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32. 夜這い

 

 シスの好き好き攻撃でダメージを受けつつ、グラスホッパー領に帰ってきた。

 勿論、無制限に入る魔法の鞄もゲットしている。


 新居の玄関を入ったら、エドソンとエリザベスが優雅に紅茶を飲んでいた。


 いつも、寒い廊下で待ってもらって悪いと思ったヨナンが、玄関を入ると直ぐにリンビングになるように建設しておいたのである。


「この家、気に入って貰えた?」


「ああ。俺は凄く満足だ! 何だか、本当に貴族になった気がするな!」


「家はちょっと小さめの家だけど、家具や調度品の出来は、実家より上よ! 流石、ヨナンね!」


 エリザベスは、優雅に紅茶を飲みながら、ヨナンを褒めてくれる。


 エリザベスの実家って、本当にどんな家なんだろう。成金のトップバリュー男爵が住んでる御屋敷より大きく、豪華に建てたというのに……。


「後、コレ、100万マーブル」


「ヨナン、本当にいいのかよ……俺、息子に貢がせてるヒモ親になってないか?」


「別にいいよ。エドソンには、たくさん世話になってんだから!」


「だけどよ……」


 エドソンは、とても申し訳なさそうに肩を落とす。


「ならさ、俺が商会を立ち上げて、グラスホッパー領から、公爵芋を買い取るという形を取ればいいんじゃないかな?

 それだったら、エドソンは心を痛めなくても大丈夫だろ?」


「だけれども、実際、ヨナンが開拓した大森林は、本来、グラスホッパー領じゃないし……」


「誰も、辺境のグラスホッパー領の本当の領地なんか知らないよ!

 知らない顔で領地経営してたら、それが既成事実になるんだから!」


「そうか? それで提案なんだけど、俺が今日から、グラスホッパー領から、公爵芋を1つ200マーブルで買い取るという契約でいいかな?」


「何だと! 200マーブルも払ってくれるのかよ!」


「ああ!」


「ちょっと、待って! 250マーブルにしてくれるかしら?」


 金にがめついエリザベスが、会話に入ってきた。


「それは、ちょっと……」


「そしたら、230マーブル!」


「ちょっと、それはキツいです」


「じゃあ、220マーブル」


「あの、最初から交渉考えて無かったので、限界の値段で話してたんですが……」


「そしたら、グラスホッパー領の公爵芋の独占販売権を上げるから、220マーブルで手を打って!」


「分かりました。それで契約します」


 なんか、よく分からないが、エリザベスにペースを握られてしまった。

 流石は貴族の娘というべきか、どうやら庶民からお金を巻き上げるのが上手いようである。


「それじゃあ、この契約書にサインして頂戴!」


 エリザベスは、何故か最初から用意してあったような契約書を取り出し、新たに公爵芋の買取額を明記し、ヨナンにサインさせようとする。


『ご主人様! よく見て下さい!』


 ヨナンは、鑑定スキルに言われて、契約書をよく見てみる。


「あの、これ……シスと俺との婚約契約書って書かれてるんですけど……」


「あら? そうだった? お母さん間違っちゃったみたい! 本当は、コレね!」


 エリザベスは、チャーミングに、テヘペロして誤魔化したのであった。


 ーーー


『ご主人様、危なかったですね! 僕が居なかったら、きっとエリザベスさんに騙されてましたよ!』


 ヨナンが新たに、グラスホッパー商会の本社母屋を建てていると、鑑定スキルが話し掛けてくる。


「ああ。本当に、女って怖いよな……少しでも気を許すと、本当に骨の髄までシャブってくるよな……」


 ヨナンは、30分でグラスホッパー商会の本社母屋を作ると、続けて、2台目のキャンピングキッチントレーラーを作り出す。


『あの、ご主人様、これどうするんですか?』


「ああ。人を雇って、商売拡げようと思ってな!カナワン城塞都市だけだと、売れる公爵芋の量も限界があるし、商会として、販売網も確立しなきゃならんし!」


『ご主人様も、色々考えてるんですね!』


「ああ。俺の直近の目標は、アスカのトップバリュー商会を越える王国一の商会を作る事だからな!」


『で、今日も勿論、カナワン城塞都市に行くんですよね!』


「勿論!」


 そんな感じで、今日も寝ているコナンとシスを拉致しに行くと、


「あら? ヨナン君、こんな夜遅くに、シスちゃんを夜這い?」


 何故か、エリザベスが、コナンとシスの部屋で、ヨナンを待ち構えていたのだった。

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