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春の野と小さな花
春の野に出でて花を摘む。
黄色く、小さな、指でつまめるような花。
力もいれず手折れてしまうような花なのに、その発色たるや小さく太陽を跳ね返すように爛々としていた。
花はそこここに広がっている。同じ黄色い花。仲間らしい白い花。その下に、敷物のように広がるクローバー。
なぜ、その花を摘んでしまったのか。ほかの花を摘もうと思わなかったのだろうか。
手の中につまんだ花顎と花弁だけのその花を見てみれば、例えるなら生首のようなものでありながら、にっこりと笑って、「私に目を止めたからでしょう?」と表情で語りかけてくる。
その通り、摘んでみれば、「君しかなかった」と言えるような。しかし、数分後には飽きてぽいと捨ててしまうような、小さな花。
春の野に出でて花を摘む。好奇心のままに。
花々をそよがせる、柔らかい風が吹いた。




