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93. 里帰り

 

『カレンさんも着いてくると言うと思ってたけど、意外ですよね?』


 グラスホッパー領に向かうキャンピングキッチン荷馬車の中で、鑑定スキルが話し掛けてくる。


「ああ。なんでも、『熊の鉄槌』が持ってるカララムダンジョンの最高到達階層記録の65階層を、この夏休みを使って必ず越えるとか何とか言ってたよな?」


『今、アンさんと二人で、剣貴コンビイケイケイケですもんね!』


 そう。今現在、剣鬼カレンと、剣姫アン姉ちゃんの通称 剣貴コンビは、カララム冒険者ギルドNO.1冒険者パーティーとして君臨してるのだ。


 しかも、今回は、親戚であるカトリーヌまで応援に来て貰って、本気で『熊の鉄槌』が持ってる、カララムダンジョン最高到達記録を越えようとしてる。


 というか、イーグル辺境伯の血筋の者が、3人も集まるなんて怖すぎる。

 だって、あの人達が持つ身体強化Lv.3って、本当に人間凶器なんだから。


 俺が、どんだけアン姉ちゃんに、骨をボキボキに折られたか……。

 思い出しただけで、吐き気がしてきた。


 でもって、今現在、荷馬車には、俺とエリスと三男のトロワ・グラスホッパーが乗っている。

 俺が、グラスホッパー領に帰ると言ったら、一緒に帰ると言ったのだ。


 因みに、ジミーは、生活費を稼ぐ為に、カララムダンジョンに籠るようだ。


 相当、アスカとつるんで悪さしてた事に、エリザベスはご立腹で、仕送りの金額を下げられたとの事だ。


 まあ、ギリギリ貴族寮に居る事が出来るぐらいの金額で、生活費が全く足りず、夏休み以外は、昔、アン姉ちゃんがやってた、学食のバイトをしてるみたいだし。


 普通に、俺が居る平民寮に移れば、余裕で生活出来ると思うけど、それは、ジミーのプライドが許せないであるようだ。本当に、面倒臭い男である。


『アッ! ご主人様! もうすぐ、グラスホッパー領に着きますよ!』


 鑑定スキルが、教えてくれる。


「グラスホッパー領、ちょっと見ない間にメチャクチャ発展してないか?」


『セントさんの手腕なんじゃないですか?』


「セント兄って、そんなに商才有ったのか?」


『エリザベスさんの息子ですよ。それに、シスちゃんやコナン君も、相当、仕事出来ますしね!』


「なるほど、エドソンじゃなくて、エリザベスの血を受け継いでたんだな」


 ヨナンは納得した。だって、エドソンの息子だったら、どう考えても商売上手くないしね。

 セント兄は、カララム王国学園を卒業してから、上手く領地経営をしていたようである。


 ーーー


 猛烈に発展してるグラスホッパー男爵領に到着すると、屋敷の前で、エドソンとコナンが剣の稽古をしていた。


「ウリャァァァァァァアアァァァァァーー!」


 ズザズザズザズザズザズザズザズザズザズザズザズザズザズザズザズザズザズザズザズザズザ!!


『何ですか……コナン君のアレ……』


 鑑定スキルが、コナンの連続斬りを見て驚いている。


「みじん切りスキルLv.3の効果だよな……」


『ですね。料理では、コナン君、みじん切りスキルLv.3を、遺憾無く発揮してましたが、戦闘にまで使ってくると、コレは手に負えませんよ!』


「ああ。それを全て受け切る、エドソンも凄いけどな……」


『流石は、大戦の英雄ですね!』


 エドソンは、領地経営はカラッキシだったけど、戦闘力だけは物凄いのである。

 伊達に、サラス帝国との大戦で活躍した、国の英雄と言われてるだけの事はある。


「よお! ヨナン帰ってきたか!おっ!トロワも一緒かよ!」


 エドソンが、ヨナン達に気付いてやって来る。


「ヨナン兄ちゃん! それからトロワ兄、お帰り!」


 コナンも、走ってやって来る。


「セント兄と、シスは居ないのか?」


 いつもだったら、すぐに駆け付けてくるシスが居ないので、エドソンに質問する。


「ああ。セントとシスは、元トップバリュー男爵領の視察だな。

 今は、王家直轄領になっていて、それに伴いトップバリュー商会も無くなってしまったから、新しく、元トップバリュー領に、グラスホッパー支店を立ち上げる計画があるとか何とか言ってたな?」


 エドソンは、全くグラスホッパー商会にノータッチなので、詳しい事は知らなそうである。


 因みに、セントはカララム王国学園を卒業してから、グラスホッパー商会に就職しており、エドソンの代わりにグラスホッパー領の経営をしつつ、グラスホッパー本店の店長をやってたりもする。


 エリザベスが王都店、セントが本店、ついでに言うと、ビクトリア婆ちゃんがグリズリー支店、シスがカナワン支店とイーグル支店の店長をしてたりする。


 シスは、一時期、まだ子供という事で、グラスホッパー商会の経営から離れたが、俺の嫁になる気満々なので、今のうちから、グラスホッパー商会の経営に本格的に関わっておきたいという本人の強い希望に、エリザベスが折れた形である。


 どんだけ、働き者なのだ。

 まあ、これもイーグル辺境伯の血筋なのだろう。

 ビクトリア婆ちゃんも、エリザベスも、メチャクチャやり手で働き者だし。


 でもって、俺は、女達に働かせてノンビリ学園生活を楽しんでる。

 まあ、領地でコナンの剣術の稽古を付けるだけの生活をしてるエドソンも、同じようなもんだけど。


「で、ヨナン。お前は実家でノンビリするんだろ?」


 エドソンが、願望も込めて聞いてくる。

 どんだけ、俺の事が好きなのだろう。


「俺は、グラスホッパー商会の温泉スパで泊まる予定だけど?」


 そう。もう俺には、グラスホッパー男爵家に家がないのである。

 昔、一応、建てておいた大森林に作った家は、現在、元『熊の鉄槌』のメンバーであるリサリサとゴンザレスに譲ってるし、ハッキリ言うと、この国中にあるグラスホッパー商会が所有するホテルや温泉スパに泊まれるので、家など全く必要ない。王都の家も、便宜上作っただけで、本来は必要もなかったりするのだ。


「たまには、実家でノンビリしたらどうだ?」


「温泉スパの方がノンビリできるでしょ」


「確かに」


 実を言うと、エドソンもグラスホッパー商会の慰安施設である温泉スパに入り浸ってたりする。

 温泉は有るし、色んな美味い店は有るし、居酒屋まで入ってるからね!


 しかも、エドソンはタダで利用できちゃうので、そりゃあ来るでしょ!

 毎日、ゴンザレスと一緒に居酒屋で飲むのが日課になってるとか。

 というか、エドソンも週に3日は、温泉スパに泊まってたりするのだけどね。

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