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102. 新学期

 

 新学期の朝、俺のカララム王都の御屋敷には、ハヤブサとエリザベスとセバスチャンによって鍛えられた女騎士9人が集合していた。


「ヨナン君。私達、ヨナン君の騎士に相応しい強さになって戻って来たよ!」


 騎士代表して、一番爵位が高い子爵家のマリン・チーターが、俺に報告してくる。

 というか、騎士9人、自信に満ち溢れた顔をしてる。


「確かに、あの常軌を逸した訓練をして、強くなってなかったら悲しい」


 眼鏡っ娘のアイ・ホークが、ポツリと言う。


 まあ、一番の俺の狂信者のスーザン・スパイダーは、当然のような顔をしてるけど。

 元々、2徹3徹当たり前の常軌を逸した修行をやってたし。


 というか、野営訓練を経て強くなってたのに、あれ以上強くなるとか、どんだけ強くなったのだろう。

 なんか知らんが、制服に殿様バッタのお揃いのピンバッジ付けてるし。グラスホッパー準男爵家の騎士というのをアピールしてるのかもしれない。


『ご主人様! これで戦争が起きても安泰ですね!

 死に戻り前のグラスホッパー騎士爵家みたいに、人数足りなくて敵軍1万に特攻するのは間逃れましたし。まあ、領地を持たない法衣貴族は、戦争に駆り出される事は無いんですけど』


「エッ!? 法衣貴族は、戦争駆り出されないのか?」


 ヨナンは驚愕する。だって、法衣貴族は戦争参加しなくていいなら、女子達を騎士なんかにしなかったし。


『だから、カララム王家は、ご主人様に領地を持たせようとしてるんじゃないですか!

 だけれども、適当な余ってる領地が、大森林付近の痩せた領地しか残ってなくて、困ってた所に、アスカによるトップバリュー男爵家の大失態。

 ここぞとばかりに、王家は爵位と領地を取り上げ、ご主人様を領地持ちの戦争に参加する義務がある貴族にしようとしてるんです!』


 鑑定スキルが、貴族社会に無知な俺に教えてくれる。

 というか、俺を戦争に参加させる為に、領地を与えようとしてたのか……。

 まあ、俺って、伝説の神獣レッドドラゴンを倒せる戦力だしね。


「俺的には、大森林付近の痩せた土地の方が嬉しいけどな。だって、大森林は、逆にお宝ばかりの肥えた土地だし」


『それは、大工スキル持ってるご主人様だけですからね!

 王家としても、ご主人様に、ちゃんとした領地を与えたかったんじゃないですか?

 相当、エドソンさんに痩せた大森林の隣の土地を与えた事を、グリズリー公爵家とイーグル辺境伯家が王室に怒ってて、王様に滅茶苦茶文句を言ったらしいですから!』


「グリズリー公爵家とイーグル辺境伯って、結構、発言力あるんだな」


『武家の名門ですからね。それに今は、エリザベスさんが表に出てきて、王国の内政にも口を出してるみたいですよ。グラスホッパー商会の資金で、ロビー活動もバンバンやってるみたいですし』


「すげえな……今のグラスホッパー商会って、カララム王国の内政にも関与してるのかよ……」


『ですね。最近までは、トップバリュー商会が金の力でものを言わしてやりたいようにやってたみたいですが、ご主人様が有力貴族に、レッドドラゴンの肉を振舞ってから、完全に潮目が変わったようです』


「俺のお陰?」


『そう。ご主人様の英断ですよ! アレのお陰で、王国内のグラスホッパー商会の影響力が爆発的に上がったと、エリザベスさんも言ってましたし。トップバリュー商会に借金してた貧乏貴族も、ドラゴン肉のお陰で、グラスホッパー商会の陣営に引き入れられたと言ってましたよ!』


「なるほど。だから、貧乏貴族にドラゴン肉を配りまくってた訳だな」


 そう。俺はやたらとエリザベスにドラゴン肉をねだられて、結構、渡していたのである。


『ですね! お金の力は偉大ですから!現金渡すより、ドラゴン肉の方が貰いやすいでしょ!

