いたんだ。その後は、私の秘書としての業務を行いながら、裏で日本国内のテロ情報や裏社会について独自に捜査させていたのだよ。」
八下田が答えた。
「推測通りこの事故が意図的に引き起こされたとして、犯人の目星はついてるんですか?」
蓮田が聞いた。
「それが、今から犯人を捕まえるのは、難しいです。」
相馬が答えた。
「私が動いて特殊捜査チームを組織しますよ。」
鳩山が言った。
「まあまあ、落ち着いて。話はそう単純じゃないんだ。」
八下田がため息交じりに答えた。
「この事件を捜査するのが難しい理由として、これがプロの殺し屋の仕業だということが挙げられます。彼らはターゲットの行動パターンを半年以上観察し、綿密な計画を立てて、自然な死を装って実行します。そしてコインに裏と表があるように、表社会があれば裏社会も存在します。捜査を難しくする別の理由に、この裏社会の特殊な社会構造が挙げられます。依頼を受ける者、武器を提供する者、殺しを実行する者、痕跡を消す者。それぞれが個人事業主のように独立していて、その時々によって仕事を行うメンバーは変わります。お互いがお互いを必要としたときに自分で依頼する。分業体制が徹底されているんです。例えるなら、表社会がピラミッド型の組織図になっているのに対して、裏社会は、あみだクジのような組織図になっています。例え一人の人間を検挙しても、黒幕に辿り着くことができません。何故なら全てを把握しているトップがいないんですから。」
相馬が説明した。
鳩山も、プロの殺し屋が仕事をしたであろう現場を見たことはあった。一見すると場当たり的な犯行に見えた殺人も、あらゆる痕跡が上手く隠されていて、捜査が行き詰まる。未解決のままに終わる事件は少なくはなかった。
「裏社会の、深く広く張り巡らされたネットワークは大きくなり過ぎました。それは現在の警察の能力をもってしても、全容を把握することは不可能です。」
相馬が言った。
「しかし大臣、我々も無能ではないですよ。街中に張り巡らされた監視カメラ、高性能な指紋解析システム、SNSの活用などによって警察の捜査能力も過去に類を見ないほどに飛躍しております。」
鳩山が答えた。
その言葉を聞いた八下田は、静かに首を振った。
「ここからは米沢教授、お願いできるか?相馬君、例の物を持ってきてくれ。」
八下田の指示で相馬は部屋の奥から、透明なガラスでできた四角系の箱を持ってきた。箱の中には金属の柱が二本立っていた。
「ではここからは、私が引き継ぎます。」
米沢が口を開いた。
「鳩山部長、先ほどあなたは捜査能力が飛躍的に上昇したとおっしゃいましたね。それは、裏社会でも同じことなんですよ。例えば局所的に電子機器を麻痺させるジャミング装置、これを使えば周辺の監視カメラなど潰されてしまう。それから指先に貼るタイプの指紋偽造フィルム。これは指紋が無いよりも厄介ですよ、存在しない架空の人間の指紋が残るんですからね。
殺しの手法もね、化学の進歩と共に変わってきてるんですよ。後ろからナイフで突き刺す、首を絞める、といったアナログ的なやり方をするプロの殺し屋なんて、もういません。
例えば、あるカビの一種を使った毒は、心臓発作の症状で対象を殺害し、司法解剖でも検出されないものもある。そんなものを捜査するのはもう不可能なんです。」
米沢は鼻につく話し方だった。鳩山の第一印象は正しかった。
「この箱の中に何が見えますか?」
「金属の柱が二本見える。」
鳩山の声のトーンは下がっていた。
「この二本の柱の間には一本の繊維が通ってます。」
米沢にそう言われ、目を凝らして良く箱の中を見たが、鳩山の目には、繊維など見えなかった。
「肉眼で見ることは不可能でしょう。ナノファイバーと呼ばれるものです。その細さは毛髪の千分の一程度。これは私の研究室で開発が進められているものです。太さに大して高い強度を持っています。この繊維を織る技術が実用化されれば、人口心臓弁などの医療分野、人口衛星の部品などの宇宙分野での活躍が期待されます。」
