88/200
檸檬/レモン
檸檬
握りしめれば、その芳香は、あまりに近く、苦みすら舌の上に浮かんで、
きりりとした香りが、辺りいっぱいに広がって、古臭い畳の部屋では、空間が一気に変わるようで、
縁側の向こうの燦燦とした日差しから逃げ込んで、照明もつけない、影の濃いた畳の上の、扇風機と檸檬だけが冷涼で、
わたしは思わず、傷一つない青く黄色い檸檬の皮に、がりりと歯を立てた。
レモン
レモン色の夕暮れ
ひんやりした風が
薄紫色の空を
さわやかに吹き抜ける
手に持ったレモン
瑞々しさが滲み出る
微かな香りが
まるで魔法のように
甘酸っぱい味わいに
心が癒やされる
レモン色の夕暮れが
優しく包み込んでくれる