 それに、アスカ事件に関わってた、もう家を継げない子息を持った貴族達も、ドラゴン肉で若返った事により、新たにハッスルして、次々に跡取り息子を作ってるらしいですし』


「なるほど、ドラゴン肉のお陰で、ハッスルして跡取り問題も解決したと……」


『カララム王室に至っては、ドラゴンの血のお陰で、ルイ王子と同じくらいの年齢になってしまった王様が、もう既に、新たな子供を何人も若い側室に孕ましてるらしいですから、ルイ王子は、最早、完全にお払い箱です!

 もう、1パーセントも、カララム王国の王様になる事はないと言われてますし』


「そこまでになると、ちょっと可哀想過ぎるな……」


 流石に、ここまで来ると、ヨナンも悪い事したなと思ってしまう。

 まあ、全ては、アスカの魅了に掛かってしまった自己責任だけど。


『そして、もう1つ。エリザベスさんからの報告ですけど、元トップバリュー男爵と、アスカは、サラス帝国に亡命したという話です!』


 ここに来て、鑑定スキルが、とても重要な事を教えてくれた。


 まあ、死に戻り前の事件により、完全にトップバリュー男爵とサラス帝国はグルだと分かってたのだが、もう、ここまで来たら隠す気もないらしい。


 実はもう、ハヤブサさんによって、トップバリュー商会の暗部は、サラス帝国の暗部の者ではないかという報告も入ってたりする。

 何故なら、一介の商会が雇うにしては、全員がよく訓練されていて凄腕過ぎたから。


 しかも、トップバリュー商会がまだ、小さい商会の時から暗躍してたらしく。闇の世界でも結構、前々から怪しいと噂されていたらしい。


 間違いなく、トップバリュー男爵は、サラス帝国がカララム王国に放った間者で、カララム王国の内側から、王国を崩壊させようとしていたのだ。


 俺の死に戻り前に、エドソンを殺したのも、カララム王国の戦力を削ぐ為に、実を言うと最初から計画されてたのかもしれない。

 それが、たまたまアスカの企みと一致して、加速度的に実行されたのだ。


 なんとなくぼんやり分かってた事実関係が、トップバリュー男爵がサラス帝国に亡命した事により、ハッキリと証明された形になった訳だ。


 因みに、アスカを断罪した事により、結果的にトップバリュー男爵の悪事を暴く結果となり、その功績やら何やら理由をつけられて、カララム王から子爵の爵位を賜る事になったという話だ。

 まあ、これも、今さっき鑑定スキルに聞いたんだけど。


 完全に、後付けで、俺を領地貴族にする為の餌にしか見えない。

「子爵にしてやるから、戦争に参加しろよ!」と。しかも、子爵になると、兵士を100人は集めないといけないのだ。


 俺の騎士って、エリスと女子達合わせて10だけだから全然足りない。

 後、90人も兵士を雇わないといけないという事になる。

 まあ、元トップバリュー領は、城塞都市だから、城門を守る衛兵やら、他にも色々と雇わないといけないのだけど。


 実をいうと、そのへんの領地経営の事は、既にグラスホッパー子爵領となる予定の元トップバリュー領で、新グラスホッパー本店の店長を任されてる妹のシスが手を打ってくれてるみたいだけどね。


 本当にシスは役に立つ、働き者の可愛い妹である。


『あのそれから、ご主人様の爵位授与の式典ですが、今日、学校の全校生徒の前で行われるみたいですよ!』


 鑑定スキルが、突然、意味が分からない事を口走る。


「嘘だろ?」


『本当ですって! 話すと学校行くの嫌がると思って、敢えて、直前に言ってみました!』


「お前、アホだろ?」


『アホではないですね。強いて言うなら天才ですね! 鑑定スキルなので知識量では誰にも負けませんし!』


「そういう事じゃないから!」


『兎に角、無礼のないようにお願いしますよ! 直々にカララム王が、カララム王国学園まで来て、爵位授与するんですから!』


「どんだけ王様、暇なんだ……爵位授与なら、王城に行くし、全校生徒の前って、罰ゲームだろ!」


『だから、ご主人様が嫌がると思って、ギリギリに教えたんです!

 それより、早く学校に行かないと、式典に遅れてしまいますよ!

 式典は、主役が来ないと始まりませんし!』


「ちきしょー! 嵌めやがったな!」


 ヨナンは、鑑定スキルにぶつくさ言いながらも、王様を待たせる訳にもいかないので、急いで学校に向かったのであった。

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