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90. 断罪イベント

 

 そして、新たに武道場に監視カメラを100台以上設置した後、アスカの計画通りに、悪役令嬢役のカトリーヌを貶める断罪イベントが始まった。


 勿論というか、アスカの魅了スキルに掛かってる者が1人も居ない1年生は誰も呼ばれてない。


 呼ばれたのは、断罪される予定のカトリーヌだけ。


 まあ、カトリーヌも断れば良いのだが、ルイ王子は、腐ってもカララム王国の王子なのである。

 余っ程の大事な用事じゃなければ、例え公爵令嬢であっても断る事は不可能なのであった。


 ヨナンと9人の騎士達は、舞踊場の真下の地下宮殿に、断罪イベント阻止運営本部を作って、モニターを見ながら監視している。


 舞踏会の参加者は、全てアスカの息が掛かった生徒達。その中には、王子や『恋愛イチャイチャキングダム』の攻略対象である高位な貴族達と、その取り巻き達。


 完全に、カトリーヌはアウェイ。


 カトリーヌは、一人、ポツンとボッチになっていた。


 そこへ、アスカが、ルイ王子と攻略対象のイケメン君達を引き連れて登場する。


「カトリーヌ! 全てアスカに聞いたぞ!

 お前の悪行非道な悪事の数々! お前は、アスカが僕と親しくしてるという理由だけで、アスカに陰湿な虐めをしてるそうだな!」


 ルイ王子は、アスカを引き寄せ、カトリーヌの断罪を始める。


「ヨナン君、始まったよ!」


 マリンが、話し掛けてくる。


「それじゃあ、そろそろ行くか!スーザンと鑑定スキルは、俺とタイミングをしっかり合わせてくれよ!」


「『ラジャ!』」


 俺は、残りの女子達を引連れて、舞踊場の中の死角に設置してある隠し扉から、地上にでる。


「どういう事ですか? 私がアスカさんに嫌がらせされてる記憶は有りますが、私がアスカさんにちょっかいを出した記憶など有りませんけど?」


 カトリーヌが、ルイ王子に反論する。


「嘘を付くな! 全部、アスカに聞いてるんだよ! お前が、僕と親しくしてるアスカに焼き餅焼いて、アスカに陰湿な嫌がらせをしてるって!」


「あの……私、ルイ王子にも、アスカさんにも全く興味無いんで、2人が親しくしてるとか、本当に全く知らなかったんですけど……」


「嘘付くな! お前は、僕に婚約破棄されて、それが悔しくてアスカに嫌がらせしてたんだろ!」


「あの……貴方と婚約破棄したのは、私の方からの筈なんですけど? どうやったらそんな記憶の改ざんが出来るんですか?

 ルイ王子は、確か、泣いて私に婚約破棄の撤回を懇願してきたと思いますけど?」


「そんな事、断じて無い! 婚約破棄を持ち掛けたのは、僕の方だ!」


 何が何でも、ルイ王子は自分の方から婚約破棄したと言い張る。多分、完全にアスカの魅了による洗脳によって思い込んでしまってるのかもしれない。


「そうです! 婚約破棄されたからって、私に当たるなんて酷すぎます!」


 アスカが被せてくる。


「そうだぞ! いくらルイ王子に振られたからって、アスカに当たるのは見当違いだ!」


「アスカを虐めるなんて、死に値する!」


「見損ないましたよ! カトリーヌ様。アナタはもっと思慮深い人だと思ってました。」


『恋愛イチャイチャキングダム』の攻略対象達も、畳み掛けるようにアスカに被せる。


「あの……何度も言いますが、私、ルイ王子の事、何とも思ってませんので。

 私の好みは、強くて甲斐性が有る方。ルイ王子と婚約してたのは、ただの政略結婚の為。

 なので、既に、王位継承が不可能になったルイ王子には、魅力など全く御座いませんわ!」


 なんか、カトリーヌが相当酷い事を言っている。


「貴様ーー!!」


 プライドを傷付けられたルイ王子は剣を抜き、カトリーヌに斬り掛かろうとする。


 完全に王子のご乱心である。


 カトリーヌも、バキバキバキバキと指を鳴らし、戦闘態勢をとる。カトリーヌも、よっぽど頭にきてたようである。


 そう。カトリーヌは、ただの悪役令嬢役では無いのだ。ユニークスキル身体強化Lv.3を持つ悪役令嬢。

『恋愛イチャイチャキングダム』の世界では、身体強化Lv.3が発揮されずに断罪されたかもしれないが、今のルイ王子は、名前だけの王位継承権1位の何の権限もない王子なのだ。

 そんな王子に、カトリーヌは遠慮などする筈無い。

 じゃなければ、そもそも自らルイ王子に三行半を突き付けて婚約破棄する筈無いしね。


 もう、完全に鉄拳で返り討ちするつもりなのだ。


「ちょっと、待った!」


 ヨナンは、ここでカトリーヌがルイ王子を殴ってしまうと面倒になると思ったので、急いで仲裁に入る。


 爪楊枝で。


「貴様ーー!!」


 余っ程、爪楊枝で剣を止められたのがショックだったのか、ルイ王子が逆上する。


 俺だって、爪楊枝なんかで剣を受け止めたくなんかないのだが、ルイ王子の力量を考えると爪楊枝で限界なのだ。

 逆に、剣なんかで受け止めたら、剣もろとも、ルイ王子もバターのように斬れちゃうし……。というか、舞踊場もろとも真っ二つに斬ってしまうかもしれない。


「ヨナン君」


 なんか、ヨナンに助けられたのが嬉しかったのか、カトリーヌの顔がポッ!と赤くなっている。


「ヨナン貴様ー!! どこまでも僕をバカにしやがってーー!」


 何故か、カトリーヌの顔が赤くなった事に反応した、ルイ王子が怒り狂っている。

 しかし、ヨナンに爪楊枝で剣を受け止められたままのルイ王子はどうする事も出来ない。


「ルイ王子、ここは私に任せて下さい! このグラスホッパー家最強の剣術スキルLv.2を持つこの私が、生意気な愚弟を黙らせますので!」


 アホなジミーが、アホな場面でしゃしゃり出て来た。

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