米沢が説明した。
「鳩山君、私が何を言いたいかはもう分かっているね。」
八下田が言った。
「これが、凶器にもなり得ると?」
「その通りです。流石にこれ一本では人体に影響を与える強度にはなりません。しかし何本か束ねれば人体を傷つける目に見えないワイヤーになり得ます。一般的な子供の腕力でも、大人の身体を切断することが可能になります。
人類は原子力を発見、実用化した結果、エネルギー効率は大きく上がりました。しかしその結果、広島と長崎という悲劇が生まれた。科学の進歩とそれが孕む危険性は切っても切り離せないものなんです。」
米沢が説明した。
「この火災事故も、“ラーメン屋側の火元の管理が甘かった。”と思わせる、高度な爆発技術や知識を駆使しているということですね。」
蓮田が言った。
「その通り。そしてこの事例から分かる大きな問題点は、一人のターゲットを始末するために、他の善良な市民を巻き添えにしているという点だ。」
八下田が言った。
「今回、被害に遭われた他の被害者は、ただその場に居たというだけです。鳩山部長、あなたにも家族がいるそうですね。想像してみてください。この場にもしあなたの家族も居たとしたら。」
相馬のその台詞に鳩山は一気に血の気が引いた。
「更に先ほどの火災事件に、このナノファイバーの技術を当てはめてみます。この武器を手にした殺し屋は、ターゲットが乗った電車やバスなどの公共交通機関の通り道に、この繊維を仕掛けておくだけで、家でコーヒーを飲んでいる間に仕事が完了します。想像してみてください。その電車にあなたの家族が...」
「もういい!」
米沢の説明を遮って、鳩山は声を荒げた。
「ちょっと待って下さい。」
蓮田が口を開いた。
「このナノファイバーは米沢教授の研究室で開発されたものですよね。だとしたら、これだけの最先端の技術が裏社会に流通するのでしょうか?」
この蓮田の質問には相馬が答えた。
「流通する可能性は十分あります。いや、既に流通していると考えた方がいいでしょう。」
「科学者の中に共犯者がいるということですか?」
「裏社会の人間は、上手く社会に溶け込んでいます。そして完全に分業体制となっています。中には犯罪の片棒を担がされていることに気づかずに協力している人間も含まれているんです。用途を承知の上で技術提供をしているとは限らないということです。そういう意味では、共犯と呼んでいいのかどうか。
それと、今や裏社会は大きな経済力を持っています。最先端の技術を研究、開発する資金が潤沢にあります。もはや裏社会が武器を作り出す予算は一大学の研究室を凌ぐ規模になっています。その上、特許、承認、治験、などといった煩わしい利権のしがらみが無いので、速やかに実用化されていきます。」
相馬が言った。
「以上のように問題は二つある。ひとつめは先ほど米沢教授が述べた通り、化学の進歩による手段の多様性。ヒットマン達は高度に発達した捜査能力をかわすために、同じく高度な手段を使い、事故に見せかけてターゲットを始末する。これは捜査を非常に難しくする。ふたつめは、こちらがより重要だが、ターゲットを始末するために、他の犠牲者を出し始めているということだ。罪の無い善良な市民が命を奪われている。これを防ぐことは、もはや国防と言っても差し支えないだろう。忌々しいヒットマン達を消し去る為に、何としてでも知恵を出し合わねばならん。
鳩山君、今回君をメンバーに加えたのは公安の中でも君が最も適任だと判断したからだ。階級で考えるならば警視総監を呼ぶのが正しいのだろう。しかし、警視総監が動いていては目立ち過ぎてしまう。現場経験も豊富で、まだ若く、部下と上司からの人望も厚い。君はいずれ公安警察のトップに立つ人間だ。これは君ににしか務まらない。」
「承知しております。」
「よし、今日のところはここまでとしよう。今回話した内容はもちろんだが。我々が会っているということ自体も他言しないように。」
こうして、鳩山達五人は解散した。