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氷の弁解
「悪かった」
それは僕らの口癖となった。
外の夜みたいに冷たい午前0時、二人は別々に明日を想う。愛情とか、仕事とか、将来とか、言わなかったほうがよかった言葉とか、別々に。
当てつけみたいに洗い忘れた一枚の皿も。わざとみたいに合わなかった目も。逃げるみたいに出ていった朝も。美味しかったのに、口角一つ上げなかった作り置きも。
「悪かったって」
それが僕らの口癖だった。
悪かったのは二人だった。でも、悪かったのはどこだった? いつだった。
リビングの空気の粒子の隙間に、小さく汚い氷が張っているような。
上手く息が吸えないのに。
「悪かった」
吐き出すのは、そればかりで。
氷は厭らしく、霜の手を伸ばしているのだ。




