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95. 大森林探索

 

 ヨナンは元トップバリュー領で、グラスホッパー商会本店予定地の建設が終わったら、再び、グラスホッパー男爵領の温泉スパに戻ってきた。


「やっぱり、労働の後の温泉は、気持ちいいよな!」


『ご主人様。建設中も、普通にここに戻って来てたじゃないですか!

 というか、いつまで温泉入ってるんですか!』


 鑑定スキルが、朝湯を通り越して、昼になっても温泉スパを楽しんでるヨナンに、小言を言う。


「まあ、元トップバリュー領とグラスホッパー領は近いし、元日本人としては、温泉で長湯をするのは当然の事なんだよ!」


 そう、移動だけを考えた、超高速荷馬車なら、元トップバリュー領まで片道30分で到着しちゃうのだ。

 それもこれも、グラスホッパー領から、元トップバリュー領まで、石畳で舗装したお陰なんだけど。


 そもそも、アスカはグラスホッパー領を併合して、1つの領にしたぐらいだから。そもそもが近いのである。


『ご主人様、またダラケ病が発祥してしまいましたね』


「今は、夏休みなんだぞ。 ダラケるのは当たり前だろうがよ!

 それに、俺は1週間もぶっ続けで働いてたんだ。この世界に俺以上に働いてる奴が居るのかよ!

 たった1週間で、城塞都市1つを作り変えれる奴が居たら、見せてみろってんだ!」


 俺は、クダを巻き開き直る。

 何で、休暇中に働かなくちゃならないのだ。

 本当に、やってられないぜ。


『じゃあ、外で健康的に遊んでみては?

 ここで、食っちゃ寝ばかりしてたら不健康ですよ?』


「何しろってんだよ!」


『大森林の探索とか、 楽しいかもしれませんよ?

 なんか、リサリサさんが言ってたじゃないですか!

 奥まで探索したら変な結界があって、それ以上奥に進めなかったって!

 なんか、冒険心くすぐられません?』


「お前が、行ってみたいだけだろ!

 どうせ、ろくでもないもんだよ!

 お前も知ってるだろ? ここの大森林は、本来、帰らずの森とか言われてたんだぜ?

 イーグル辺境伯側の大森林には、魔物がウジャウジャ居るのに、こっちだけ全く何も出て来ないって、どう考えてもおかしいだろうが!」


『だからこそですよ! それだからこそ、冒険心がくすぐられるんじゃないですか!』


「そんなに行きたいなら、お前1人で行けばいいだろ!」


『ご主人様のイケズ! 僕は、スキルなんです! ご主人様が行ってくれなかったら、僕も行けないんですよ!』


 なんか、鑑定スキルがへそを曲げてしまった。

 そんなに、大森林を探索したいのか?

 まあ、鑑定スキルなので、知らない事を知りたいという欲求が、他の奴より大きいのかもしれない。


 もう、これは行くしかないだろ。

 スキルの機嫌を取るのも、ご主人様の仕事なのだ。多分……。


「嗚呼! 分かったよ! 行けばいいんだろ!」


『僕は、優しいご主人様なら、願いを叶えてくれると思ってましたよ!』


 鑑定スキルは一瞬にして機嫌がなおり、バンザイしてウキウキである。

 多分……言葉の雰囲気的に……スキルで実体ないから分かんないけど。


 てな訳で、護衛としてエリスと、暇そうにしてた、元『熊の鉄槌』のリサリサとゴンザレスを誘って行く事にした。


「ガッハッハッハッ! 久しぶりの冒険じゃわい!」


「アンタ、酒臭いのよ!」


 道すがら、ゴンザレスとリサリサが、わちゃわちゃやっている。

 まあ、2人とも元S級冒険者なので、護衛として問題無いだろう。

 まあ、エリスも居るし、元『熊の鉄槌』のメンバーが3人も居たら、何か起こった時、どんな風にも対処出来ると思うしね。


『ご主人様、エドソンさんを誘わなくて良かったんですか?

 エドソンさんも、一応、元熊の鉄槌のメンバーだったと思うんですけど?』


 鑑定スキルが聞いてくる。


「やっちまった……すっかり、エドソンが、元『熊の鉄槌』のメンバーだという事忘れてた……」


 そう。ヨナン的に、エドソンはどこまで行っても父親なのである。

 エリザベスに関しては、元『熊の鉄槌』のリーダーなので忘れないけど、エドソンに関しては、何故か忘れてしまうのだ。

 元『熊の鉄槌』と言うより、大戦の英雄としてのエドソンの方が有名だし。


「私も忘れてた」


 どうやら、クールビューティーのエリスも忘れてたようである。


「アイツは、裏切りもんだからいいのよ!

 アイツが、戦争に参加するとか言い出すから、『熊の鉄槌』は、解散する羽目になったんだし!」


 どうやら、『熊の鉄槌』の解散は、エドソンが原因だったらしい。


「しょうがないじゃろ?お前さんだって、自分の故郷が侵略されそうになったら、駆け付けるじゃろうて?」


 ゴンザレスが、リサリサを窘める。


「さあ? どうしから?というか、まだ、故郷は有るのかしら」


 リサリサって、一体何歳なのだ?

 自分の故郷の有無も、分からないなんて……。

 まあ、スマートな男と自負してる俺は、絶対に女性の年齢なんか聞かないけどね。


「久しぶりの里帰り。ウキウキ」


 なんか、クールビューティのエリスが、真顔でなんか言っている。

 ていうか?里帰り?


「アンタ?里帰りって?何言ってるのよ?」


 すかさず、ロリババアのリサリサが反応する。


「ん? 言ってなかった?大森林が生まれ故郷だって?」


「「えぇぇぇぇーー!!」」


 無口過ぎるクールビューティーエリスの発言に、俺も含めて、長年一緒に活動してきた筈の元『熊の鉄槌』のメンバー達も、全員、口をアングリ開けて驚いた。

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