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72. 恋愛イチャイチャキングダム

 

 男爵家の庶子であったアスカ・トップバリューが異世界転生者である事に気付いたのは4歳の時だった。

 それと同時に、この世界が、日本時代、自分がやってた乙女ゲーム『恋愛イチャイチャキングダム』の世界だと気付く。


 それ以来、アスカは、『恋愛イチャイチャキングダム』の舞台である、カララム王国学園に入学する前までに、ゲームを優位に進める為、今まで色々頑張ってきたのだ。


 まずは、トップバリュー男爵家が経営するトップバリュー商会をこの国一番の大商会にする事。

 お金さえあれば、世の中基本、お金で全て解決出来るし、有力貴族を援助し、思いのままに従わせる事だってできる。


 そして、トップバリュー商会を、この国一番の大商会にする計画は、トップバリュー男爵が秘密裏に組んでた隣国のサラス帝国の多大な援助もあり、アスカが10歳になるまでには完了する事に成功した。


 そして、ジワジワと影響力を付ける為に、金に困ってる有力貴族とかに金をばら撒き、カララム王国の貴族社会の中でも、並々ならぬ影響力を持ち始めたアスカが、カララム王国学園に入学する1年前の13歳になった頃、

 隣の領地である、グラスホッパー騎士爵家が、商会を初めたと耳に入ったのである。


 その商会は、公爵芋なるどう考えても、日本の安納芋をヒットさせ、次々に日本の知識によるヒット商品を売り出し、短期間に成長していったのだ。

 最初は、トップバリュー商会に取り込もうと、上から目線で、公爵芋をこの国一番の大商会であるトップバリュー商会で売ってやると提案したが、全拒否され、アスカのプライドをズタズタに引き裂いた。


 アスカは、すぐに、方針を変え、グラスホッパー商会を潰してやろうと画策したが、これもことごとく失敗。


 自慢のトップバリュー商会暗部も、グラスホッパー男爵の妻エリザベスの、昔の冒険者仲間、元『熊の鉄槌』のメンバーにより潰され、金を貸して、トップバリュー商会の傀儡にしてた貴族達にも、グラスホッパー家四男ヨナンが倒したというレッドドラゴンの肉を無償で提供し、トップバリュー商会への借金をチャラにさせちゃうウルトラCを連発。

 どう考えても、トップバリュー商会を目の仇にした政策を次々に打ち出し、気付いた時には、カララム王国一番の大商会の地位は、グラスホッパー商会に移り、それだけなら良かったが、今迄の悪行により、貴族達から総スカンを食らって、カララム王国2番は疎か、第3位の商会にまで、落ちぶれてしまっていたのである。


「グラスホッパー商会長ヨナン・グラスホッパーだけは、絶対に許さない!」


 アスカ・トップバリューは、歯ぎしりをする。

 たった一年足らずで、アスカが積上げてきたものを全てぶち壊し、そして尚且つ、『イチャイチャ恋愛キングダム』の最初のイベントを潰されたのだ。


 何故か、今迄、誰にでも効力を発揮していた、『魅了スキルLv.2』が、カララム王国第1王子ルイ・カララムに効かないし、

 そして、そのタイミングで、ここぞとばかりに、ヨナン・グラスホッパーは、アスカに暴言を吐いて来たのだ。


 絶対、アスカの魅了スキルLv.2が効かなかったのは、ヨナン・グラスホッパーが何か仕掛けてきたからに間違い無いし、『恋愛イチャイチャキングダム』の最初のイベントに介入してきたという事は、ヨナン・グラスホッパーも、確実に異世界人で、しかも『恋愛イチャイチャキングダム』を、日本でプレイしてた事を意味するのである。


「絶対に負けないわ!『恋愛イチャイチャキングダム』に、出ても来なかったモブキャラの癖に! 1番最初の大切なイベントを潰した事を、絶対に後悔させてやる!」


 『恋愛イチャイチャキングダム』の主人公であるアスカ・トップバリューは、メラメラと怒りに燃えている。

 だがしかし、アスカは勘違いしてる。


 ヨナンは、悪役令嬢ものの日本のラノベを何冊か読んではいたが、『恋愛イチャイチャキングダム』なる乙女ゲームなど、プレイした事ないし、存在自体も知らないのだ。


 そもそも、普通、日本の男子が、乙女ゲームなんかやらないしね!


 まあ、やってる事は、アスカの観察。

 カララム王国学園に入学する前も、グラスホッパー商会のハヤブサが率いる忍者部隊に、逐一、アスカの動向を調べさせていた。


 そして、カララム王国学園には、至る所に高性能カメラを設置し、特に、アスカが生活する予定の、高級女子寮には、何百個ものカメラを設置してたりする。


 そう。勝負は始まる前に終わっているのだ。


 ヨナンは、元々、アスカのオナペットとして使われてた事もあるので、既に、アスカ本人でさえも知らない、お尻の股よりにあるホクロの位置まで知っている。

 好き嫌いは別にして、ヨナンか、相当なアスカマニアでもあるのも、また真実であった。


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